2024.04.25
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令和6年度介護報酬改定答申のサービスごとの重要ポイント

~小濱道博の基礎から学ぶ介護経営~Vol.12

令和6年介護保険制度改正に向けて 介護サービスの歴史20年を徹底検証(その1)

     

編集部より

現在、社会保障費の膨張により医療・年金・介護に使われる国の予算や保険の報酬は削減待ったなしの状態です。 介護報酬が抑制され、少子化対策や子育て対策にも保険料が回されていくことが予想される中、介護事業者はどのように公共の福祉を守りながら利益を出していけばいいのか。日経ヘルスケアや介護ニュースJOINT、介護実務書籍執筆者としても著名な小濱介護経営事務所代表、小濱道博さんが「基礎から学ぶ介護経営」と題して、初心者でもわかりやすい介護経営のヒントをお伝えします。

 

第12回は、令和6年度介護報酬改定答申のサービスごとの重要ポイントについてです。

訪問系サービス、通所サービス、施設系サービスについてお伝えします。

    

執筆/小濱道博(小濱介護経営研究所 代表)

編集/メディカルサポネット編集部

                                

1. 訪問系サービスが厳しい評価に

訪問介護は、30分以上、1時間未満の身体介護で見た場合、基本報酬が-2.3%のマイナス改定となっている。単位にして6単位のマイナスである。ホームヘルパー不足が表面化して、経営的に厳しさを増している訪問介護の大きなマイナスは、介護業界を震撼させている。

 

厚生労働省の見解では、基準は処遇改善にあって、訪問介護や定期巡回サービスは、介護職員中心であるため、処遇改善加算は全額が介護職員に渡る。他のサービスは、その他の職種の賃上げも必要なための配分としている。他の介護サービスであれば、加算を算定する事でマイナス分をリカバリーすることが考えられる。しかし、特に訪問介護は、加算の種類が最も少ないサービスである。その対策も限られる。そして、最も効果的な算定すべき加算は、特定事業所加算である。加算率は請求金額の3%〜20%の5区分がある。もちろん、算定要件のハードルは高く容易に算定は出来ないのであるが優先事項として検討すべきだろう。

 

定期巡回サービスに至っては、-4.4%と最大規模のマイナスとなった。これまでで最も大きなマイナス査定となったのは、平成27年の小規模デイサービスの約5%のダウンであり、それに継ぐ数字だ。小規模デイは、その後の事業者数が大きく減少した。そのため、総合マネジメント体制強化加算において新たに200単位アップとされた上位区分の算定は必須である。

 

訪問看護は0.24%のプラスではあるが、単位としては1単位の増加に過ぎない。その訪問看護でも多くの加算が創設された。専門管理加算、初回加算の上位区分、診療報酬に合わせて増額されたターミナルケア加算、24時間体制が取れるのであれば、緊急時訪問看護加算の上位区分も必須である。

 

図表:訪問介護における特定事業所加算の見直し②

出典:第239回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料

 【参考資料1】令和6年度介護報酬改定における改定事項について

    

         

2. 通所サービス

デイサービスは、0.44%、地域密着型通所介護は、0.38%のプラスとなった。個別機能訓練加算Ⅰ(ロ)の算定要件である機能訓練指導2名配置中、1名が常勤専従である旨の要件が廃止となり、2名共に機能訓練の時間帯に配置する非常勤配置が可能となった。同時に、

 

 

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