2023.01.25
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ミッション:便秘で困っている方を減らせ!

熱血!特養常勤医師1,825日の挑戦 ~特養での穏やかな日常を目指して~ vol.4

熱血!特養常勤医師1,825日の挑戦  ~特養での穏やかな日常を目指して~

  

 

編集部より

特別養護老人ホームや有料老人ホームをはじめとする高齢者施設は、施設長を経営トップとして、介護職・事務職・看護職・外部機関など多職種の関わりによって日々の業務が進められ、高齢者の生活が保たれています。一方で、多職種が関わるからこそそこで生じる問題もさまざまで、解決には多職種の関わりが必要となるため大きなエネルギーを要することも多いのではないでしょうか。本コラムでは、大阪の特別養護老人ホームで「常勤医師」として働く堀切康正さんに、同施設における5年間の挑戦をつづっていただきます。「入居者様が穏やかに過ごせる施設」を目指し病院から特別養護老人ホームに活躍の場を移した堀切さんは、介護の現場で何を感じ、誰とどのように改革を進めてきたのでしょうか。

第4回は介護施設における重要課題「便秘」との戦いの現場をレポートします。便秘は入居者様のあらゆる不調のもとになりうるほか、怒りっぽくなるなど精神状態にも影響します。最悪の場合命にかかわる問題になることもあるのです。介護現場の実情に即した下剤の上手な使い方と、重度の便秘にどう対応したらいいかを特養常勤医師の視点から実際にあった実例をもとに事例解説していただきました。

 

執筆/堀切 康正(社会福祉法人 永寿福祉会 永寿特別養護老人ホーム 永寿診療所 管理医師)

編集/メディカルサポネット編集部

 

 

  

たかが便秘、されど便秘 「出ないのは困るけど、出すぎるのも困る」

介護施設のスタッフで、排便についてそう思っている方は多いのではないでしょうか。便が出ない場合、前回の排便から2~3日ならまだ大丈夫。しかしそれが4~5日となってくると話が変わります。徐々に食事量が減ってきて、最悪の場合は嘔吐し、誤嚥性肺炎まで起こすことがあります。便秘といえど生命にかかわる問題になることがあるのです。そのため、適切な排便を促せるよう介護施設のスタッフは日々奮闘しています。

 

一方、便秘のために下剤を入れると、今度は違う問題が発生します。便が出ていないから夜にラキソベロンを内服してもらう。その影響で滝のような水様便が出てしまい、本人は入浴させないといけない、ベッドはシーツやら全交換が必要なる。これは一人二人なら何とか対応出来ます。しかし、このような方の人数が増えてくると、少ないスタッフの手がまわらなくなる。中々難しい問題です。

  

ということで、今回のテーマは便秘です。私は高齢者施設で働きだしてから便秘問題と本格的に向かい合うようになりました。後期高齢者でADLが落ちている方の排便コントロールは、下剤以外で行うことは中々難儀なものです。

 

今回は、適切な下剤の使い方と便秘の原因について考えてみます。ちなみに私は、可能な限り薬の量は減らしていきたいと考えています。「下剤は嫌い!」と考えている方は、薬を減らすためのヒントだと思い読んでいただけると幸いです。

今回のポイントを一言でいうと、「刺激性下剤の使い方」と「直腸性便秘の方は早く見つけるべし」です。

    

熱血!特養常勤医師1,825日の挑戦  ~特養での穏やかな日常を目指して~ vol.4

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