2022.08.29
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Vol.5中小規模薬局のDX戦略① ~DXからのファンづくり~

“超”地域密着調剤薬局の経営戦略 ~地域と共に生き続ける~

“超”地域密着調剤薬局の経営戦略  ~地域と共に生き続ける~

 

編集部より

「物」から「人」へ。2025年の実現を目指す地域包括ケアシステムの構築に向けて、薬局のあり方は変革期の真っ只中です。厳しい薬局経営が続く中、地域に根差す調剤薬局の強みを活かせる時代がようやく来たと考えている薬局経営者・管理者の方たちも多いことと思います。しかし、街の小さな薬局が地域と共に生きるとは具体的にどういうことなのでしょうか?本コラムでは、東京都練馬区江古田で地域密着調剤薬局経営をされている、たむら薬局の田村憲胤(のりつぐ)さんに、採用・税務・地域連携など薬局経営に関わる実践についてお話しいただきます。

第5回からは「薬局のDX戦略」に関するコラムをお届けします。国をあげてDXを推進する動きが加速する中、オンライン資格確認システム導入の原則義務化が決まるなど薬局も例外ではありません。経営者として何のためにDX化をはかるのか、その先にどのような調剤薬局の未来が見えるのかを考えることが大切だと田村さんは話します。調剤薬局が生き残っていくために必須だというもう1つの大切なこととは一体何なのでしょうか?

 

スタッフ総力戦となった新型コロナ第7波を乗り越えられているワケ

皆さまこんにちは。

新型コロナウイルス感染症第7波の感染爆発が止まらない状況下、発熱外来は毎日パンク状態が続き、ニュースでは全国知事会と日本医師会が共同で感染者の全数把握をやめて事務負担の少ない仕組みに変更するよう厚生労働省に緊急申し入れをしたり、日本感染症学会など関連4学会も重症化リスクが低く症状が軽ければ医療機関を受診せずに自宅で療養して様子を見るよう求める声明が発表されたりと、状況は日々刻々と変化しています。

 

自局の地域では7月後半から急激に陽性者が増え、ついにはスタッフにも陽性者が複数名出てしまいました。

時を同じくして、薬局から距離の離れたクリニックなどからも患者宅へ処方薬のお届け依頼がくるようになり、さらには経過観察の電話連絡や、検査無料事業・抗原検査キットについての問い合わせが急増し、まさに総力戦の状況です。

 

少ない人数ながらも、夏のお盆シーズンも休まず開局し続け、薬局の側で暮らしている私が、日曜や祝日の緊急対応をし続けることで、地域の要望になんとか応えられてきました。

大変な状況ながらも、自宅療養者へのお届け対応をきっかけに、新規での来局者も増え、住民から感謝される機会も多くなり、スタッフたちも「大変だけど頑張りましょう」と日々増加するコロナ関連業務に前向きに臨んでくれています。 

 

Vol.5中小規模薬局のDX戦略① ~DXからのファンづくり~

 

今のところなんとか乗り越えていられるのも、コロナ禍でデジタルシフトが一気に進んだおかげも大きいと感じています。

 

そこで、今回から数回に渡って、少しずつ進めてきた「DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略」に関してお伝えしていこうと思います。

 

 

たむら薬局がDXを導入したきっかけとは?

薬局DXの最初はレセコンや薬歴をはじめとする、単純な業務の置き換え(IT化・機械化)がスタートなのではないでしょうか。

それがITインフラの進化に伴い次第に業務効率化につながり、さらに行動変容につながるまでに進化していったと認識しています。

 

Vol.5中小規模薬局のDX戦略① ~DXからのファンづくり~

 

第1回目のコラムでお伝えしましたが、10年前は挫折を経験し、心身ともにボロボロで処方箋のお薬を渡すことだけで精一杯の状況でした。

 

光明を求め、経営者の会に積極的に参加していたところ、あるOTCの研修団体にたどり着きました。そこには地域に根ざし保険以外で相談機能を持ち、「care」から「cure」まで関わり続けて来た多くの薬局経営者たちがいました。

 

宝箱(OTC薬)に携わりたくて「薬剤師になりたい」と思った頃からずいぶんと時が流れ、気がつけば保険調剤という時代の流れに偏重していた私は、目をそらすようになっていた薬局本来の役割(目的)にようやく気づくことができました。

 

とはいえ当時、売り上げの99%を処方箋に依存していた状況下で、処方箋調剤という保険商品だけでなく、

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