2022.12.27
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薬局の価値を高めるセルフメディケーション②
〜地域薬局での物販戦術〜

“超”地域密着調剤薬局の経営戦略 ~地域と共に生き続ける~ vol.9

“超”地域密着調剤薬局の経営戦略  ~地域と共に生き続ける~

 

編集部より

「物」から「人」へ。2025年の実現を目指す地域包括ケアシステムの構築に向けて、薬局のあり方は変革期の真っ只中です。厳しい薬局経営が続く中、地域に根差す調剤薬局の強みを活かせる時代がようやく来たと考えている薬局経営者・管理者の方たちも多いことと思います。しかし、街の小さな薬局が地域と共に生きるとは具体的にどういうことなのでしょうか?本コラムでは、東京都練馬区江古田で地域密着調剤薬局経営をされている、たむら薬局の田村憲胤(のりつぐ)さんに、採用・税務・地域連携など薬局経営に関わる実践知についてお話しいただきます。

第9回は前回に続きセルフメディケーション・セルフケアに対する調剤薬局の取り組みについてお届けします。2020年の薬機法改正により、今後の薬局・薬局薬剤師はそれぞれ調剤する場所・調剤する人からの転換を求められています。その先駆者として道を切り開いてきた田村さんは、開業以降地域住民との関わりを持ちOTC医薬品の売り上げを倍増させてきました。その手腕を振り返りながら、地域に根差す調剤薬局のあるべき姿を探ります。

薬局機能変化の「始まり」の年となった2022年

皆さんこんにちは。

気づけばもう12月、2022年は皆様どんな一年だったでしょうか。

2022年は36年に1度巡ってくる、五黄の寅年でした。五黄土星と寅年が重なると良いも悪いも両極端ではありますが最もパワーを持った「始まり」の年とも言われています。

   

日本は少子高齢化という人口構造の変化の課題から、2015年に厚生労働省から「保健医療2035提言書」が出され、保健医療が「住まい」「地域づくり」「働き方」と調和しながら「社会システム」として機能するために、パラダイムシフトが少しずつ進められてきました。

   

薬局業務に関しては2015年に「患者のための薬局ビジョン」が示され、その具現化に向け調剤報酬改定のたびに変化はしてきたものの、地域薬局としてはそこまで大きな変化を実感していなかったように思います。

    

ただ、今年は2024年の医療と介護の同時改訂を想定した新たな枠組みができ、薬局機能の目標設定が明確になり、そしてリフィル処方箋が解禁されました。また閣議決定された骨太の方針では薬局DX・オンライン資格確認義務化の発表・そして電子処方箋解禁に向けてのHPKI申請と、地殻変動にも似た目まぐるしい変化の連続で、今年が体感的には変化の「始まり」のように感じられている経営者の方も多いのではないでしょうか。

        

薬局の価値を高めるセルフメディケーション① ~地域薬局での物販戦略~

    

2035年までパラダイムシフトのひとつとして「キュア中心からケア中心へ」があり、さまざまな政策課題の1つが【健康寿命の延伸】です。

薬局で「健康寿命の延伸」と聞いて思い浮かぶのはOTC薬の相談販売だと思いますが、分業の進展に伴い処方箋調剤中心になり、OTC薬の在庫を全く置いていない薬局も多くなってしまいました。

   

私の薬局も同様で保険調剤に偏ってしまった時期はありましたが、前回のコラムでお伝えした通り、セルフケアの武器を持ちそれを磨きながら地域に根ざしてきた仲間に出会い、少しずつ理想とする薬局本来の役割を果たすべく、公費依存経営からの脱却に向けて少しずつ方向転換していきました。

      

      

        

薬局のブランディングにつながる物販販売とは?

公費依存経営からの脱却と言っても簡単ではなく、最初はわからないことだらけでした。

巡り会ったOTC薬の研修団体でしか取り扱えない商品を中心に、同時に未病・予防などの相談機能を高めるため、IT化・売り場作り・仕入れルートの確保・品揃えなど手をつけやすいハード面からまずは進めていきました。

    

商品の選定に関しては、私の薬局ではその商品の研究会に入ってないと取り扱えない商品である「会商品」を中心に取り揃えています。有名商品(NB品)だと、仕入れ値も高いですし、どこでも売っているモノを取り揃えていっても武器にはなりません。

    

ドラッグストアでの勤務経験から、薬局の武器となる特徴ある商品を探し求めていきました。マーケティングでは特徴のある商品USP(Unique Selling Proposition)独自の価値(value)を加えたUVP(Unique Value Proposition)が大切だと言われています。

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