2022.09.06
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【最終回】どうなっていく?介護事業の未来

菊地雅洋の激アツ!介護経営塾 ~選ばれる介護事業所であり続けよ~ Vol.12

 

 

編集部より

来るべき”2040年問題”に向けて、介護事業所の経営はこれからさらに厳しさを増すと予想されています。いかにして生き残るか。経営者たちはその手腕が問われようとしています。本コラムでは「masaさん」の名で多くの介護事業経営者たちから慕われる、人気介護事業経営コンサルタント菊地雅洋さんに、「介護経営道場」と称して時にピリ辛に、時に激辛に現状と課題、今後の展望を伝えていただきます。最終回となる第12回は、介護事業の未来像について解説いただきます。少子化、増え続ける介護給付費、介護施設の人材確保など、多くの困難が待ち受ける介護事業にはどのような未来が待ち受けているのでしょうか?明るい未来かそれとも・・・。

 

介護保険制度に影を落とす少子化進行

 

介護事業の未来を考えるとき、その先行きが懸念される数字が先日示されました。総務省が8月9日に発表した、「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(令和4年1月1日現在)」によると、昨年の日本人の出生数が前年より3万1285人少ない81万2036人だったのです。

 

この数字は1979年の調査開始以来の過去最少を更新するもので、過去最少更新は6年連続となっています。昨年生まれた子供の数が過去最低人数となったということは、その子供たちが成人に達する2041年は過去最少の新成人数となるということです。そして今年以降も出生数が減ると2042年以降もさらに新成人数が減っていきます。

 

我が国では後期高齢者の数は2042年にピークを迎え、同時に要介護者の数もそれまで増え続けると想定されているので、少子高齢化がますます進行することになります。当然そうなれば財源や人材の確保が今以上に困難となります。

 

 

菊地雅洋 コラム メディカルサポネット

 

 

 

懸念される国民の痛みを増す政策

 

現在、社会保障審議会・介護保険部会では次期制度改正に向けた審議が行われており、年が明けると介護給付費分科会で2024年度の介護報酬改定審議も行われます。これらは制度の持続性を担保することを最大の目的として行われていますので、財源に限りがあることを理由として、青天井の給付を防ぐためにさまざまな給付抑制策国民負担増加策が検討されていくことになります。出生数減に歯止めがかかっていない現状はそこにも影響してくるでしょう。

 

しかも今後3年間は衆議院の解散がなければ国政選挙のない時期と重なります。それは国民に対して痛みを求めても、選挙でそのしっぺ返しを恐れなくてよいという政治家にとっての、「黄金の3年」なのです。ここでは将来介護保険サービスの利用者割合について2割負担を基本とするために、2割負担者と3割負担者の範囲拡大が図られる可能性が高くなります。足掛け15年の議論となっている居宅介護支援費の自己負担導入の可能性も高まりました。軽介護者の訪問介護や通所介護を地域支援事業化するという案については、地域の受け皿が整備されていないので時期尚早との声が挙がっていますし、厚労省はその実現に向けた積極的姿勢を取っていませんので、実現したとしてもまだ先になると予測していますが、この実現に積極的な財務省と今後のやり取りの中で、潮目が変わらないとも限らないので注意が必要です。

やろうと思えば、訪問介護と通所介護の予防給付を地域支援事業化したときのように、介護給付から外れる利用者については、既存の介護給付事業者に委託サービスとして地域支援事業サービスを実施してもらえばよいのですから、経過措置を設けたうえで2024年度からの実現に向けて急激にかじ取りする可能性も捨てきれないのです。そのことによって給付単価は減らせるし、年度内で財政的事情の許す範囲(上限)内で事業費を予算化する裁量的経費とすることで給付抑制できるからです。

 

 

菊地雅洋 コラム メディカルサポネット   

 

介護報酬がマイナス改定になっても介護市場は成長市場

 

さらに3回連続のプラス改定となっている介護報酬は、コロナ禍で打撃を受けた経済対策を優先させることを理由に、報酬単価のマイナス改定が想定されます。経済対策として介護職処遇改善加算は上乗せされても、その財源は基本サービス費を削って賄う可能性もある厳しい改定になるでしょう。

 

しかし要介護者数は今後20年間増え続け、介護給付費だけをみても毎年大きく増額

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