2022.10.31
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中小規模薬局のDX戦略③
~SNS・ICTツール活用からのファンづくり~

“超”地域密着調剤薬局の経営戦略 ~地域と共に生き続ける~ vol.7

“超”地域密着調剤薬局の経営戦略  ~地域と共に生き続ける~

 

編集部より

「物」から「人」へ。2025年の実現を目指す地域包括ケアシステムの構築に向けて、薬局のあり方は変革期の真っ只中です。厳しい薬局経営が続く中、地域に根差す調剤薬局の強みを活かせる時代がようやく来たと考えている薬局経営者・管理者の方たちも多いことと思います。しかし、街の小さな薬局が地域と共に生きるとは具体的にどういうことなのでしょうか?本コラムでは、東京都練馬区江古田で地域密着調剤薬局経営をされている、たむら薬局の田村憲胤(のりつぐ)さんに、採用・税務・地域連携など薬局経営に関わる実践知についてお話しいただきます。

第7回は「薬局のDX戦略」最終回をお届けします。先日開催された第55回日本薬剤師会学術大会に現地やwebで参加された薬局経営者の方も多くいらっしゃることと思います。DX化は調剤業務以外の場でも進み、ハイブリッドは今後のスタンダードになるとも予想されています。では、地域に根差し地域住民と関わることを強みとする調剤薬局のDX化のゴールはどこにあるのでしょうか。SNSとICTツールの活用を通して考えます。

現地開催の学会・研修会でも実感したリアルとデジタルの融合

皆さまこんにちは。

   

10月に入り、久しぶりに現地でリアル開催の研修会が増えてきましたね。現地開催といっても、今はWeb参加も可能なハイブリット開催が主流で、この流れはこの先も続いていくと思います。

   

私は、仙台で開催された第55回日本薬剤師会学術大会に3年ぶりに現地で参加してきました。久しぶりに再会した仲間たちとの情報交換や、機器展示会場で情報収集をしながら、聞きたい講演会場へ向かったところ満席立ち見状態だったため、すぐオンライン視聴に切り替えるなど、必要なところはしっかりデジタルを活用して講演を集中して聴くこともできました。

これもDX(デジタルトランスフォーメーション)の恩恵と実感しつつ、リアルとデジタルの融合が今後の変化に順応していくヒントのようにも感じました。

   

さて、前回は地域住民に価値を提供するための具体的な医療DXの実践に関してお伝えしましたので、今回はDX戦略の最終回、ファンづくりにつながるSNS・ICTツールの活用の実際についてお伝えしようと思います。

     

   

プラットフォーマーが続々登場「門前」から「かかりつけ」そして「地域」へ

    

第1回のコラムでお伝えしましたが、挫折を味わった10年前に「地元江古田から出ない」と覚悟を決め、ビジョン(クレドカード)を掲げ、少しずつ「江古田の人達に健康でいてほしい・良いモノや情報(薬局サービス)を提供したい」と厳選したOTC薬を少しずつ増やし、処方箋プラスアルファでの商品提供だけでなく、相談者の悩みに合わせた提案ができるように、江古田地域医療機関マップを作りトリアージし続けてきました。

   

地域薬局として【本来の目的】を果たすために、適切な薬物治療の提供だけでなく、地域資源を把握し、来局者の声に耳を傾け、相談に親身に応じて、適切にトリアージ(商品の提供、地域資源を把握した医療、介護の相談窓口)が地域には必要と考えていたからです。

    

かかりつけ化を実現できる処方箋アプリで地元のファンとの結びつきを強化

     

 

相談者に合わせ医療機関を紹介すると、8割くらいの方は「ありがとう!!」と処方箋を持って戻ってきてくれるのですが、お薬は病院の前でもらうものだと思っている方も一定数いるようで、門前薬局でもらった薬の記録をお薬手帳で確認するたびに「やっぱり距離には勝てないのか・・・」とやるせない思いを感じていました。

    

処方箋送信アプリなどは2014年頃から使っていましたが、自局のファンと結びつきを強めたいという思いを満たしてくれるツールを決めきれずにいたところ、「かかりつけ」機能をメインにしたアプリが2019年6月にリリースされることを知り飛びつきました。

    

そして2020年からのコロナ感染拡大で受診行動のパラダイムシフトが起こり、かかりつけをコンセプトにした処方箋送信アプリはコロナ禍で抱える「不」を解消するツールとして浸透していったと感じています。今では毎月300枚以上はアプリから処方箋が送られてきています。

    

       

    

最近はLINEで処方箋送信やフォローアップをされる薬局も増えていると思います。

ただ、たむら薬局では処方箋送信アプリで既に大勢の地域住民とのつながりを構築できているので、「公式LINE」は既存顧客の薬局体験価値を上げロイヤルカスタマー化へとつなぐ情報のプラットフォームとしての位置付けで運用していて、処方箋送信をメインとはしていません。

     

また【Twitter】【Instagram】【Facebook】はSNSの特徴に応じて使い分け、地域住民とのタッチポイントを増やすために使っています。

          

SNSと広告の活用で薬局のファンづくりを強化

前回のコラムで書かせていただきましたが、「医療はローカルサービス」だと思っているので、いかに地域住民とのタッチポイントを増やし、

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