2024.04.08
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処遇改善加算の恩恵がない居宅ケアマネジャーの待遇改善をどう考えるか

~菊地雅洋の波乱万丈!選ばれる介護経営~Vol.4

    

編集部より

介護事業の運営は厳しさを増し、利用者や職員の期待に応えられない事業所は、淘汰される時代に入っています。本コラムでは「masaさん」の名で多くの介護事業経営者たちから慕われる、人気介護事業経営コンサルタント菊地雅洋さんに、「介護経営道場」として、ある時は厳しく、あるときは優しく、経営指南を頂きます。

 

「菊地雅洋の波乱万丈!選ばれる介護経営」、第4回は「処遇改善加算の恩恵がない居宅ケアマネジャーの待遇改善をどう考えるか」です。

施行時期が4月と6月に分かれてしまった介護報酬改定で、どのサービスの改定がいつ施行されるかを理解し、対人援助のプロでありながら、処遇改善加算の恩恵を受けられない居宅ケアマネジャーにどう報いるかを考えます。

 

執筆/菊地雅洋(北海道介護福祉道場あかい花 代表)

編集/メディカルサポネット編集部

   

       

1. 施行時期にズレが生じている令和6年度介護報酬改定

 令和6年度の介護報酬改定は、サービス種別によって施行時期にズレが生じている。訪問看護・訪問リハ・通所リハ・居宅療養管理指導の4種類については改定時期が6月とされ、それ以外のサービスの改定施行時期は4月となっている。

これは医療機関等が医療DXの推進に向け準備を進めていることから、令和6年度以降における医療機関・薬局やシステムベンダの集中的な業務負荷を平準化するため、令和6年度診療報酬改定より施行時期を6月1日施行(※薬価改定の施行は4月1日)としていることが影響している。

 

国は令和5年10月11日の介護給付費分科会で、介護保険事業を行っている医療機関等の事務負担を考慮して、介護報酬の改定時期も6月に変更できないかという提案を行ったのである。これに対しプラス改定を期待する全国老施協などが、施行時期が2月遅れることに反発の姿勢を示し、妥協案として医療系居宅4サービスのみ報酬改定時期が6月施行とされたものである。

その為、居宅サービス利用者で福祉系サービスと医療系サービスの両方を利用している方は、改定時期がずれることで費用負担などの変更時期もずれることになり、混乱や不信感が生じないように、各担当者やサービス事業所から丁寧な説明が必要になる。

 

また6月には全サービスの処遇改善3加算を統合・一本化し介護職員等処遇改善加算が新設されるが、この加算によって令和6年度に 2.5%、令和7年度に 2.0%のベースアップへとつながるとされている。これに伴い利用者負担額も変更されることから、その説明・同意も必要になる。ところで現行の処遇改善3加算は、4月~5月まで従前どおり算定できることになっているが、加算の一本化は令和6年6月1日施行。現行の処遇改善関係加算について、事業所内での柔軟な職種間配分を認めることとする改正は、令和6年4月1日施行である。この点にも注目しておかねばならない。

 

意見を聞くケアマネジャー

     

2. 処遇改善加算の恩恵を受けられない居宅ケアマネへの対応

事業者裁量で加算配分が柔軟に認められることによって、加算算定事業者の全職員に加算分を原資とした給与改善が可能になるといっても、この加算を算定できない事業者の職員に加算配分することは認められていない。その為、居宅介護支援事業所の介護支援専門員(以下、居宅ケアマネと略)に対しては、この加算配分による給与改善はできないことになっている。

 

しかし居宅ケアマネの人材不足も深刻化している折、居宅ケアマネの処遇改善も不可欠といえる。その為、居宅介護支援費は要介護3の利用者で見ると0.92%のプラス改定になっている他、逓減性を再緩和して、居宅介護支援費Ⅰは44人まで、ケアプランデータ連携システムを活用かつ事務員を配置することが要件である居宅介護支援費Ⅱは49人まで減算適用せずに担当できることになった。つまり居宅ケアマネひとり当たりの担当利用者を5人増やして収益を上げられる構造としたわけである。その為、利用者宅の移動時間を削減して業務負担を減らす対策として、モニタリング訪問の2月に1回(※予防支援は6月に1回)はテレビ電話装置等を活用して実施できるようにした。

  

こうした対策に実効性を持たせるためには、居宅介護支援事業所を持つ法人単位での支援が欠かせない。テレビ電話装置等のモニタリングは、Zoomなどのアプリを使いこなして初めて可能となるため、全利用者が対象になることは難しい。スマホを使いこなしている高齢者であっても、オンラインで画面を通じて対話をすることに慣れていない人が多いのである。その為、法人内でシステムに詳しい人材が、居宅介護支援事業所の利用者に対して、訪問指導を集中的に行うなどの協力体制を整えて、できるだけ多くの利用者がオンラインモニタリングをできる状態にするように心がけてほしいものである。

      

3. 居宅ケアマネの対価議論に新風が吹くのか 

ところで居宅ケアマネの処遇改善について、新たな風が吹き始めた。厚労省老健局の間隆一郎局長が3月10日、日本介護経営学会で「ケアマネジャーの皆さんはシャドーワークが非常に多い」と指摘し、無償のボランティア的業務が行われていることを問題視する発言を行ったのである。その発言とは、「例えば、スーパーで買物をしてきてくれと当たり前のように言われる。もちろんその方(高齢者)にとっては必要で意味のあることだが、それはケアマネジャーがシャドーワークで、無償で行う話なのかどうか、整理していかなければいけない」というものである。

 

これは僕がかねてから問題視していることと一致する発言内容である。介護支援専門員向けの僕の講演を受講した方ならお判りだろうが、かねてから僕は、ケアマネジャーに役割だけ求めて対価を発生させないことは、介護支援専門員という資格を社会の底辺資格に貶めるものであると指摘し続けてきた。今回、その問題を老健局長という官僚トップが公の場で、「シャドーワーク」という言葉で表したことは意義があることだと思う。

 

 

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