2021.06.30
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新年度の実地指導対策

介護経営コンサルタント小濱道博の先手必勝の介護経営 vol.9

 

編集部より

今、介護事業所の経営には、「新型コロナウイルス感染症への対応」と「制度改正を見据えた長期的な戦略」という2軸が求められています。先が見通しにくい時代に、介護経営支援に携わってきた小濱介護経営事務所の代表、小濱道博さんが「先手必勝の介護経営」と題して、1歩先行く経営のヒントを1年間にわたってお伝えします。介護報酬改定後の最初の国保連請求を終え、今後の対応への足掛かりをつかんだ経営者の皆さまも多いことと思います。第9回は、実地指導に関する解説です。昨年はコロナ禍で延期や中止となりましたが、この6月から再開されています。実地指導があるからといって慌てるのではなく、日頃からのプロセスが大切だと小濱さんは話します。とはいえ、今回の実地指導は改めて確認する点も多くあり、経営者・管理者の皆さまは業務日誌や記録、算定要件の比較対象年度を今一度確認しておくことが必要です。

 

コロナ禍特例措置と加算の算定要件を再チェック!

 

この6月から新年度の実地指導が本格的に再開されているが、令和2年度からはコロナ禍特例措置などもあって、法令の解釈では更に複雑さが増している。特例措置を使っている場合は、その根拠となる記録が特に重要となるために、再チェックをしておくべきだ。

 

特に、職員が発熱や学校の休校などのコロナ禍の影響で休んだために職員の配置基準を満たせない日がある場合でも、人員基準減算を適用しない旨の特例があるが、その理由や状況を日々の業務日誌などで確認できないと特例は適用されない。

 

また、介護職員処遇改善加算と介護職員等特定処遇改善加算の算定要件が毎年のように変わっている。特に令和2年度は比較対象年度が、最初に加算を算定した前の年度から、算定の前年度となり、さらに前年の1月から12月と当年の4月から翌年3月を比較するという変則的な算定要件となった。さらには、最初に加算を算定した前年以降の独自の改善額を別枠で計算して基準年度から差し引く処理を行うのであるが、この辺りの明細の作成で多くの時間を費やすであろう。従来とは大きく異なるため、再確認が必要だ。同様に、7月には介護職員処遇改善加算と介護職員等特定処遇改善加算の実績報告の提出を控えている。

 

 

 

 

今は半日型の実地指導が中心に

 

2019年、厚生労働省から「介護保険施設等に対する実地指導の標準化・効率化等の運用指針」が発出された。実地指導を効率化して年間の指導件数を増やすことが主たる目的である。

 

従来から厚生労働省は介護事業所を所轄する自治体に対して、少なくても指定有効期間である6年以内に1度は実地指導を行い、その事業所に問題ないことを確認してから指定の更新手続を進めるように通知を出している。しかし、介護事業者の急増によって物理的に困難な状況が続いているのが現実だ。

 

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