2019.04.03
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都道府県が外国人患者受け入れ「拠点」機関選出を
厚労省が通知、検討会で負担の集中に懸念の声も

メディカルサポネット 編集部からのコメント

3月29日に第5回訪日外国人旅行者等に対する医療の提供に関する検討会が開催され、訪日外国人旅行者等に対する取組のまとめが発表されました。残念ながら日本は外国人患者に対し「言葉の問題がある」「外国人旅行者は保険に加入していないケースがある」などさまざまな理由とともに受け入れに後ろ向きの医療機関が見受けられます。日本では医療費概算を事前に提示する仕組みがないこと、宗教・習慣上の違いが原因で発生したトラブルも報告されています。国際化は止めることが出来ません。全医療機関の理解と協力が求められています。

   

 厚生労働省は3月29日の「訪日外国人旅行者等に対する医療の提供に関する検討会」で、同26日に都道府県に対して出した通知について報告した。通知は観光庁と連名で出し、各地域で選出した「外国人患者を受け入れる拠点的な医療機関」の報告を求めている。同検討会では、拠点とされた病院に負担が集中することを懸念する意見が複数あった。【吉木ちひろ】

 

訪日外国人旅行者等に対する医療の提供に関する検討会(29日、厚労省)

 

 厚労省は、都道府県から報告を受けた医療機関について2019年6月中にリストを公開する方針。その後、継続して都道府県からの報告を受け、10月中にリストを更新する。

 

 拠点的な医療機関を選定することについて、構成員からは「患者が集中する、あるいは今まで診ていた先生が診なくなる」などの影響を危惧する意見がが続出。松本吉郎構成員(日本医師会常任理事)は、がんやアレルギー疾患など「ほとんどの拠点病院は善意で患者を受け入れようとしている」として、負担軽減策の必要性を指摘した。厚労省の担当者は26日の通知の内容について、「リストにない医療機関が、外国人の受け入れを減免されるわけではない」と説明した。

 

 また、29日の検討会では厚労省の研究班が作成した「外国人患者受入のための医療機関向けマニュアル」について確認した。細かい修正を加えて、4月以降に第1版を公開し、厚労省から通知または事務連絡で周知する予定。20年度に宗教への対応の詳しい情報や医療機関の対応事例などを加えて改訂する。

 

■議論の結果を整理、在留外国人への適用も視野に

  

 5回目の開催となる同日の検討会では、これまでの議論の結果として、▽拠点病院のリストは観光庁でも英語、中国語、韓国語に翻訳してウェブサイトで公開する▽厚労省の研究班で19年度に、外国人患者の受け入れのための都道府県向けマニュアルを作成する▽診療科価格の算定方法や事例が記された報告書を作成・公開する―予定などを整理した。今後は情勢に応じて同検討会を開催し、今回の議論をフォローアップしていく見通し。検討会で示された対応については、訪日外国人だけでなく在留外国人への適用も視野に入れている。

 

 

 出典:医療介護CBニュース

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