2018.08.21
5

検査台からの転落で大腿骨頚部骨折、くも膜下出血 医療機能評価機構が注意喚起

メディカルサポネット 編集部からのコメント

狭くて高い診察台。患者の容体によってはそこに留まることが困難だったりします。ちょっとした油断による二次被害を防ぐためにも、車のシートベルト同様、身体の固定を習慣化しましょう。

 

日本医療機能評価機構は、医療機関での検査や治療・処置の際に患者が検査台から転落したケースの報告が2014年1月から18年6月までに9件あったことを明らかにした。転落によって患者が大腿骨頚部骨折や、くも膜下出血などを起こした事例があったことから、転落の危険性がある検査の場合は患者にそのことを説明した上で、身体をしっかり固定するよう求めている。【松村秀士】

 

同機構によると、頭部MRI検査や内視鏡検査、透視下での処置でそれぞれ2件の転落の報告があり、心臓カテーテル検査、脳血管造影・血管内治療、胸部X線検査で各1件の報告があった。

 

事例の1つでは、頭部MRI検査のために看護師と診療放射線技師が患者を検査台へ移動したが、看護師は「患者が認知症」と診療放射線技師に伝えなかった。診療放射線技師はその患者と意思の疎通ができていると思ったため、患者の身体を固定しなかった。

 

撮影が始まって10分後、診療放射線技師は患者が検査台にいないことに気付き、検査室に入ると、患者が検査台の下の床にうずくまっているのを発見。その後、X線撮影をしたところ、右大腿骨頚部外側骨折を確認した。

 

別の事例では、心臓カテーテル検査の際に患者は鎮静された状態だった。看護師が物を取りに行くため検査室を出て、戻ってきた時、患者は転落していた。

 

転落までの間、医師は患者に背中を向けて作業していたほか、臨床工学技士は機器の操作中で、診療放射線技師は画像を確認するなど、誰も患者の様子を見ていなかった。転落後に頭部をCT撮影した結果、患者が外傷性くも膜下出血を発症していることが分かった。

 

こうした事例が発生した医療機関では、再発防止策として患者の病態を把握して医療者同士で患者の情報を共有。また、患者が検査台から転落する危険性があることを認識し、患者から目を離さないよう声を掛け合っているという。

 

 

 出典:医療介護CBニュース

この記事を評価する

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

TOP