2023.10.27
5

やりがいのある職場は看護の質が高い!職場作りにおいて看護師管理職が意識したいこと

            

編集部より

看護師個々が業務にやりがいを感じている職場は、モチベーションも高く、病棟内の雰囲気も明るいものです。業務がスムーズに進みやすくなり、人間関係も円滑になる傾向があるのではないでしょうか。結果として、看護師の定着率アップも期待できます。とはいえ、現場で働くすべての看護師がやりがいを感じているとは限りません。本記事では、看護師がやりがいを感じられない理由や、やりがいを感じられるような職場作りに必要なことなどについて解説します。看護の質向上のためにも、やりがいのある職場作りを目指しましょう。10年以上看護師として勤めた木村さんが解説します。

 

執筆/木村 美穂 医療ライター(看護師資格保有)

編集/メディカルサポネット編集部

   

             

1.やりがいを感じながら仕事ができている看護師の割合は?

男性患者と会話をする女性看護師

    

2022年に日本医労連・全大教・自治労連が共同で調査した「2022年看護職員の労働実態調査」によると、看護の仕事にやりがいを「強く感じている」人は10.8%しかおらず、「すこし感じる」人が66.20%と大半を占めていました。また、「強く感じている」人にフォーカスすると、そのうち37.10%が「十分な看護が提供できていると思う」と回答しています。

 

アンケート「看護の仕事にやりがいを感じているか?」の集計結果2022年看護職員の労働実態調査にて、看護師がやりがいを感じているかの調査結果をもとにグラフを作成

出典:日本医労連・全大教・自治労連「2022年看護職員の労働実態調査」13ページ

 

このデータから、看護師の勤務環境が厳しく、やりがいを感じる余裕がないことが読み取れますが、その環境下でも強くやりがいを感じている看護師は、十分な看護を提供できていると感じる割合が高いこともわかります。

では、具体的に看護師はどのようなときにやりがいを感じるのでしょうか。

     

2.看護師としてやりがいを感じるのはどんなとき?

病院で向かい合う高齢患者と若い看護師     

看護師がやりがいを感じやすい4つの場面

患者さんや家族から感謝の言葉をいただいたとき

患者さんの身体を拭いたり、話を聴いたりした後「ありがとう」と感謝の言葉をいただくと「患者さんの助けになれた」と思い、やりがいを感じるのではないでしょうか。

看護師としての責任を全うできたとき

看護師は、患者さんの命を守ることが仕事であり、責任を持って取り組むべきことではないでしょうか。筆者の場合、患者さんの異変を早期に発見できたことで、看護師の責任を全うしたと感じた経験があります。看護師1年目に、人工呼吸器を装着している患者さんを担当したとき、突然、酸素飽和度が急激に下がり始めたことがありました。呼吸音の聴取や触診から「気胸かもしれない」と気づきました。すぐに医師へ報告し、適切な処置によって患者さんが回復されました。「患者さんの命を自分の手で守れた」という達成感や、命の危機を無事に乗り越えられたという安堵感は、看護師としてのやりがいにつながった経験です。

多職種のスタッフと連携しチームワークで患者さんの回復が見込めたとき

チームワークを発揮し、看護師としての業務を全うできたときも、やりがいを感じるものです。臀部に褥瘡がある患者さんに対し、リハビリ職員と協力し褥瘡に負担がかからない体位を工夫したことで褥瘡が改善したことがあります。達成感を得て大きなやりがいを感じました。

  

自分がスキルアップしたと感じたとき

腹腔穿刺の介助についたとき、はじめの数回は医師から指示が出てから物品の準備をしていましたが、回数を重ねて次に必要となる物品が分かるようになり、医師からの指示が出る前に物品を用意できるようになりました。医師からは「分かるようになってきたね」といわれ、自身の成長を感じたことがあります。スキルアップできた喜びはやりがいにつながります。

     

3.看護師がやりがいを感じられない4つの理由

手を額に当てて悩んでいる様子の女性看護師

やりがいを感じる看護師がいる一方で、やりがいを感じられない看護師も少なくありません。なぜ、やりがいを持って取り組むことができないのでしょうか。やりがいが感じられない理由として、以下の4つが挙げられます。

   

   

会員登録されている方のみ続きをお読みいただけます。

この記事を評価する

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

TOP