2022.09.05
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厚労省・三師会が「オンライン資格確認」原則義務化で合同説明会─「一刻も早い対応を」【まとめてみました】

メディカルサポネット 編集部からのコメント

厚労省は23年4月の原則義務化に向けて導入を推進しているオンライン資格確認等システムの導入率が伸び悩んでいることから、8月24日、異例ともいえる三師会(日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会)が設置した「オンライン資格確認推進協議会」と合同でのWeb説明会を開催しました。説明会では、システムのメリットや補助の拡充、診療報酬の見直しなどの支援策を改めて説明。いずれは「全国医療情報プラットフォーム」を創設する予定で、予防接種や電子カルテに含まれる医療・介護全般にわたる情報の共有・交換が可能になること、将来的に保険証を原則廃止する方針のため、「今後はマイナカードでの受診がスタンダードになる」と強調しました。また、カードリーダーのメーカー5社による自社製品のプレゼンが行われ、補助金の支給を受けるには11月中にカードリーダーの申込が必要であることから、医療機関や薬局に対し「一刻も早い対応」を求めました。

 

厚生労働省は8月24日、三師会(日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会)が設置した「オンライン資格確認推進協議会」と合同でオンライン資格確認等システムに関するWeb説明会を開催した。オンライン資格確認等システムは、政府が『骨太方針2022』で医療DXの柱として打ち出し、2023年4月から保険医療機関・薬局に原則として導入を義務付けるもの。説明会で厚労省は、8月14日時点の運用施設がわずか26.8%にとどまっていることから、改めてシステムのメリットや補助の拡充、診療報酬の見直しなどの支援策を説明し、一刻も早い導入を求めた。

オンライン資格確認等システムは医療機関の間で情報共有を進め、安心・安全な質の高い医療を提供していくデータヘルスの基盤となるもの。医療機関にとって事務作業の負担軽減にもつながるとされる。

 

厚労省は23年4月の原則義務化に向けて導入を推進しているが、導入率が伸び悩んでいることから、異例ともいえる三師会と合同での説明会を開催。日本医師会の長島公之常任理事は挨拶の中で「医療機関や薬局への丁寧な説明を重ね理解を求めることが必要。今回はその第1歩と考えている」と述べた。

 

「マイナカードでの受診がスタンダードに」

オンライン資格確認は、医療機関や薬局の窓口で、患者の直近の資格情報(加入している医療保険や自己負担限度額等)を円滑・確実に確認することができる仕組み(図参照)。期限切れ保険証によって発生する過誤請求や手入力による手間などの事務コストが削減できることに加え、マイナンバーカードを用いた本人確認を行うことで、患者の特定健康診査情報や薬剤情報といった診療情報を医療機関等が閲覧できるため、医療の質の向上につながるというメリットが期待されている。

 

オンライン資格確認は、①来院した患者が顔認証付きカードリーダーにマイナンバーカードを置く、②画面で本人確認方法(顔認証または暗証番号)を選択、③顔の撮影または暗証番号を入力、④画面で情報提供(健診情報、服薬情報)に同意、⑤資格確認が終了─という流れで行われる。いずれは「全国医療情報プラットフォーム」を創設する予定で、予防接種や電子カルテに含まれる医療・介護全般にわたる情報の共有・交換が可能になる。

 

厚労省は説明会で、マイナンバーカードの交付実績が60~74歳で半数を超えているとした上で、政府は将来的に保険証を原則廃止する方針のため「今後はマイナンバーカードでの受診がスタンダードになる」と強調。保険証を用いた場合でも、保険証の情報(記号番号等)でオンライン資格確認を行うことが可能なため、医療機関は新規患者に関する情報入力の手間の削減につながり、その場で資格の有効性確認ができるメリットがあると説明した。災害時には特別措置として、マイナンバーカードによる本人確認ができなくても、薬剤情報・特定健診等情報の閲覧が可能とし、2022年7月14日に発生した大雨災害における宮城県大崎市での運用事例などを挙げ、同システムの活用で災害時でも通常時と変わらない医療を提供できることを紹介した。

 

オンライン資格確認(マイナンバーカードの保険証利用)の概要

 

 

システム改修費などの補助を拡大

オンライン資格確認等システムのメリットが最大限に発揮されるには、「全医療機関がオンライン資格確認等システムを運用」「全患者がマイナンバーカードの保険証を利用」する環境が整っていることが前提になる。一方で、運用を開始している医療機関は8月14日時点で26.8%。都道府県別の状況にも大きな格差があり、特に東京都や大阪府など大都市での導入・運用が進んでいないという課題がある。

 

説明会で厚労省は、療養担当規則見直しによる導入の義務化に加え、①オンライン資格確認等を通じた患者情報等の活用にかかる診療報酬の評価の見直し、②医療情報化支援基金による医療機関・薬局への補助の見直し─について改めて周知。

 

診療報酬の見直し(表)では、現行の「電子的保健医療情報活用加算」を廃止し、オンライン資格確認等システム運用施設の初診時における情報取得の評価として「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」を新設。マイナンバーカードを保険証として利用する場合、2点を算定できる。マイナンバーカードの普及を促進する狙いと医療機関の負担が軽減されることから、通常の保険証を利用する場合(4点)よりもマイナ保険証を利用すると窓口負担が低くなる仕組みとなっている。

 

補助の見直しでは、システム導入に伴う費用について拡充される補助内容を説明。2022年12月末までにカードリーダーを申し込んだ場合、病院は現行の約2倍に当たる210万1000円、診療所では42万9000円までを上限に費用を補助するとした。

 

このほか説明会ではカードリーダーのメーカー5社による自社製品のプレゼンが行われた。厚労省は全体として必要な台数は確保しているとした上で、補助金の支給には2023年3月末までにシステム改修を含めた導入完了が条件であると説明。カードリーダー申込から配送まで状況によっては4カ月程度かかる可能性を指摘し、医療機関や薬局に対し「一刻も早い対応」を求めた。

 

医療情報化支援基金による医療機関・薬局への補助の見直し

 

 

出典:Web医事新報

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