2018.05.31
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40年度の社会保障を「政争の具にしてはならず」
~日医・横倉会長、財政審に反発

メディカルサポネット 編集部からのコメント

日本医師会の横倉義武会長は、高齢者人口がピークを迎える2040年度に向け、財政制度等審議会が取りまとめた新たな財政健全化計画に関する提言について、「国民が必要とする医療の財源の確保が必要」との見解を発表しました。

 

日本医師会(日医)の横倉義武会長は30日の定例の記者会見で、財政制度等審議会(財政審)が取りまとめた新たな財政健全化計画に関する提言(建議)に対する見解を発表した。高齢者人口がピークを迎える2040年度に向けた社会保障の在り方は「政争の具」にしてはならないと訴え、保険料を支払う支え手の負担能力を超えるような医療費の増加があった場合に給付率を調整する「給付率の自動調整」について、反対の意向を改めて示し、「国民全体で合意の上で、納得を得られる負担と給付を導き出すべきだ」とした。【越浦麻美】

 

財政審が取りまとめた建議に対する見解を発表する横倉会長(30日、日医会館)

 

財政審の建議では、19年度から3年間の社会保障費の伸びをどれだけにすべきか、具体的な「目安」を掲げなかったが、横倉会長は「国民が必要とする医療の財源はきちんと確保すべきだ」とけん制し、財政審の提言のうち、「給付率の自動調整」「地域別の診療報酬の設定」「受診時定額負担」の3つについては、「問題の大きい項目」と反対の姿勢を示した。

 

地域別の診療報酬については、都道府県境の患者の動きに変化が起き、医療従事者も移動することで、地域偏在が加速して「医療の質の低下」を招く恐れがあるため、「容認できるものではない」と批判した。

 

さらに、かかりつけ医以外の医療機関を受診した患者に一定程度の追加負担を求める「受診時定額負担」については、まずは「他の方法によって財政再建にしっかり取り組んでいくべきだ」と改めて強調した。

 

一方、見解では、建議の中には「日本医師会と同じ方向性の項目もある」とし、所得だけでなく金融資産の多さなどに応じて、医療費の負担能力を判定する仕組みの導入を例に挙げた。

  
出典:医療介護CBニュース

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