2018.12.26
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外来医療提供方針に従わない新規開設者に出席要請
厚生労働省が提案、協議の場の話し合い結果公表も

メディカルサポネット 編集部からのコメント

12月26日に医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会(第26回)が開催され、「地域における外来医療に係る医療提供体制の確保について」などについて話し合われました。厚生労働省は「外来医師多数区域における新規開業について、必要な外来医療機能を担うよう求めたときの実効性を確保する仕組みが必要ではないか」と提言しています。今後、外来医師多数区域での新規開設が厳しくなる見込みです。

   

 厚生労働省は26日、医療従事者の需給に関する検討会の医師需給分科会に対し、外来医療の協議の場の設置案を示した。「外来医師多数区域」における新規開設の届出様式に、救急や在宅医療など地域で不足する医療機能を担うことに関する合意欄を設け、主に二次医療圏単位で設置する協議の場で確認できるようにすることなどが柱。新規開設者が合意欄に記載しない場合、協議の場への出席を要請し、話し合いの結果を公表することも視野に入れている。【新井哉】

 

厚生労働省が医師需給分科会に示した外来医療の協議の場の設置案

  

 厚労省は、高齢者の救急搬送や訪問診療の件数が増加していることを挙げ、特に初期救急医療や在宅医療に関する協議を行う必要性を提示。「すべての地域において、既存の医療機関が、今後必要とされる外来機能を、どのように担っていくのかについて、検討・協議を行うこととしてはどうか」と提案した。

 

 既に外来医師数が足りているとみられる「外来医師多数区域」については、新規開設の際、▽初期救急医療▽在宅医療▽公衆衛生―といった地域で必要な医療機能を担うことを求める方向性を示した。

 

 ただし、「外来医師多数区域」での新規開設については、法令による規制がないため、必要な外来医療機能を担うよう求めても実効性が確保されない恐れがある。こうした事態を防ぐため、協議の場の構成員と出席要請を受けた新規開設者が話し合い、外来医療機能を確保する方向で収めたい考えだ。

 

 こうした対応案について、厚労省は「新規開設の規制ではない」と主張しているが、分科会の一部の構成員は懐疑的な見方を示している。新規開設者との話し合いの場を設け、協議結果を公表することについて、森田朗構成員(津田塾大総合政策学部教授)は「公表というコントロールの効かないかなり強力な制裁手段になりかねない」と危惧の念を示した。

 

 届出様式を入手する機会を捉えて対応を促す時期についても、「遅過ぎて、何もかも始まっている」と改善を求める意見が出た。届け出る時には、受診患者数の見積もりを終え、既に機器を購入するなどして準備を整えている可能性があるからだ。厚労省は分科会の議論を踏まえ、2019年度から始まる外来医療機能の可視化に間に合うように対応をまとめる方針だ。

 

出典:医療介護CBニュース 

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