2022.04.01
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介護報酬改定により大きな変革期を迎えたデイサービス事業

協会・団体インタビューvol.3 一般社団法人日本デイサービス協会

 

編集部より

2021年度の介護報酬改定のひとつとして「自立支援」の取り組み推進が掲げられ、日本における介護方針は大きく方向転換しました。それによってデイサービス事業も新たな局面を迎えており、大きな変革が求められています。そのような状況下において、一般社団法人日本デイサービス協会は、同協会が認定するデイサービスのロールモデルづくりや、本当に必要な介護サービスは何なのかを提言し政策に反映させていく活動などに力を注いでいます。具体的な取り組みについて、理事長の森剛士さんに伺いました。

 

取材・文/松崎 純子

編集/メディカルサポネット編集部

  

 

 剛士もりつよし

日本デイサービス協会 理事長/株式会社ポラリス 代表取締役

外科医、リハビリ医を経て高齢者・慢性期リハビリテーション専門のクリニックを兵庫県宝塚市に開設、ポラリスグループをスタート。地域密着型社会貢献事業として自立支援特化型デイサービスを全国59ヶ所に展開中。一般社団法人日本自立支援介護・パワーリハ学会 理事。一般社団法人 全国介護事業者連盟 理事。一般社団法人日本デイサービス協会 理事長。ケアテック協会 常務理事。

 

 

  

自立支援体制の強化が大テーマに

 

――発足当初からテーマに掲げていたリハビリによる自立支援の強化が着目されています

 

レスパイトケアの充実に加え、地域高齢者の自立支援の推進など、地域介護を支えるデイサービス事業の存在意義は高く、その可能性についてはずっと探求する必要があります。特に2021年度の介護報酬改定は、科学的介護推進体制加算(LIFE加算)が新設され、科学的介護推進元年とも呼べる制度の大きな転換期となりました。

 

利用者の自立支援・重度化防止に繋がるサービスの提供を事業所へ促すインセンティブとして設けたADL維持等加算の拡充など、自立支援体制の強化に向け、データ分析による効果的なアプローチ手法の構築や状態改善へとつなげていくための施策にも注目が集まっています。

 

 

 

 

――介護報酬改定後、デイサービスの業務量と運営費や加算取得はどう変わりましたか

 

LIFEへのデータ移行や新設加算、人員基準の変化が大きなポイントとなりましたが、今回の改定では医療・介護をデータ化するという方向性が示唆されました。業界にとっては新たな取り組みとなるため困惑されている事業者や様子見をしている事業所が多々あるようです。実際、都内28カ所でデイサービス運営している会員に話を聞くと、加算を全て取得した結果、報酬改定前後では月の収入が約90万円/1事業所アップしたといいます。しかし、全ての加算を取得するための業務量・人件費・マンパワーを考えると、事業所の形態にあわせて選択していくことが今後のデイサービス運営のカギとなりそうです。

 

 

 

混乱を招いた「入浴介助加算(II)」の介護現場への浸透を目指す

 

――昨年の介護報酬改定で新設された「入浴介助加算(II)」について声明を出されました

 

入浴介助加算Ⅱは、加算の算定要件の発出が遅れたために現場が混乱し、ケアマネジャーとデイサービス事業者との間でトラブルに発展していることがわかりました。そこで、算定状況についての緊急調査を実施し、その結果を公表するとともに声明を出しました。この新加算は、デイサービス利用者の入浴介助加算算定率の高さから、在宅での入浴や

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