2023.04.24
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大学病院の医師3割超が年960時間超の残業
24年4月以降の見込み

メディカルサポネット 編集部からのコメント

医師の年間の時間外労働時間が、2024年4月から罰則付きで規制されます。上限は年960時間。月に直すと毎月80時間までとなりますが、大学病院に勤務する医師の約3割がこのままだと上限を超えてしまうという全国医学部長病院長会議の調査結果が公開されました。一般企業や、病院内の看護師などその他コメディカルに比べても時間外労働時間が非常に多いのが医師ですが、多くの病院は今まで医師を中心とする病院職員の時間外労働によって地域の医療を支えてきた面もあり、困難な調整に直面しそうです。

      

 医師の働き方改革の一環で時間外労働(休日労働を含む)の上限(年960時間)が罰則付きで規制される2024年4月以降、大学病院に勤務する医師の3割超の時間外労働がこの上限を超える見込みだとする調査結果を全国医学部長病院長会議がまとめた。【兼松昭夫】

  

 日本の研究力の低下が指摘される中、全国医学部長病院長会議では、医師の時間外の上限規制に伴い研究にさらなる打撃が加わることは、わが国の医学・医療と日本の将来に重大な影響を及ぼしかねないと指摘している。

  

 調査は、時間外労働の上限に対する罰則付きの規制が始まる24年4月に向けて医師の働き方改革がどれだけ進んでいるかを明らかにするため、全国の大学が運営する81病院と医師個人を対象にそれぞれ行った。

  

 病院の調査は22年7月11日-8月31日に実施し(11月17日-12月23日に追加調査)、全病院から回答があった。

  

 また、医師の調査は81病院の診療科から職位ごとに1人ずつを選出して7月11日-8月31日に実施し、981人が回答した(回答率67.3%)。

  

 24年4月以降の時間外労働は、22年11月現在の見込みを集計した。

  

 その結果、81病院に勤務する医師合わせて4万4,183人の34.1%に当たる計1万5,070人が24年4月までに時間外労働を年960時間以内に短縮できず、上限を緩和する「特例水準」の適用の申請を予定していることが分かった。

  

 申請を予定している特例水準の内訳は、

▽救急医療などの業務に従事する医師の上限を年1,860時間に期限付きで緩和する「B水準」が3,088人(4万4,183人の7.0%)

▽派遣先での兼業・副業を含めて上限を年1,860時間に緩和する「連携B水準」が1万852人(24.6%)

▽研修医や専攻医の上限を年1,860時間に緩和する「C-1水準」が1,099人(2.5%)

▽特定の高度な技術を身に付けるため集中的に勤務する医師の上限を年1,860時間に緩和する「C-2水準」が31人(0.1%)

-だった。

   

 長時間労働が解消され、24年4月以降の時間外労働が年960時間以内になる見込みの医師(A水準)は2万1,179人と、全体の47.9%にとどまった。22年11月の時点で時間外労働が年1,860時間を超える医師も719人いた。

  

 また、勤務医の労働時間の管理に関する質問では、81病院のうち76病院(93.8%)が院内での労働時間を「把握できている」と答えた。これに対し、派遣先の労働時間を把握できているのは51病院(63.0%)だった。

  

  

■宿日直許可「希望通り取得」67%

  

 調査では、大学病院による宿日直許可の取得状況も集計した。

  

 それによると、希望通りの宿日直許可を受けているのは 81病院のうち54病院(66.7%)で、残り27病院(33.3%)では希望通りの許可を得られていなかった。

  

      

 出典医療介護CBニュース

     

      

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