2018.12.18
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将来の消費税率引き上げ対応、医療団体間で温度差
三師会と四病協が合同会見

メディカルサポネット 編集部からのコメント

2019年度の与党税制改正大綱が決定したことに伴い、12月19日に三師会と四病協が合同記者会見を開きました。消費税問題は診療報酬でカバーしていくことで解決できるとの見解を公表されています。しかし医療機関ごとに補填のばらつきや、課税転換を見据えた今後の議論については温度差がみられます。実施に向け「ソフトランディング」とするか、「ハードリセット」とするか、方向性が気になります。

  

消費税問題について「非課税制度では解決された」と語った日医の横倉会長=中央=(19日、日医会館)

 

 2019年度の与党税制改正大綱が決まったことを受け、日本医師会などの三師会と四病院団体協議会(四病協)は19日、合同で記者会見を開いた。同大綱で、医療機関にかかる消費税問題について、診療報酬による補填の状況を継続的に調査し、必要に応じて配点方法を見直す形で対応することが望まれるとしていることについて、各団体は「現時点でこの問題が解決された」との見解を示したが、消費税率10%引き上げ後の増税への対応に関しては、現在の非課税ではなく課税とすべきとの意見と、これに慎重な意見が出た。【松村秀士】

 

 しかし、同大綱では、診療報酬での補填状況を継続的に調査し、必要に応じて配点方法を見直すなどの形で対応していくことが望まれるとし、税制上の抜本的な措置は盛り込まれなかった。

 

 会見で日医の横倉義武会長は、消費税対応について、社会保険診療に対する消費税を非課税扱いとしたまま診療報酬の基本診療料を精緻化して配点する「ソフトランディング」とするか、国民の理解が得られないまま社会保険診療を課税転換する「ハードリセット」とするかの2つの方法しか選択肢がないと指摘。その上で、同大綱で示された対応策によって「非課税制度においては解決された」と述べた。

 

  日本病院会の万代恭嗣副会長も同大綱の対応策を評価したが、診療報酬でいかに精緻化して補填しても、医療機関ごとにばらつきが生じる可能性があるとし、「解決すべき課題が残っている」との認識を示した。

  

 全日本病院協会の猪口雄二会長も同大綱の対応策を支持したが、診療報酬で消費税に対応するのには限界があるとし、今後については医療の消費税問題は課税も含め、新たな視点で議論を進めるべきだと主張。日本精神科病院協会の長瀬輝諠副会長も、課税転換する方向で今後検討する必要があるとした。

 

 一方、日医の横倉会長は、「課税転換した時に、(消費税率)10%の場合は45兆円を超える医療費が必要になり、その財源をどうするかが問題だ」などとし、社会保険診療を課税扱いとすることに慎重な姿勢を示した。

 

出典:医療介護CBニュース 

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