2019.03.27
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20年版「食事摂取基準」が大筋了承―フレイル予防で高齢者の蛋白質摂取目標量を引上げ

メディカルサポネット 編集部からのコメント

3月22日に第6回「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会が開催されました。疲労した身体の回復に欠かせないのがタンパク質。コンビニやドラッグストアでは、タンパク質補助食品やサプリメントを多数見かけます。タンパク質含有食品と聞くと、納豆やたまご、ツナなどを思い浮かべる方も多いと思いますが、高脂肪な食材も多いのでカロリーオーバーも気にしなくてはなりません。健康診断でも「タンパク質をしっかり接種してくださいね」という指導を受けることがありますが、効果的な接種ができる調理法や、低脂肪のものの見分け方など、患者に案内する際は「医学的知識ではなく生活の知恵ベースで話す」ことを怠ると、効果的な指導が期待できなくなってしまいます。相手のストライクゾーンに応じた伝え方が大切です。

   

厚生労働省の「『日本人の食事摂取基準』策定検討会」は22日、エネルギーや各種栄養素の望ましい摂取量などを定めた「日本人の食事摂取基準」の2020年版に関する報告書案を大筋で了承した。20年版ではフレイル予防を柱に据え、高齢者の蛋白質の摂取目標量を引き上げる。同省は年内に新基準を告示し、20年4月から適用する方針。患者の食事指導を行う医療従事者向けの活用資材も作成するとしている。

 

報告書案では、フレイルとサルコペニアの予防を目的とした65歳以上の蛋白質摂取量について「少なくとも1.0g/kg体重/日以上」が望ましいと明記。また、フレイル予防のために特定の蛋白質(動物性/植物性など)や特定の食品を勧めることに関しては、現時点で「十分な根拠は得られていない」としている。

 

総エネルギー量に対する蛋白質の目標量(比率)も改める。15年版では1歳以上の全年代で「13~20%」としているところ、報告書案では65歳以上を「15~20%」、50~64歳を「14~20%」とし、下限を引き上げる。上限については、成人における各種代謝変化への影響や高齢者における高窒素血症の発症予防を考慮し、1歳以上の全年代で20%に据え置く。

 

総エネルギー量は身体活動量によって異なり、必要エネルギー摂取量が低い者では下限が推奨量を下回る場合もある。そのため報告書案では、65歳以上の蛋白質の推奨量を男性で「60g/日」、女性で「50g/日」とし、加齢で活動量が低下している者の下限も推奨量以上に定めることが望ましいとしている。

 

取りまとめに際し、構成員からは「必ず内容を理解してから現場で使用してほしい」との注文も出た

 

出典:Web医事新報

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