編集部より

一般的な企業でも新人研修で習う接遇マナーですが、医療機関や介護施設での接遇マナーは事業会社・小売店や飲食店などとは異なる側面を持ちます。足が痛くて治療に来ている患者さんに席次が良いからと遠い奥の席をすすめたり、体調が悪い利用者さんのところに強い柔軟剤の香りをさせて行くなどの行動は、医療機関職員や介護事業所職員なら避けたいものです。基本的な接遇マナーとその考え方を学びながら、本当に相手のためを思った行動ができるように工夫していきましょう。

講師は病院、薬局などで20年を超える患者対応経験があり、薬剤師資格を持った医療接遇コミュニケーションコンサルタント、村尾孝子さんです。

 

第5回は、新人の時に一般企業でも研修がよく行われる電話応対のマナーです。新しく入職したときは誰でも電話応対に戸惑うものですので、基本を押さえてだんだん慣れていくようにしましょう。

  

執筆/村尾 孝子(医療接遇コミュニケーションコンサルタント スマイル・ガーデン代表)

編集/メディカルサポネット編集部

 
電話を受ける病院受付

 

前回は、新入職員が身につけたい、患者さん・利用者さんに安心して受診・利用してもらうための接遇マナーの第1回として、挨拶について取り上げました。今回は、仕事をする上で必須の電話応対のマナーを説明します。

 

1. 電話応対の流れとポイント7つ

医療介護施設にかかってくる電話は、患者さんや利用者さん、そのご家族からのものが多いと思います。そのほか近隣の医療・介護施設や出入りの業者さんなど様々な人から電話がかかってきて、内容も多岐にわたります。電話応対はスタッフ個人の印象だけでなく、施設のイメージにも影響します。落ち着いて電話を取れるよう、電話応対の流れとポイントをしっかり身につけましょう。

   

①3コール以内で受話器を取る

 3コール以上鳴ってから取ったとき「お待たせいたしました」

 5コール以上鳴ってから取ったとき「大変お待たせいたしました」

 すぐにメモを取れるよう、受話器は利き手と反対の手で取ります

  

②「はい」または「挨拶言葉」から始め、名前を名乗る

 明るく、ゆっくり、ハッキリと! (例)「はい、○○病院の□□です」

 

③挨拶言葉を言う

(例)「お世話になっております」「こんにちは」

  

④メモを取る

 5W3Hを念頭において必ずメモを取ります

  

⑤復唱する

 聞き違いを防ぐためにも、用件を繰り返して確認します

  

⑥名指し者が不在の場合は、折り返しの提案を行う

(例)「あいにく○○は席を外しております。戻りましたら、こちらからお電話をいたしましょうか」

 責任の所在を明らかにするために、「私、○○がうけたまわりました」と必ず自分の名前を告げます

  

⑦受話器をゆっくり戻す

 相手が切ったことを確認してから受話器をゆっくり戻します

固定電話の場合、電話を切るときは、受話器を直接置かずに指でフック(リリースボタン)を押す習慣をつけると、もし相手が話し忘れたことを思い出した場合、すぐに対応することができます。

 

2. 電話応対の基本

ポイントを押さえたところで、電話応対の基本について詳しくみていきます。

 

 

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