2019.03.12
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私が選ぶ平成の医療最大の進歩
【聞かせてください! 現場のホンネ】(91)

メディカルサポネット 編集部からのコメント

間もなく30年にわたる平成時代が幕を閉じます。テレビや雑誌で「平成時代を振り返る」特集をご覧になられた方も多いのではないでしょうか。平成元年はまだ携帯電話も、パソコンも一般的ではなく、待ち合わせはメールではなく、駅の改札前の黒板に伝言を書き残したものです。消費税もまだ存在しませんでしたこの年の流行語大賞は「セクシャル・ハラスメント」。働き方改革は平成と共に始まったのかもしれませんね。医療界も30年間でさまざまな変化がありました。30年後の人は今の医療現場をどう眺めることでしょうか。

 

1989年1月8日から始まった平成時代。今上天皇は4月末に退位され、5月より新たな時代が幕を開けます。約30年間の平成時代の医療を振り返り、最も大きく進歩したと感じることは何ですか。寄せられたコメントの一部を紹介します。

がん治療

◉切除不能の胃癌と診断しバイパス手術の目的で紹介した患者さんが在宅で長期間(約8カ月)生存した。 (開業医)
◉肺癌の再発患者に対して放射線治療と内服治療を施行したことにより、ほぼ寛解が得られている。(開業医)
◉転移があっても長期生存される患者さんが増えた。 (勤務医)
◉非小細胞肺癌で脳転移しており、完治はないと思われていた方ががん免疫療法で治療効果が見られ、小康状態を保っている。今はいつまで治療を続けなくてはいけないか等の課題を抱えている。(栄養士)

生物学的製剤の登場

◉クローン病で瘻孔ができていた患者が、「レミケード」を開始した途端、みるみる瘻孔が閉鎖し、元気になった。(開業医)
C型肝炎の治療
◉わけもわからずインターフェロンを使い始めた頃とは隔世の感あり。(勤務医)
◉平成元年に医師になった。非A非B肝炎と言っていた時代からインターフェロン、そしてインターフェロンフリー時代をすべて見てきた。(開業医)

電子機器の発達

◉レセコンの導入が強制されたが使ってみれば非常に便利。事務処理が円滑になった。(開業医)
◉臨床の場で医療者、患者に「見える化」が進んだ。 (開業医)

鏡視下手術

◉術後の回復が早くなった。(勤務医)
◉褐色細胞腫の腹腔鏡手術を受けた。30年前だったら20cm以上の傷になり3~4週間の入院だろうが、傷は4cm。1週間で退院できた。(開業医)
◉開腹手術が少なくなった。(開業医)

ヘリコバクター・ピロリ除菌の普及

◉近隣の大学病院から「ピロリ除菌が進み、進行胃癌が激減し、研修医の教育に支障をきたしております。貴院で胃癌の患者さんがおられましたら是非、当院へご紹介ください」と外科教授名で手紙が来た。(開業医)

臓器移植

◉昭和40年代に肺気管移植の動物実験をした。臨床応用は夢だった。出身教室は肺死肺移植の指定施設となり死体、生体ともに施行している。(その他)

介護保険制度の創設

◉これまでなかった介護保険ができ、介護医療に関わる施設、マンパワーが格段に増えた。(開業医)

アンケートでは、新しい時代で特に進展を期待している医療分野、技術、研究についてもお聞きしました。中でも多くのコメントが集まったのは、iPS細胞などを用いた再生医療への期待です。AIによる迅速診断といった意見も目立ちました。一方で、「医療費の高騰を考えると、もうあまり進歩はしなくて良いと感じている」(勤務医)との考えも寄せられました。

 出典:Web医事新報

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