メディカルサポネット 編集部からのコメント来年度の介護報酬改定率+0.7%の結果を受けて、政府・与党への要請活動なども行ってきた全国介護事業者連盟の斉藤正行理事長が「介護報酬+0.7%は概ね良い結果」と述べています。結果が出るまでは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で多くの国民が苦境に陥っている中、介護業界だけを特別扱いするわけにはいかず、財務省によるマイナス改定への圧力もあったようです。しかし、多くの加算の新設も決まったため、しっかり算定していけば、施設・事業所は+0.7%という数字以上の恩恵をうけることもできると考えを示しています。 |
全体でプラス0.7%となった来年度の介護報酬の改定率をどう捉えているか? 政府・与党への要請活動なども行ってきた全国介護事業者連盟の斉藤正行理事長に話を聞いた。【Joint編集部】
※ この記事は斉藤氏へのインタビュー取材に基づいてJoint編集部が作成したものです。
《 全国介護事業者連盟 斉藤正行理事長 》
確かに諸手を挙げて歓迎できる改定率とは言えませんが、概ね良い結果になったのではないかと思っています。
新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの国民が苦境に陥っている中での交渉でした。当然、介護報酬を引き上げれば保険料などの負担が増えます。介護業界だけを特別扱いするわけにはいかないという考え方もあり、財務省によるマイナス改定への圧力は非常に強かったんです。「これはいつも以上だな」「ここまで強くくるのか」。そんな印象を持ちました。
その中で最終的にプラス改定を勝ち得たのですから、やはり大きなことではないでしょうか。前回の2018年度改定(+0.54%)を上回るパーセンテージが取れたことは、特に高く評価できると思います。一時は「うまくいって前回並み」というのが大方の予想でした。
コロナ禍で介護施設・事業所はかなり大きなダメージを受けましたが、それでも現場は高齢者への感染を最小限に食い止める重要な活躍をしています。そのことをしっかり評価すべきだと、我々だけでなく様々な関係者が粘り強く訴えた成果だと思います。
もちろん、多くの方がもっと大幅な引き上げを期待していたことは言うまでもありません。2015年度には2.27%も引き下げられていますしね…。そのことを考慮すると、プラス0.7%というのは確かに小幅増と表現せざるを得ないでしょう。
ただ私は、やはり概ね良い結果だったと認識しています。財務省によるマイナス改定への圧力はそれほど厳しいものでした。
さて、今後の最大の焦点は配分の仕方ですよね。
これは私の予測ですが、厚労省は基本報酬の引き上げにプラス0.7%の大部分を投じてくるでしょう。確かに各種の加算にも財源を使いますが、そこは基本的に財政中立。一部の加算の引き下げ、あるいは統廃合がセットになるとみられます。
加算の拡充ばかりで基本報酬はほとんど上がらないのではないか − 。こう懸念している人もいますが、かなり高い確率で違った展開になるでしょう。これまでの経緯を踏まえてそう考えています。
ですから私は期待しています。基本報酬は引き上げられる見通しで、多くの加算の新設も決まりました。できるだけ努力してこれをしっかり算定していけば、施設・事業所はプラス0.7%という数字以上の恩恵を受けることもできるでしょう。
そういう意味でも今回の決着には一定の評価をしています。やり方次第で1%を超える効果を生じさせることも可能。施設・事業所の経営に相応のポジティブな影響をもたらせるはずです。
出典:JOINT