2021.08.24
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介護報酬改定で義務化された3つの対策を網羅する
~②感染症・③虐待~

介護経営コンサルタント小濱道博の先手必勝の介護経営 vol.11

 

編集部より

今、介護事業所の経営には、「新型コロナウイルス感染症への対応」と「制度改正を見据えた長期的な戦略」という2軸が求められています。先が見通しにくい時代に、介護経営支援に携わってきた小濱介護経営事務所の代表、小濱道博さんが「先手必勝の介護経営」と題して、1歩先行く経営のヒントを1年間にわたってお伝えします。介護報酬改定後の最初の国保連請求を終え、今後の対応への足掛かりをつかんだ経営者の皆さまも多いことと思います。第11回は、介護報酬改定で義務化された「感染症」と「虐待」に関する解説です。感染対策委員会の設置、感染対策担当者の選任、虐待の発生や再発防止のための研修実施をはじめ、感染症発生時のシミュレーション(訓練)も必要となることから、3年間の経過措置期間が設けられているとはいえ、経営者・管理者としてどちらも待ったなしの対策が急がれます。

  

新型コロナワクチン接種後も感染対策が重要

 

今、介護施設に続いて、在宅サービスに従事する人たちへのワクチン接種が進められている。一方で、ワクチン接種を断った職員に、退職を迫る事業所の話も聞く。それに伴って、副反応の話題に多くの関心が集まっている。やはり、接種後の発熱、倦怠感、頭痛、肩の痛みや腕が上がらないなどの問題が散見されている。特に2回目の接種後の副反応が強いようで、救急車で搬送されたケースもある。介護現場においても「接種の翌日は休日」とする措置が賢明のようで、厚生労働省からは接種後の体調不良で職員の配置基準が満たせなくても、柔軟な対応、すなわち「人員基準減算には問わない旨の通知」も出されている。

 

また、ワクチン接種後は、「感染しない」のではない。「感染しても重症化しない」ためのものだ。すなわち、他人を感染させるリスクは残るので、ワクチン接種も感染対策の継続が必要となる。実際、最近のクラスター状況を見ていると、職員と利用者に、2回目のワクチン接種が終わった施設でのクラスター発生が目立ってきている。油断は禁物である。

 

 

 

 

 

令和3年度介護報酬改定で感染対策が義務化

 

令和3年度介護報酬改定において、感染症や災害への対応力強化として、感染症対策の強化が義務化された。おおむね6ヵ月に1回以上、定期的に感染対策委員会の開催が求められる。委員は外部を含めて広く参画を得ることが重要となる。委員の役割を明確にして、委員名簿を作成し、専任の感染対策担当者を決めておく必要がある。

 

感染症の指針には、【平常時の対策】及び【発生時の対応】を規定する。

具体的には以下のとおりである。

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