2019.04.12
3

労災保険業種区分に「医療業」新設、発生頻度高い
厚生労働省が検討会報告書を公表

メディカルサポネット 編集部からのコメント

4月5日付けで厚生労働省が「労災保険の業種区分に係る検討会」の報告書を公表しました。事業主の保険料負担の公平性を確保し、労働災害防止インセンティブを機能させる観点から「労災保険における業種区分の役割とこれまでの業種区分の見直し」が行われました。労災保険率は概ね3年ごとに改定されます。直近の労災保険率の改定は平成30年度です。

 

 厚生労働省は、「労災保険の業種区分に係る検討会」の報告書を公表した。労災保険率については、54種類に区分した業種ごとに、災害率などに応じてそれぞれ設定されているが、報告書では、この区分を見直して「医療業」を新設する方向性を提示。災害率に関しては「災害発生頻度が高い一方、災害重篤度は低い」との見解を示している。【新井哉】

 

厚生労働省が公表した「労災保険の業種区分に係る検討会」の報告書

 

 検討会は、関連団体へのヒアリングなどを踏まえ、業種の区分を見直すことを報告書に盛り込んだ。厚労省は、2018年8月に開かれた検討会の会合で、日本医師会へのヒアリング状況を報告し、針刺し事故や長時間労働による過労・精神疾患などがあることを説明。また、応召義務や、外科手術の際に長時間不自然な姿勢を取ることによる腰痛などの「職業病」があることを挙げていた。

 

 また、18年11月の会合では、看護職における作業態様や労働災害の発生状況を整理したものと、日本医師会へのヒアリングの内容を比較した上で、「病院勤務の医師、看護師のいずれについても、夜勤や時間外労働による長時間労働が発生している」と説明。「医療業」が直面している労働災害のリスクファクターや課題について、「病院経営者としての医師とそこで働く看護職のいずれの目線においても、共通性が高い」との考え方を示していた。

  

 こうした状況などを踏まえ、検討会では、「その他の各種事業」の中から、「医療業」や「社会福祉又は介護事業」など7つの細目の状況を評価し、業種区分などを見直す方向性をまとめた。

 

 報告書では、「医療業」の分類について、▽病院▽一般診療所▽歯科診療所▽助産所▽看護業▽療術業―などが「該当する」との考え方を提示。17年度の保険集団の規模と適用状況に関しては、16万5611の事業場、337万3248人に適用され、新規受給者数(業務災害)は4万2498人いたことを挙げている。

 

 「社会福祉又は介護事業」に関しては、利用者やサービス提供場所の相違が災害状況に影響を与えている可能性があることを挙げ、「細目を細分化して、利用者の年齢階層やサービス提供場所の相違が与える影響について、データを取得できるようにする」といった方向性を示している。

 

 出典:医療介護CBニュース

この記事を評価する

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

TOP