2018.10.18
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服用期間中の患者への服薬指導などを義務付けへ
厚労省が法令での明確化を提案、厚科審部会

メディカルサポネット 編集部からのコメント

ネットで薬を個人輸入できる時代になりました。また、複数の医療機関からそれぞれ薬を処方される患者もいます。必要な情報や知識がないまま自己判断で服用している患者が多い中、薬剤師による薬の説明や服薬指導は不可欠です。しかし、法令での明確化には現場との温度差がかなりあり、一筋縄ではいかないのが現状です。

 

 厚生労働省は18日の厚生科学審議会・医薬品医療機器制度部会の会合で、患者の服用期間を通じた服薬状況の把握や薬学的な知見に基づく指導を薬剤師や薬局が行うことを、関係法令で明確にすることを提案した。こうした継続的な指導などの義務化について反対意見は出なかったが、関係法令に盛り込むことに異議を唱える委員もいた。【松村秀士】

 

医薬品医療機器制度部会(18日、厚労省)

 

 薬剤師法では、薬剤師が調剤した時は患者に対して必要な情報の提供や薬学的知見に基づく指導を行うよう求めている。また、医薬品医療機器等法では、調剤された薬剤を適正に使用するため、薬剤師に必要な情報の提供や薬学的知見に基づいた指導を行わせることを、薬局の開設者に求めている。

 

 しかし、同部会ではこれまで、「病院の薬剤師は患者が薬を服用した後の状況を見ているが、薬局の薬剤師はそれができていない」「服薬状況の継続的な把握が重要」といった意見が出ていた。

 

 こうした指摘などを踏まえて厚労省は18日の会合で、薬剤師や薬局が調剤時だけではなく、患者の服用期間を通じて服薬状況の把握や薬学的知見に基づく指導を行うことを、「法令上明確にすべきではないか」と提案した。

 

 また、薬剤師や薬局が服薬状況などに関する患者の情報を必要に応じて処方医らに提供するよう努めることによって、「薬物療法の最適化に寄与すること」も関係法令に盛り込むことも論点として示した。

 

■法令での明確化、「非常に違和感」との声も

 

 伊藤由希子委員(津田塾大総合政策学部教授)は、薬剤師による必要な情報提供や薬学的知見に基づいた指導についての現行法の記載に関して、「(服薬情報の)継続的・一元的指導という観点が全くない。これを改定することによって薬剤師の在るべき姿を法令の中で示せるのではないか」とし、厚労省案を支持した。

 

 山口育子委員(NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)も、「薬局が存在意義を発揮するのであれば、調剤後のフォローアップをやらないことには医薬分業の意味がない」とし、薬局が担うべき機能を明確化することを求めた。

 

 一方、中川俊男委員(日本医師会副会長)は、薬剤師に患者の服用期間を通じた服薬状況の把握や指導を行わせるべきだとした上で、「なぜ法令上明確にしないとできないのか。薬剤師が薬歴管理や服薬業務、疑義照会など本来の業務がしっかりとできていないのに、さらに上を目指して法令化するということに非常に違和感を覚える」と指摘。また、「次の診療報酬改定での調剤技術料の新しい項目が目に浮かぶ」とし、関係法令での明確化に反対する姿勢を示した。

 

 出典:医療介護CBニュース

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