メールの件名が「~の件」はNG!? 医療従事者のためのビジネスメール術

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毎日のように使うビジネスツールのメール。簡単に操作できることもあり、ビジネスメールの基礎を習ったことがある人は多くないかもしれません。でも、操作できることと正しく使えていることは別物。「メールの件名に『~の件』と書くのはNGですよ」。そう指摘するのは、医療・製薬業界向けのビジネスメール講座で講師を務める一般社団法人日本ビジネスメール協会認定講師の花井美代子さんです。自分のメールは実は間違いだらけかも…!? 花井講師に、医療従事者のための「伝わるビジネスメール」のイロハをお聞きします。

取材・編集・構成/メディカルサポネット編集部

メールの件名が「~の件」はNG!? 医療従事者のための「伝わるビジネスメール術」

 

――医療従事者がメールを作成するときに気を付けるポイントはありますか?

 

花井美代子さん(以下、花井):医療従事者もビジネスパーソンもメールの基本的なポイントは変わりません。大切なのは自分の主張よりも「受け手に分かりやすく、読みやすく伝えること」を意識することです。

 
「大切なのは受け手に分かりやすく、読みやすい文面であることです」と話す花井美代子講師

「大切なのは受け手に分かりやすく、読みやすい文面であることです」と話す花井美代子講師

 

――「分かりやすく、読みやすく」するには、具体的にどのような点に注意すればよいのですか?

 

花井:意識するポイントとしては大きく3つあります。

   1)受信者への心遣い

   2)正しい言葉遣い

   3)ビジュアルの見やすさ、分かりやすさ

   では上記3つをさらに詳しく解説していきます。

 

署名に表れる受信者への心遣い

花井:ビジネス、医療関係者問わず全てのメールの基礎にあるのが「受信者への心遣い」です。これから解説するポイントは全てこの心遣いを表現したものと考えてください。例えばこんなメールの署名は見たことがありませんか?

 

      例)

      ------------------------------------------

       日本ビジネスメール協会 花井美代子

       Hanaimiyoko@*****.com

      ------------------------------------------

 

――はい、見掛けますね。シンプルイズベストという考えなのでしょうか。

 

花井:受信者の立場に立ってみてください。緊急の要件で送信者にメールではなく電話をする必要が生じたとします。しかし、署名に電話番号が記載されていなければ、名刺ストックをひっくり返して探すことになるでしょう。このような手間を生じさせないためにも、署名には名刺に書いてある程度の情報は盛り込みましょう。これも相手への気遣いの一つです。

  

「よいしょ」メールになっている!? 謙譲語オンパレードに注意

――「相手への心遣い」を他にも表現できる方法はありますか?

 

花井:分かりやすい表現としては「言葉遣い」です。ポイントの2つ目、「正しい言葉遣い」についてお話しますね。私の講座を受ける生徒によく見られるメールがこちらです。

 

 

医療従事者のためのビジネスメール術 画像1

  

 

――私もこのようなメールを書いている心当たりがあります。どこがいけないのでしょうか?

 

花井:「〇〇させていただきます」という謙譲語のオンパレードには、違和感がありますよね。丁寧に書こうとする思いは伝わるのですが、へり下り過ぎると、伝えたい大事なポイントがぼやけて相手にとっては読みにくい文章になるんです。

 

――「させていただく」の遣いすぎを減らすにはどうしたらいいのでしょうか?

 

花井:「させていただく」とは、相手からの許可をもらう言葉であるとされています。ですから「これってわざわざ許可をもらわなきゃいけないことなの?」と立ち止まることが大切。「昨日、訪問させていただきました」では、「すでに許可を得ずに訪問したじゃないの」となってしまうでしょう(笑)。こういう時は「させていただく」から「いたす」に書き換えると自然です。

 

 

医療従事者のためのビジネスメール術 ポイント1

  

 

特にドクター宛てのメールは、持ち上げ過ぎの「よいしょ」メールが目立ちますね。相手に失礼がないように、とは言えオーバーにならない相手を尊重するようなさじ加減を身に付けましょう。

 

知っていると便利!「クッション言葉」を活用しよう

――相手に返信を促したり、何かをお願いしたりするメールは特にへり下った文面になりがちです。どうしたらいいでしょうか?

 

花井:そういう時は「クッション言葉」をはさむと相手への気遣いが表現できるので便利です。

 

 

医療従事者のためのビジネスメール術 ポイント2

  

また返信を促すメールを送るときは「できるだけ早くご返答いただけると幸いです」と書く人もいますが、これは避けましょう。「〇日までに」と具体的に時期を区切って依頼した方が相手もスケジュール調整しやすく、返信率が上がります

 

メールは件名が命 忙しい人にも読まれる件名とは?

