2023.10.16
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薬局で後発医薬品の使用割合を上げるには?後発医薬品使用体制加算の算定要件や具体策

利益を取りこぼさない 薬局マネジメント経営~Vol.4

利益を取りこぼさない 薬局マネジメント経営

    

編集部より

調剤報酬改定のたびにマネジメントの工夫が必要となる薬局や調剤併設ドラッグストア。「物」から「人」へのシフトが鮮明になり、地域の医療情報集積とコミュニケーションを担う役割も求められています。地域社会や患者さんのニーズを満たす新しい試みを続けていくためにも、薬局は安定した経営を続けていくことが必要と言えるでしょう。

  

この連載では、大手薬局グループのエリアマネジャー補佐 篠原奨規(しのはら しょうき)さんが、薬局で実際は行っているのに請求できていない報酬の把握や、見落とされがちな業務の工夫など、利益を取りこぼさないようにする薬局マネジメントについて解説します。

  

第4回は、「後発医薬品使用体制加算」について説明します。本記事では、後発医薬品使用体制加算の目的や算定要件とともに、算定による経営上のメリットを解説します。さらに後発医薬品の使用割合を上げるために知っておきたい、後発医薬品の使用が進まない理由やその具体的な対策も紹介します。

  

執筆/篠原奨規 管理薬剤師 薬局グループ エリアマネジャー補佐

編集/メディカルサポネット編集部

   

      
木のブロックに書かれた「GENERIC」の文字列

      

皆様の薬局では、後発医薬品の使用をどのくらい推進できているでしょうか?

「後発医薬品使用体制加算」への取り組みは、薬局経営における大幅な利益アップにつながるだけでなく、国全体の医療費削減に貢献できるるため、積極的に進めたいものです。

      

1. 後発医薬品使用体制加算とは

青と白のカプセルの中に、積み重ねられた硬貨

   

はじめに、後発医薬品使用体制加算が設立された目的や、国の掲げる後発医薬品の使用割合の目標・現状の推移について見てみましょう。    

後発医薬品使用体制加算の目的

後発医薬品使用体制加算は、調剤基本料に加算される調剤技術料の1つです。日本の課題となっている医療費増大への対策として、後発医薬品の使用推進を目的として設立されました。

後発医薬品(ジェネリック医薬品)とは、先発医薬品の特許が切れ、他の製薬会社が製造・販売できるようになった有効成分を配合する医薬品のことです。先発医薬品の開発には多大な費用がかかる一方、後発医薬品は開発コストが少なく済むため、低価格で販売されます。高齢化の進む日本において、年間9兆円以上におよぶ薬剤費は、医療費増大の原因の1つであり、後発医薬品の使用を推進することで薬剤費を抑えられます。そこで薬局での後発医薬品使用を推進するため、後発医薬品使用体制加算が設立されました。

後発医薬品の使用割合の目標と現状の推移

厚生労働省の公表するデータによると、2022年9月の後発医薬品の使用割合は全国平均で79.94%。後発医薬品の使用割合とは、「後発医薬品のある先発医薬品」と「後発医薬品」の数量を分母とした「後発医薬品」の使用割合を指します。国の目標として、2023年度末までに全ての都道府県で後発医薬品の使用割合を80%以上とすることを目指しています。

  

2. 後発医薬品使用体制加算を算定する経営上のメリット 

パソコンを使って会議をしている経営者  

後発医薬品使用体制加算は、調剤基本料への加算として、受け付けたすべての処方せんに対して算定できることから、薬局にとっては大幅な利益アップが期待できるものです。

例えば1か月に1,000枚の処方せんを応需する薬局の場合、後発医薬品使用体制加算1(21点)を算定すると、1か月あたり210,000円の利益を得られます。処方せんの応需枚数が多い薬局ほど利益アップにつながるため、積極的に算定したい加算です。

 

 

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