メディカルサポネット 編集部からのコメント新しく開発される抗菌薬の数が著しく減少している中、抗菌薬の不適切な使用を背景とした薬剤耐性菌の増加が世界的な問題になっています。全ての抗菌薬が効かず、治療方法がなくなってしまわないためにも、「適切な薬剤」を 「必要な場合に限り」、「適切な量と期間」使用することを徹底するよう薬剤耐性(AMR: antimicrobial resistance)対策アクションプランも求めています。医療における抗菌薬の使用量を減らすこと、主な微生物の薬剤耐性率を下げることに関する成果指標が設定されています。 |
新潟大は、同大大学院医歯学総合研究科(歯学系)の永井康介・歯科医師らの研究チームが、中耳炎患者から分離された肺炎球菌の8割超がマクロライド系抗生物質の効かない耐性菌であることを明らかにしたと発表した。【新井哉】
肺炎球菌を巡っては、抗生物質を頻繁に使っていたことなどに伴い、耐性菌が増えている。こうした状況を改善しようと、国の「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」では、2020年までにマクロライド系抗生物質の人口1000人当たりの1日の使用量を13年の水準と比べて50%削減する目標を掲げている。
永井歯科医師と同研究科の土門久哲助教、寺尾豊教授、しおかぜ医院(新潟市西区)の木村征医師の研究チームは、14―17年に新潟市の中耳炎患者から分離された2608株の肺炎球菌を調べたところ、82%がマクロライド系抗生物質の効かない耐性菌だった。
研究チームは「これまでは、大規模病院の入院患者らに耐性菌が増加していると理解されていた」と説明。この研究で、市中で日常生活を過ごす人たちにも、マクロライド系抗生物質が効かない耐性肺炎球菌が広く流布していることが示せたという。この研究成果は、国際科学雑誌「Journal of Infection and Chemotherapy」の電子版に掲載された。
出典:医療介護CBニュース