2019.06.05
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5歳未満の肥満診療と予防対策でガイド作成―小児医療保健協議会

メディカルサポネット 編集部からのコメント

自分で食事を用意できない幼児が何を、どのように食べるかは、保護者にかかってきます。授乳時の母親の摂取食品はその後の児の味覚の嗜好に関連するそうですし、栄養バランスが取れていない食生活は肥満の一因となります。肥満幼児を持つ母親も肥満のケースが多く、食育は家族単位で行う必要があります。幼児教育関係者や食品メーカーなどがバランスの良い食事を提案するなどの食育は盛んでしたが、このたび日本小児医療保健協議会が幼児肥満ガイド」を作成しました。医療における乳幼児の体格を判断する際、BMI絶対値だけでなく、身長・体重成長曲線も活用するよう薦めています

   

日本小児科学会など4団体でつくる日本小児医療保健協議会はこのほど、「幼児肥満ガイド」を作成した。日本肥満学会の『小児肥満症診療ガイドライン2017』が取り扱っていない5歳未満を対象とし、可能な限り国内の研究成果を基に肥満の判定法や予防について解説している。

 

ガイドは7章立て93頁。5月30日付で小児科学会のホームページで公表された。序文では、医師だけでなく、看護師、栄養士、教員等にも活用してほしいとしている。

 

幼児期からの肥満対策の重要性を説く第1章では、「現時点で信頼できる幼児肥満対策の原則」として、①母親も肥満している例が多く「肥満=悪」という頭ごなしの指導は人格否定につながりかねないため控える、②家族を巻き込んで行う、③母子健康手帳を有効活用する―の3つを挙げている。

 

幼児肥満の判定方法(第2章)を巡っては、乳幼児の体格をBMI絶対値で評価することは「困難」と指摘。BMIパーセンタイル値についても、年齢に伴い肥満度が大きくなるなどの問題があり、統計的根拠のある標準体重を基にした肥満度を利用できる日本で使う利点は「ほとんどない」とした上で、幼児期の標準体重や肥満度の計算式を紹介。一方、BMIや肥満度だけを基準に肥満を判定すると二次性(症候性)肥満の早期診断ができないとして、身長・体重成長曲線の活用も推奨している。

 

肥満予防(第7章)については、乳幼児健診などを通じて健康的な食事・運動・睡眠の習慣を指導するとともに、肥満幼児の診察ではスマートフォンなどICTの取扱いに関する保護者の態度にも着目するよう促している。

 

 

 出典:Web医事新報

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