本音で語る、看護師が病院を辞めたいと思う10の理由と管理職がとるべき対策

　小さいころから憧れていた看護師。でも、いざなってみると、こんなはずじゃなかったと感じたことがある看護師は多いのではないでしょうか。潜在看護師は、なんと看護師全体の約30％（2018年末時点）。病院で看護師を辞めたい！と感じる理由とともに、管理職が気を付けたいポイントについて解説します。

看護師として働いていくなかで、一度は「辞めたい」と考えることがあるかもしれません。「今の職場を辞めて、違うところで働きたい」もしくは、「看護師そのものを辞めたい」と考えたことがある方もいるでしょう。転職を考えるきっかけは、人それぞれであり、職場の規模によっても異なります。また、看護師という仕事自体を辞めてしまう人も少なくありません。看護師の資格を保有していながら看護師として勤務していない、いわゆる潜在看護師は年々増加傾向にあります。2018年末の時点で、資格を持っている看護師のうち約30％は潜在看護師となっています。

2018年度末における潜在看護師の数と割合

出典：潜在看護職員数の推計｜厚生労働科学研究費補助金(地域医療基盤開発推進研究事業)「新たな看護職員の働き方等に対応した看護職員需給推計への影響要因とエビデンスの検証についての研究」分担研究報告書（令和 2 年度）より

看護師不足が叫ばれるなかで、どんなときに看護師は転職を、あるいは看護師そのものを辞めたいと考えるのでしょうか。次項より、病院の規模別にその理由を紹介します。

まずは、総合病院で働く看護師が辞めたいと感じる理由として代表的なものを3つ紹介します。

業務内容がハード

総合病院の外来勤務では、来院する多くの患者さんに対応することになります。急性期の患者さんが中心であり、問診や検査の説明、誘導、診察と多くの業務をこなさなければいけません。次から次とやるべきことがある状態で、常に時間に追われながら業務をこなす必要があり、負担を感じる看護師は多いでしょう。また、総合病院では、救急での受け入れを行っていることから、病棟では緊急入院が当たり前。日夜を問わず、入院指示が入る病棟も多くあります。入退院が多いと、それだけでも業務が増えます。こうした忙しさと業務内容のハードさを理由に、看護師を辞めたいと思うことがあるかもしれません。

上司からのパワハラ

総合病院は新卒の採用が多く、教育体制がしっかりと整っています。中途採用であっても、新規採用としてカリキュラムに沿った指導を受けるところが多いのではないでしょうか。教育体制が整っている点はありがたいことですが、指導者との相性によってはマイナスに感じることもあるでしょう。「指導というより、これはパワハラでは……」と感じたことがある看護師も多いようです。また、新卒者が多い職場だと、スタッフの平均年齢が低い傾向にあります。経験が浅いスタッフは、ベテランからの指導に圧迫感を感じることも少なくありません。また、独身スタッフが多い職場だと、子どもの病欠に理解が少なく、上司からも冷遇されたという意見も聞かれます。上司からパワハラを受けたと感じることで、辞めたいと感じてしまうようです。

業務以外の委員活動などが負担

総合病院では、日ごろの業務のほか、委員会、学習会への参加があります。これらの活動を負担に感じる看護師も多くいます。本来、休日であるにもかかわらず、委員会への参加のために職場に出向いたり、委員会活動や、学習会のための資料を作ったり、学習会への参加後に提出するレポートを作成しなければいけません。こうした活動は、勤務時間外に行われることがほとんどで、休みや業務が終わった後など、プライベートの時間を使うことになります。加えて、看護研究もかなりの労力を必要とします。自分の学びにつながるものではありますが、負担の大きさに看護師を辞めたいと考えることもあるでしょう。