2020.01.17
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老人福祉事業の倒産が最多の96件、19年
9割超が破産、帝国データ調べ

メディカルサポネット 編集部からのコメント

帝国データバンクの調べによると、2019年の老人福祉事業の倒産は96件で、介護保険制度が始まった2000年以降で最多となりました。うち9割超が破産によるもので、当初の計画通りに利用者が集まらなかったり、介護職員を十分に確保できず運営に支障を来たしたりするケースがあったとみています。

 

 2019年に全国で発生した老人福祉事業の倒産は96件で、介護保険制度が始まった2000年以降、最多だったことが帝国データバンクの調べで分かった。運営母体が消滅する破産手続きの開始決定が全体の9割超を占め、帝国データバンクでは、競合で計画通りに利用者が集まらなかったケースがあるとみている。【吉木ちひろ、兼松昭夫】

 

 老人福祉事業は、訪問介護・通所介護サービスや医療行為を行わない高齢者向け住宅サービスなどが中心の事業者。帝国データバンクによる倒産のカウントは、破産手続きの開始決定や民事再生法の適用の申請など法的な整理が対象で、資金ショートによる銀行取引の停止などは含んでいない。

 

 老人福祉事業の倒産は、2000年から06年にかけては10件未満で推移していたが、15年には前年比13件増の58件、16年には35件増の93件と急増していた。19年は13件増の96件だった。そのうち87件(全体の90.6%)が破産によるもので、事業を継続しながら再建を目指す民事再生法は4件(4.2%)だった。

 

 また、倒産の原因別では、「販売不振」が71件(全体の74.0%)、「その他」が12件(12.5%)、「経営計画(設備投資以外)の失敗」が6件(6.25%)など。不況型の販売不振が7割を超え、帝国データバンクでは、競合などで当初の計画通りに利用者が集まらなかったり、介護職員を十分に確保できず運営に支障を来したりしたケースがあるとみている。

 

老人福祉事業の倒産件数の推移(2000-2019年)帝国データバンク調べ

帝国データバンク調べ

 

■医療機関の倒産は45件

 

 一方、医療機関(病院、診療所、歯科医院)の倒産は前年比5件増の45件だった。これは09年の52件、07年の48件に次ぎ2000年以降では3番目の多さで、破産が38件(全体の84.4%)と8割超を占めた。民事再生法による倒産は7件(15.6%)だった。

 

 帝国データバンクの担当者は、「地方部では医師不足や医師の高齢化で事業継続を断念するケースもある」と話している。

 

 45件の内訳は、病院が8件(前年比5件増)、診療所が22件(8件増)、歯科医院が15件(8件減)。診療所は09年の27件に次ぐ多さだった。

 

医療機関の倒産件数の推移(2000-2019)帝国データバンク調べ

帝国データバンク調べ

 

出典:医療介護CBニュース

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