2021.09.27
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【最終回】LIFEフィードバック活用が差別化を拡大
~介護事業所がおさえておくべき4つのこと~

介護経営コンサルタント小濱道博の先手必勝の介護経営 vol.12

 

編集部より

今、介護事業所の経営には、「新型コロナウイルス感染症への対応」と「制度改正を見据えた長期的な戦略」という2軸が求められています。先が見通しにくい時代に、介護経営支援に携わってきた小濱介護経営事務所の代表、小濱道博さんが「先手必勝の介護経営」と題して、1歩先行く経営のヒントを1年間にわたってお伝えします。介護報酬改定後の最初の国保連請求を終え、今後の対応への足掛かりをつかんだ経営者の皆さまも多いことと思います。本コラム最終回を迎えました。LIFEの運用開始から6カ月目となり、今は最初のフィードバックへの注目が集まっています。今後LIFEを活用し生き残るために、今から経営者がおさえておくべきポイントを4つ解説していただきました。介護事業所を「運営」ではなく「経営」していくために欠かせない視点を理解し、今日からの経営にご活用ください。

  

トラブル多発の船出

 

4月から運用が開始された科学的介護情報システム(以下:LIFE)は、初日からシステム障害で運用がストップした。その原因は、想定以上のアクセスが集中したためとされている。システムがパンクするほど、多くの介護施設、事業所がLIFEに取り組んでいることを意味する。その後のトラブルも多く、“LIFE鬱”という言葉も聞こえている。

 

しかし、LIFEには将来性を大きく感じることも事実だ。LIFEのデータ提出は、トラブル多発の影響で、特例措置として4月から6月分については8月10日までに提出を認めていた。そのため、7月後半よりデータ入力に掛かり、何とか10日の提出に間に合わせた施設、事業所も多い。

 

今後の焦点は、7月提出月分までのデータを分析したフィードバックである。今後、フィードバック内容を順次拡充していく予定とアナウンスされている。提供されるデータは、当初はPDF形式のみと言われていたが、Excel形式のデータも選択できるという。それであれば、自分たちでデータ加工できるので活用の幅が拡がる。

 

 

 

 

今後、LIFEのフィードバックにより、介護事業所の差別化はより拡大することが予想されている。LIFEを活用し生き残るために、今から経営者がおさえておくべきポイントを4つ解説する。

 

 

1,事業所内に「LIFE委員会」を編成すべき

 

今後は医療のDPCデータベースとの連携も行われる予定である。LIFEデータベースによって、全国平均値というエビデンスが確立するメリットも大きい。LIFEが軌道に乗ることで、全国標準の比較対象ができる。それによって介護サービスの評価の標準化が進むことが期待できる。利用者、家族も優良なサービスを提供する施設、サービスを提供する事業所を適切に選ぶことができるし、標準に届かないサービスを提供する施設、事業所は淘汰されていくであろう。これからは、このフィードバックの活用次第で、介護施設、事業所間のケアの質の格差が拡大していく。

 

フィードバック基本的な構成は、ADL値などの項目ごとに、提出データの時系列での変化をグラフで示される。そこにLIFEの全国平均値が比較対象として提示される。この漠然としたデータを職員で共有してLIFE委員会を構成し、検討会議などを定期的に開催する。ここには、各部署の専門職が、それぞれの立ち位置でフィードバックされた情報を用いて、その原因分析と今後の対応策を検討することになる。

 

それを上手く機能させるためには、多職種が連携して、利用者の更なる状態の改善に取り組むためのLIFE委員会の構築と定期的な検討会議の開催が必要となる。このLIFE委員会のレベル格差が、将来的に事業者間格差となっていくだろう。

   

 

 

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