2019.04.26
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働き盛り世代、高齢期の医療課題を議論―中医協、支払側はオンライン診療の緩和を主張

メディカルサポネット 編集部からのコメント

4月24日に第413回中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会)が開催され、「先進医療会議からの報告」「遺伝子パネル検査の保険収載」「年代別・世代別の課題」などについて意見が交わされました。日本の労働人口の約3人に1人が何らかの疾病を抱えながら働いています。健康上の理由で離職するする人は男性の10.5%、女性の14.2%です。また、高齢者については、2065年には総人口が9,000万人を割り込み、高齢化率が38%台になると推計されています。かかりつけ医やかかりつけ薬剤師による、患者に寄り添った医療体制に期待が高まっています。

 

2020年度診療報酬改定に向けて医療の課題の整理を進めている中央社会保険医療協議会は24日の総会で、「青年期・中年期」「高齢期」などの世代の課題を巡って意見交換を行った。青年期・中年期では生活習慣病に対する早期介入と継続的な管理、高齢期では多剤投与(ポリファーマシー)への対応などが議論の俎上に載った。

  

支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会)は、働き盛り世代の生活習慣病管理について「貴重な休日を使って医療機関に行っても、医師にしてもらえるのは簡単なバイタルチェックと健康相談だけ。ただ処方箋を受け取って帰るという繰り返しが嫌になって脱落してしまう」と指摘。吉森俊和委員(協会けんぽ)は「小規模事業場では健康状態が悪化しても簡単に休めず、重症化してしまうことは容易に想像がつくと思う」とし、仕事と治療を両立しやすい環境づくりを求めた。そのための選択肢として、支払側はオンライン診療の要件緩和を主張した。

  

これに対し、診療側の松本吉郎委員(日本医師会)は「患者が気がねなく通院できる環境の整備が第一だ。利便性のみに着目してオンライン診療の要件緩和を議論すべきではない」と述べ、慎重な考えを示した。

  

また、高齢者におけるポリファーマシーに関して、松本氏は、超高齢化で多疾患を抱える患者が増えるのに伴い、かかりつけ医が多剤併用を半ば余儀なくされる場面があるとの認識を示した上で、処方した薬剤の剤数のみを根拠に処方箋料が減算される現行の規定などを「かかりつけ医機能強化の方向に逆行している」と問題視した。

 

中医協は夏頃まで世代別に医療の課題を検討する。周産期、乳幼児~思春期については前回(4月10日)に議論された

 

出典:日本医事新報社

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