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2020.09.23
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【最終回】私が描く、看護師教育のミライ

「看護×学び」で現場教育を変える! vol.12

いよいよ本コラムも最終回を迎えました。管理職でも教育者でもない、5年目の看護師・寺本さんが拓こうとしている看護師教育のミライは、この1年で確実に前進しているように思います。「成人教育」という教育手法を取り入れることで、「くじ引き」のような運でミライが決まってしまう現状から、看護師自らが笑顔で成長し続けられる、そんな土壌ができれば看護界のミライは明るくなるのではないでしょうか。そしてそこには間違いなく寺本さんの足跡が残っていることでしょう。1年間の大学院生活を経て、将来進むべき道も見えてきた寺本さんのミライを、これからもメディカルサポネットでは応援しつづけていきます!

執筆・写真/寺本 美欧(Teachers College, Columbia University)
編集・構成/メディカルサポネット編集部

寺本美欧 コラム バナー画像

 

1年前からスタートした連載も、今回が最終回。やり遂げたという気持ち反面、寂しさでなかなか書き始めることができませんでした。1回目から振り返ってみると、こんなことがあったなぁ、このときこんな思いだったなぁと執筆時の情景や思いまで浮き彫りになることを不思議に思います。最後は、私が描く「看護師教育のミライ」についてお伝えしたいと思います。

 

「看護×学び」で現場教育を変える! vol.12【最終回】

コロンビア大学のシンボルでもあるライオンの銅像。

Roar lion roar! (吠えろライオン) という校歌があるそうです・・・

 

◆看護師教育の5つのコアバリュー:「5E’s」モデル

マネジメントの授業を通して、コアバリュー(中核的価値)について習いました。企業や個人が行動するうえでの指針となる基盤にあたるものです。漠然と、看護師教育のコアバリューは何だろうと考えたときに「5E’s」というペンタゴン型のモデルを作ってみました。

 

以下、それぞれのコアバリューとともに、私のこれまでの連載記事を振り返りながら、理想のミライについてご紹介します。

 

 

① Equality (平等)

成人学習は「平等であること」を非常に重視します。特に様々な人種・文化が共存するニューヨークで過ごした経験や、vol.9 で書いたような人種差別に関連する悲しい出来事から、必要な教育が必要な人に平等に届くということの重要性を肌で感じました。その手法として、急速なIT化(vol.3)や、新型コロナウイルスの影響で、e-learningやzoomが普及したこと(vol.7)から、今後国内においても今まで受講することができなかったセミナーに参加できるようになるなど可能性は飛躍的に拡大するのではないでしょうか。立地や病院の規模を問わずに、誰しもが必要な教育を受けることができるというスタンダードを叶えるためにも、最も大切なバリューである「平等」を5角形の頂点に持ってきました。

 

② Experience (経験)

大学院で様々な成人学習理論を習ったなかで、「おとなの学び」の出発点は経験だということを学びました。おとなには豊富な経験があり、そこからいかに意味づけを行うか、そして思い込みを認識することができるかがtrue learning(真の学び)と言われています。この連載の出発地点ともなったvol.1vol.2で書いたような過去は、今では自分に生きる指針をもたらしてくれた大切な経験学習の資料です。日々生きていく中で良いことが続くわけではないけれど、その苦い過去からどのように自分が意味づけをするか、そしてミライに活かしていくかは欠かせないバリューだと感じます。

 

③ Evidence(根拠)

看護で根拠が問われるように、教育にも根拠が問われるということを大学院で学びました。漠然と「すごいな」と思っていた先輩が実はEQ(心の知能指数)が高いという根拠に基づいていたとわかったとき(vol.4)、理論と実践の結びつきを痛感しました。様々な授業を通して獲得した教育に効果的なアプローチや(vol.6)、体系づけられた理論を、実践の場に返すことが、これからのミライに向けての目標でもあります。

 

④ Enjoyable(愉楽)

学習は楽しくなければ意味がない!と断言できてしまうほど、大切にしたいバリューが「楽しむこと」です。わくわくできないと学びは継続できないという信念があります。vol.10のようにオンとオフを切り替えながら学習以外でのわくわくを取り入れることも大切ですし、vol.11のように学内でも常に楽しい時間を過ごすことができたのは本当に恵まれた環境でした。学習には「わくわく」を取り入れる、楽しく継続していける教育手法を模索していきたいです。

 

⑤ Embrace(受容)

「学習には痛みを伴う」と言われていますが、これは単に提出期限に追われるというような直接的な痛みだけではなく、日々の経験のなかからもしんどいと思う時が日々あります。

vol.5で書いたような、カルチャーショックからくる痛い経験もたくさんしました。しかし、いつでも周りにはあたたかく受け止めてくれる人たちが支えてくれました。vol.8のニューヨークの両親をはじめ、教授やクラスメイト、日本で応援してくれている家族や友人など学習を続けてこられたのはまぎれもなくぎゅっと受容してくれる環境があったからです。看護師教育も、互いを受容しあえるような仕組みづくりを整えていきたいです。

 

Top of the rock (ロックフェラーセンター)の屋上展望デッキから見えるニューヨークの摩天楼。

何度でもみたい景色です。

 

 

◆追及しつづける先に拓かれるミライとは?

渡米直前に受けたインタビューで、「くじ引きのように看護師の人生が決まってしまうのではなく、できるだけ多くの人に楽しく長く働いてもらえるよう、教育という側面から力を尽くしたい」と話しました。その言葉は今も変わらず自分の軸となっています。1年間学んできたなかで見えたもの、まだ見えていないものがそれぞれあります。留学生活は残り半年間続きますが、卒業後もコアバリューを自分の軸におきながら「看護師教育のミライ」を追求していきたいです。そして、いつか読者の皆様と語り合える場がつくれたら本望です。

 

12回の連載を通して、自分の学びを見つめ直す、あるいは誰かの学びを支えたいと感じるきっかけになったのであれば、この連載の目的は達せられたと言えます。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

 

 

 

看護×学びで現場教育を変える! 寺本美欧 目次

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プロフィール

寺本美欧(てらもと・みお)
看護師、大学院生。上智大学総合人間科学部看護学科卒業後、都内大学病院ICU病棟に就職。その後、埼玉県の地域密着型病院脳卒中センターへ転職。2019年9月よりアメリカ・NY州にあるコロンビア大学教育大学院の修士課程に在学中。専攻は成人教育学とリーダーシップ。「すべての看護師に最高の教育の場を」をモットーに、看護師の継続教育のシステム構築を目指す。海外大学院留学記ブログ「看護師ちゅおのアメリカ大学院留学記」日々更新中。

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