2022.09.30
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vol.6 中小規模薬局のDX戦略② 
~薬局の役割達成のための医療DX~

“超”地域密着調剤薬局の経営戦略 ~地域と共に生き続ける~

“超”地域密着調剤薬局の経営戦略  ~地域と共に生き続ける~

 

編集部より

「物」から「人」へ。2025年の実現を目指す地域包括ケアシステムの構築に向けて、薬局のあり方は変革期の真っ只中です。厳しい薬局経営が続く中、地域に根差す調剤薬局の強みを活かせる時代がようやく来たと考えている薬局経営者・管理者の方たちも多いことと思います。しかし、街の小さな薬局が地域と共に生きるとは具体的にどういうことなのでしょうか?本コラムでは、東京都練馬区江古田で地域密着調剤薬局経営をされている、たむら薬局の田村憲胤(のりつぐ)さんに、採用・税務・地域連携など薬局経営に関わる実践知についてお話しいただきます。

第6回のテーマは「薬局のDX戦略」第2弾をお届けします。Amazonが処方薬販売に参入というビックニュースに驚いた方も多いことと思います。これが脅威となって今後調剤薬局は弱体化してしまうのでしょうか?田村さんは医療DXを導入し調剤薬局の役割を達成することで、顧客に価値を提供しファンを増やすことにつながり、それが大規模薬局チェーンとの差別化になると話します。

 

Amazonの処方薬販売参入は調剤薬局の価値を下げるのか?!

 

皆さまこんにちは。

 

2022年9月5日の夕方、米アマゾン・ドット・コムが2023年1月からの日本国内での電子処方箋の運用開始に合わせ、処方薬販売への参入を検討しているという報道があり話題になっています。

 

記事によると、アマゾンは在庫を持たず、既存の中小薬局とオンライン診療をつなぐプラットフォームサービスを提供するようですが、詳細はまだ分からないことばかりです。絶大な認知度と会員数を誇るアマゾンの動きに対し、調剤チェーンやドラッグストア各社の株価が大きく下落し、ゲームチェンジャーになるのではないかと投資家たちからは客観的に見られていますが、果たしてどうなっていくのでしょうか。

 

プラットフォーマーが続々登場「門前」から「かかりつけ」そして「地域」へ

 

 

たむら薬局が考える大規模チェーン薬局との差別化

私は株式上場している大規模チェーン薬局と、個人で営む薬局とでは土俵が全く違うと感じています。

 

第1回目のコラムでお伝えしましたが、私は一番身近な「医療人」が薬剤師だと感じたから薬学部へ進み、先代の地域への思いと縁で地元の薬局を事業承継しました。

先代たちはポリシーを持って地域住民と関わり、それぞれにファンがいて、小さい頃身近に感じた薬局薬剤師の仕事は地域住民と密着した仕事(ローカルビジネス)でした。

 

それが失われつつある今だからこそ、地域住民との相談時間・場所を確保し、健康サポート機能の武器を増やしながら、「cureからcareまで」地域住民の課題解決に向け、一番近くで本来の役割(目的)を達成するために取り組む薬局にはむしろチャンスなのではと感じています。

 

医療はローカルビジネス 地域課題

 

 

 

調剤薬局が生き抜く決め手は医療と地域薬局をつなぐ医療DXの実現


なぜなら、社会保障費の逼迫・少子高齢化・そしてコロナにより、薬局を取り巻く環境は大きな変化の局面を迎えています。課題の解決のために持続可能なサービスを提供し続ける医療DXの実現に向けて各種プラットフォームサービスが医療と地域薬局を繋ぐものへと進化していけば、患者が薬局を選ぶ基準は変わっていくでしょう。そして選ばれた薬局が地域課題解決に向け能動的に動くようになっていけば地域住民にとって良いサービスが提供できると考えているからです。

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