2023.10.06
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【伊藤亜記】ハラスメントと指導はどう違うか 適切な人材育成につなげよう

メディカルサポネット 編集部からのコメント

普通に指導していたつもりだったのに、ハラスメントとして指摘されてしまった……そんなケースが医療介護の現場でもよくあります。そのような事態を防ぐにはどうすればいいのでしょうか?

介護コンサルタントで介護福祉士・社会福祉主事、株式会社ねこの手の代表取締役である伊藤亜紀さんが、よく医療介護の現場で混同される「指導」と「ハラスメント」の違いを解説します。本文内にはわかりやすい事例や比較表があります。

    


《 株式会社ねこの手:伊藤亜記代表取締役 》

   

「リーダーの見えないところで、ベテランのパート職員が新人のパート職員をいじめている」と他の職員から言われました。何度か注意しているのですが、本人は「育てているつもり」と非を認めません。年齢も職歴も管理職の私より上のため、正直、言っても響かないような気がします。どうしたら良いのでしょうか?

   

先日、そんな相談を介護現場の方から頂きました。【伊藤亜記】

    

私も“育成”という名のハラスメントのご相談を多く頂いていますが、いじめが「モラハラ(モラルハラスメント)」にあたるということを、ベテラン職員になればなるほど理解されていない方が多い気がします。

    

◆「モラハラ」と「パワハラ」の違いは?

      

モラハラは「精神的な嫌がらせ」と訳されることも多く、上記のように「いじめ」に近い概念と言われています。言葉や態度、身振りなどで人を不安に陥らせたり、人格や尊厳を傷つけたり、巧妙に支配したりする精神的な暴力・虐待のことです。

    

パワハラのように、例えば大声で叱責するような威圧的な行為ではなく、加害者に積極的な悪意がないケースもあります。被害者は強いストレスを感じているのに、加害者の方は「指導したつもりだった」と言うことも少なくありません。

     

モラハラは目に見えた被害がないなどの特徴から、「見えない暴力」と呼ばれることもあります。その「陰湿さ」や「継続性」によって被害者が受ける精神的なダメージは、決して小さくありません。絶対にしてはいけないことです。

    

◆ パワハラとは

     

パワハラとは、「同じ職場で働く人に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的な苦痛を与える、または職場環境を悪化させる行為」です。次の表に分かりやすい例をあげますが、当然これらも絶対にしてはいけないことです。

     

    

◆ 指導とは

     

指導という言葉の意味は「教え導くこと」です。

     

時には叱ることがあっても、そこには常に「よくなって欲しい」「成長して欲しい」という思いが根底に流れているということです。ただ、パワハラをしている職員に話を聞くと、「自分も同様に上司にされてきたから」など、過去に受けた間違った指導をそのまま行っているケースも多く見られます。

    

職場での指導であれば、

     

◯ 部下に対し、自らの欠点を自覚させるだけでなく、併せて長所を気付かせる

    

◯ 事後的なフォローをすることで、指導前の状況よりも引き上げるように努力する

    

◯ 指導の必要性を明確にし、部下に伝える

    

などがポイントになります。

    

◆ モラハラ・パワハラと指導の違い

     

モラハラやパワハラと指導とでは、目的や業務上の必要性、態度などに明確な違いがあります。以下の表に例をまとめてみました。

    

      

注意が必要な場合でも、その相手や状況によってパワハラと感じるかどうかは違います。「客観的に見た時に、相手の立場に立って見た時にどうなのか」も指導する職員に常に考えてもらうようにし、適切に人材育成が行われるようにして下さい。

                               

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 出典: JOINT

  

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