2024.02.08
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介護の人材マネジメントと新人教育

~菊地雅洋の波乱万丈!選ばれる介護経営~Vol.2

    

編集部より

介護事業の運営は厳しさを増し、利用者や職員の期待に応えられない事業所は、淘汰される時代に入っています。本コラムでは「masaさん」の名で多くの介護事業経営者たちから慕われる、人気介護事業経営コンサルタント菊地雅洋さんに、「介護経営道場」として、ある時は厳しく、あるときは優しく、経営指南を頂きます。

 

「菊地雅洋の波乱万丈!選ばれる介護経営」、第2回は「介護の人材マネジメントと新人教育」です。

群雄割拠の介護事業、生き残るために現場で定着率を向上し、人材確保していく方法や学生に人気の高い介護の職場の例などをお伝えします。 

  

執筆/菊地雅洋(北海道介護福祉道場・あかい花 代表 介護事業経営コンサルタント)

編集/メディカルサポネット編集部

   

       

1. 介護人材確保は定着率の向上が鍵

生産年齢人口が減少し続ける我が国では、全産業において深刻な人材不足が経営危機に直結していく。そのような中で要介護高齢者は2042年くらいまで増え続けるとされている。介護事業経営を考えるうえでこのことは大いなる悩みである。顧客が今後20年近く増え続けるにも関わらず、顧客対応するための人的資源の確保が困難となり、事業継続ができない懸念が生ずるからだ。

 

その為、制度改正や報酬改定では、助手活用で人材の枠を広げていくことや、人が対応しなくてよい部分はテクノロジー活用を図る方向が示されているが、効果は極めて限定的なものでしかない。なぜなら助手対応で補完できる介護はごく一部の業務でしかないし、力のいる行為と巧緻性の必要な行為をつなぎ合わせて行う身体介護は、人間しかできない部分が多いからだ。ICTやAI搭載ロボット技術はまだそこに追いついていないのである。

 

その為、介護事業者は独自の人材マネジメントで人材不足を乗り切っていくしかない。職員募集に応募者が劇的に増える方策がない状況では、いかに少ない応募者の中から人材を見つけ出し、教育して定着させるかが重要となる。介護の生産性向上が叫ばれる今日であるが、正しい介護技術を習得した人材が定着することによって、できるだけ多くの熟練者が介護業務に携わることこそ生産性の向上という結果につながるのである。しかし介護事業者の人材育成システムの貧弱さは目を覆うばかりである。

 

介護実務を教えようとしても、その方法が教えられていないから、各自ばらばらの勘に頼って教育に当たり、方法も不統一で根拠もない指導に終わるケースが多い。そのため介護技術が身につかず、不安のために短期間で辞めていく新人職員が増えるばかりである。例えば他産業からの転職者も多い介護事業者の求人広告には、「未経験者歓迎」とか、「介護未経験の人でも安心して働くことができます」などと謳った広告を載せているところが多いが、未経験者が安心して働くことができるように介護技術を教える方法が確定しておらず、すべて現場に丸投げしているだけの事業者が多いという現状がある。

こうした状況を変えない限り、募集に応募が増えても、安心して働き続けることができないために退職者も比例して増大するだけで、人材確保が永遠の課題として残されることになる。

     

2. OJTに結びつける基礎座学は行われているか

座学研修を受ける新人職員      

 

介護職員を育て定着させるためには、正しい介護知識と技術を伝える職員育成システムが必要不可欠だ。介護技術を教えるために最も重要となるのがOJTである。しかしOJTとは、先輩職員の後ろについて仕事を手伝いながら、先輩職員の仕事のやり方を見て覚えるというものではない。

 

OJTとは基礎座学がその前提としてあって、そこで見て・聴いて覚えた知識を、実践の場で実行できるかを確認するという方法であり、上司や先輩が、部下や後輩に対し介護実務を通じて必要な知識・技術・技能・態度などを意図的・計画的・継続的に指導し、介護技術を修得させる方法を指す。この基礎座学~OJTというシステムをきちんと構築していない限り、人材が定着する人材育成など存在しないと言ってよい。

 

下記資料は筆者が組み立てた新入職員に対するOJTに入る前の基礎座学プログラムである。

 

 

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