2023.03.06
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多職種連携につながる地域での信頼関係の構築 

“超”地域密着調剤薬局の経営戦略 ~地域と共に生き続ける~ vol.11

“超”地域密着調剤薬局の経営戦略  ~地域と共に生き続ける~

 

編集部より

「物」から「人」へ。2025年の実現を目指す地域包括ケアシステムの構築に向けて、薬局のあり方は変革期の真っ只中です。厳しい薬局経営が続く中、地域に根差す調剤薬局の強みを活かせる時代がようやく来たと考えている薬局経営者・管理者の方たちも多いことと思います。しかし、街の小さな薬局が地域と共に生きるとは具体的にどういうことなのでしょうか?本コラムでは、東京都練馬区江古田で地域密着調剤薬局経営をされている、たむら薬局の田村憲胤(のりつぐ)さんに、採用・税務・地域連携など薬局経営に関わる実践知についてお話しいただきます。

第11回は、まず2024年度の診療報酬改定のスケジュールについて。そして、毎月薬局内で開催しているケアカフェのイベントや薬局外での地域ケア会議や地域住民に講演などで多職種連携をし、地域で信頼を勝ち得てきたたむら薬局が、どのようにコロナ禍と戦い、地域に貢献できるサービスや試みをしてきたのかの具体的取り組み事例をうかがいました。

2024年度診療報酬改定に向けたスケジュールは?

皆様こんにちは。

1月18日厚生労働省の中医協総会で、2024年度の診療報酬改定に向けた検討の項目やスケジュールの案が示されました。

そして2月16日には 2024年度に始まる第8次医療計画と介護保険事業(支援)計画に向け、厚生労働省の医療介護総合確保促進会議において地域包括ケアシステム構築の目安とする2025年以降を意識した「ポスト2025年の医療・介護提供体制の姿」が示され、住み慣れた地域で暮らし続けるために、「治す」に特化した入院医療機能だけでなく、在宅医療や外来医療、各種介護サービスとも相互にカバーし合う「地域で完結して提供される地域包括ケアシステム」に向けて、患者や利用者といった「国民視点」を意識した「地域完結型」の提供体制構築に向けた機能分化と連携に関して今後議論されていくようです。

 

2024年度の診療報酬改定のスケジュール案を見ると,来月頃から検討の場として、介護給付費分科会委員との意見交換会が3回程度行われ、春頃から夏ごろまでにまず第8次医療計画、医師の働き方改革、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の3つのテーマについて議論され、その後、入院、外来、在宅、歯科、調剤、感染症などについて意見交換を行い、来年の2月頃には2024年度の診療報酬改定の全容が示されているわけですが、はたしてどうなるのでしょうか。

        

 

令和6年度診療報酬改定に向けた中医協等の検討スケジュール<出典:厚生労働省

    

 

2020年度診療報酬改定で退院時薬剤情報連携加算が新設されて以降、退院時にもらった薬剤情報提供書を持って来局する患者は増えました。

前回2022年度の調剤報酬改定において、薬局での退院時共同指導料の算定回数が少ないと指摘され、患者が入院している医療機関での共同指導への参加職種に薬剤師が加えられ、同時にビデオ通話による共同指導への参加についても条件が緩和されました。

以前は退院時カンファレンスに呼ばれても、業務中の薬局を抜け出すことができず、やむを得ず参加できない状況もありましたが、コロナ禍で薬局でのICT化が一気に進んだタイミングでビデオ通話による参加が可能になり、薬局の業務の合間に参加できるようにもなりました。

実際、私の薬局でも2022年コロナ禍zoomで行われた退院時カンファレンスに呼ばれ、参加しましたが、少子高齢化という人口構造の変化と限られた社会保障制度の中、住み慣れた地域で最後まで暮らし続けるためにも、日常生活圏域での多職種連携を地域で進めていくことが重要になってくると思っています。

 

そこで、今回は「多職種連携」に関して書かせていただきます。

     

        

ケアカフェで管理栄養士とイベント、在宅に強い薬局を目指して

第3回のコラムで書かせていただきましたが、私の薬局では地域包括支援センターや練馬区と連携して、「街角健康ケアカフェ」を開催しています。

4年ほど前から開始し、「ボランティアさんによる健康体操教室」「薬剤師によるお薬教室」「管理栄養士による食の教室」を組み合わせて、現在は定期的に開催しています。

一昨年に栄養ケアステーションの認定も受け、管理栄養士監修の健康お弁当の販売も開始し、案内リーフレットでも管理栄養士がいることをアピールし、必要な時にいつでも渡せるよう準備し、併せてSNSや公式LINEでも発信してきました。

 

多職種連携につながる地域での信頼関係の構築 

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