2019.01.31
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消費税増税対応の改定、過不足ない補填の必要性訴え
中医協・公聴会で病院事業管理者

メディカルサポネット 編集部からのコメント

1月30日に第406回中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会)が開催され、平成31年度診療報酬改定に係る検討状況について話し合われました。2018年12月17日の予算大臣折衝を踏まえ、平成31年度の診療報酬改定は、『診療報酬改定 +0.41% 』『 薬価 ▲0.51%、材料価格 +0.03%』と決まっています。診療報酬や薬価には、医療機関等が仕入れ時に負担する消費税が反映されています。仕入れは外税ですが、社会保険診療取引は非課税取引なので、消費税が受け取れません。医療機関等の消費税負担上昇分は、診療報酬で補てんされます。医療機関からは「診療報酬で過不足なく補填されるか」が、患者からは「受けた個別の診療行為に直接対応しない消費税の計算ではない」ことが問われます。対応と納得のいく説明が求められるところです。

  

 中央社会保険医療協議会(中医協)が30日に東京・港区で開いた公聴会で、病院事業管理者から、消費税率10%への引き上げに対応する診療報酬改定で医療機関への補填が過不足なく行われるよう求める声などが上がった。中医協は、公聴会で発表された意見や23日までに募集したパブリックコメントなどを踏まえ、2月中旬ごろに2019年度の改定案を答申する。【松村秀士】

 

中医協・公聴会の様子(30日、東京都内)

 

 公聴会は、医療従事者や保険者らの声を診療報酬改定に反映させることが目的で、約200人が参加。応募者の中から、公益委員によって選出された10人が意見を述べた。

 

 原義人・青梅市病院事業管理者(全国自治体病院協議会副会長)は、同協議会の試算によると、14年度から16年度までの自治体病院での控除対象外消費税の補填の不足額は計400億円に上ると説明。その上で、「これでは病院の経営が年々苦しくなるのは当然。このままでは地域医療の提供にも支障が生じる可能性がある」とし、医療機関が負担する控除対象外消費税が診療報酬で過不足なく補填されるべきだと主張した。

 

 また、消費増税対応の改定後、できるだけ早期に補填の実態を評価し、それが不十分の場合は速やかに対策を検討するよう要望した。さらに今後の消費税率10%超への引き上げに伴う補填について、診療報酬で上乗せする現在の対応とは別の方法の検討を本格化させる必要があるとした。

 

 19年10月の消費増税に伴う診療報酬改定では、基本診療料・調剤基本料に点数を上乗せすることを中心に対応し、個別項目に関しては補完的に上乗せする方針が、中医協から既に示されている。

 

 これについて、公聴会で新日鉄住金健康保険組合の長尾健男・常務理事は、「患者の視点からすると、受けた個別の診療行為に直接対応する消費税分を負担することが基本的な考え方ではないか。初診・再診料等の基本診療料を中心に配点した場合、受ける診療行為がそれぞれ異なる患者の理解が得られるかどうかが疑問だ」と指摘。初診・再診料を含めた点数設定については、患者の視点に基づいて適切に行うとともに、国民に対してきちんと説明するよう求めた。

 

 各発表者の意見を受けて中医協の田辺国昭会長(東大大学院教授)は、19年10月の消費増税対応の改定では基本診療料・調剤基本料に点数を上乗せし、個別項目に関してはできるだけ上乗せを控えるという対応でおおむね了承を得たと結論付けた。

 

 また、田辺会長は、▽消費増税対応改定での補填状況の検証の実施・公表と、補填のばらつきが大きい場合への適切な対応▽消費税と診療報酬との関係についての国民への周知―などを求める指摘があったと総括した。

 

 

 出典:医療介護CBニュース

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