花井:そして、ポイントの3つ目の「ビジュアルの見やすさ、分かりやすさ」でも相手への心遣いを表現できますね。私はメールの命は「件名」にあると思っています。治験関係の企業に在籍していたころ、1日に100件以上もメールを受信されるある著名な先生がいらっしゃいました。先生がメールチェックをするのは午前と午後の診療の間のわずかな休憩時間のみ。その短時間に何百件のメールの件名のみザッと見て、返信するしないを判断されていました。そのためパッと見て「今すぐ読んでおこう」と思ってもらえる件名にこだわりました。  

ポイントは具体的に書くことです。例えばこうです。

 

   

 

ぼんやりと内容は分かりますが、中身については一切触れられていないですよね。これだと「後で読もう」と判断され、結局読まれない可能性が高まります。

ですからこのように書きます。

 

   

 

具体的な内容を盛り込み、さらに緊急度合いを【至急】と冒頭に示します。【 】は、テキスト形式のメールの見やすい装飾としても活用できます。

  

――件名の最後に、(日本ビジネスメール協会・花井)といったように( )を付けて、会社名と氏名を明記する人もいますが、これは必要でしょうか?

 

花井:ご自分のメールが送付先のメールボックスではどのように表示されるか確認していますか? まだの方は、確認しましょう。大抵は差出人の欄に、ご自身の名前が表示されます。その場合、わざわざ名前を二度も掲示する必要はありません。また、最近では差出人に表示される名前がローマ字表記の人も見受けられます。「伝わりやすさ」を優先するのであれば、日本では漢字表記をおすすめします。何百件とメールを斜め読みする相手の目を引くには漢字の方がわかりやすく、反応が早いです。

 

赤字やマーカーなどのテキスト装飾って読みやすいの?

――重要な部分を赤字にしたりマーカーを引いたりしているメールを見かけることがありますが、この装飾は効果的でしょうか?

         

医療従事者のためのビジネスメール術 画像4

  

 

花井:メールには2つの形式があります。ご自身が使っているメールが、HTML形式なのかテキスト形式なのか、意識していますか? 設定によって装飾が反映されたり、されなかったりします。文字に色を付けたり、ラインを引いたりできるのはHTML形式ですが、受信者がテキスト形式の場合は反映されないと考えた方がいいでしょう。日本ビジネスメール協会が毎年行っている「ビジネスメール実態調査」の2019年度版によると、仕事でメールの送受信に使用している形式はテキスト形式が6割を超えています。その理由は「低容量で済む」「ウィルスに感染しにくい」など諸説あるようですが、色やフォントの装飾が反映されないユーザーも多いということです。それならば、装飾なしのメールがいいのではないでしょうか。

 

  仕事でメールの送受信に使用している形式

仕事でメールの送受信に使用している形式(出典:日本ビジネスメール協会「ビジネスメール実態調査209」)

 出典:日本ビジネスメール協会「ビジネスメール実態調査2019」

 

 

――テキスト形式で目立たせたり、重要な箇所を示したりするにはどうすればいいのでしょうか?

 

花井:【 】や「 」を使用したり、◆や◎などの記号を使って目立たせましょう。項目の前に・を付ける箇条書き形式で内容をリスト化するのも、見やすい工夫として活用できます。メールも対面も、コミュニケーションの方法は基本的に同じです。挨拶してから名乗り、どういう用件なのか端的に伝える。1日の仕事のTODOリストに「メール」という項目を入れる人は少ないと思います。メールは隙間時間に処理することが多いからこそ、内容がすぐにわかるメールを送るのは大切な気遣いになるのです。自分自身の業務を効率化する上でも、相手に伝わるメールの型(大まかにテンプレート化できるもの)を持っておくといいですね。

 

――ビジネスメールを使いこなし、円滑なコミュニケーションをはかりたいと思います。どうもありがとうございました。

プロフィール

花井美代子 (はない みよこ)


一般社団法人日本ビジネスメール協会認定講師。治験実施施設支援機関の取締役として人事、社員教育に携わる。医療業界における人事・社員教育の経験を活かした豊富な事例に基づき、実践的で、受講者の理解を深め

るビジネスメールの指導を得意とする。ビジネスメールやビジネスマナーなどビジネススキル講師として幅広く活動中。

一般社団法人日本ビジネスメール協会 https://businessmail.or.jp/

 

花井美代子 (はない みよこ)一般社団法人日本ビジネスメール協会認定講師

 

 

メディカルサポネット編集部

(取材日/2019年7月22日)

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