2022.10.26
3

特定技能とは?制度や試験方法、技能実習との違いを解説

行政書士が解説 特定技能とは?制度や企業がすべき支援について

 

執筆者:行政書士/井手清香

 

2019年4月に、日本の人手不足を解消するため、在留資格「特定技能」が整備されました。14の業種で外国人の就労が可能になり、外国人労働者の採用を検討している企業にとっては人材獲得のチャンスといえるでしょう。

基礎知識から採用の方法までわかりやすく解説してますので、ぜひ、参考にしてみてください。

特定技能の人材紹介サービス資料の無料ダウンロード・採用の無料相談はこちらから

新在留資格「特定技能」とは

「特定技能」とは、2019年4月に創設された、日本国内で人手不足が深刻とされている特定産業分野(14業種)において、即戦力となるが濃く人材の就労が可能になった在留資格です。

 

在留資格「特定技能」には、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があり、1号は14業種、2号は2業種が指定されています。業種についてはこの後、詳しく解説します。

 

「特定技能」は特別な育成などを受けなくても即戦力として一定の業務をこなせる水準であることが求められます。

  

そもそも在留資格とは何かを知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
 

【よくわかる在留資格入門ガイド】種類を一覧で紹介

【よくわかる在留資格入門ガイド】種類を一覧で紹介
外国人が日本に在留して活動をおこなうために必要な在留資格は、目的別に多くの種類があります。資格の種類によって在留期限や就労の可否なども変わってくるため、非常に複雑です。また、企業にとっては、業務範囲や在留期限などが大きく関係してくるため、採用担当者は在留資格に対する正しい知識が必須です。[...]

特定技能1号

「特定技能1号」は「特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格」とされています。

 

特定技能2号

「特定技能2号」は、「特定技能1号」を修了した後に移行することができる、「特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。

 

現在は「建設」「造船・船舶工業」の2分野のみですが、許可された実績はなく、2021年度中に試験をスタートする予定です。

 

「特定技能」1号では在留期間の上限が「5年」なのに対し、「特定技能」2号の場合は上限がありません。

 

また「特定技能」2号の場合は、要件を満たすことで家族帯同もできます。

 

特定技能1号と2号の違いについては、以下の記事で更に詳しく解説しています。併せて確認してみてください。

特定技能1号と2号の違いを徹底解説!取得条件や求められるスキルは?

特定技能1号と2号の違いを徹底解説!取得条件や求められるスキルは?
2019年4月に在留資格「特定技能」が創設されました。昨今では特定技能2号の分野追加の動向についてニュースでも多く取り上げられ注目が高まっています。しかし特定技能2号は1号とどう違うのでしょうか?
今回は、「特定技能1号」と「特定技能2号」の違いについて、取得方法なども含めて詳しく解説します。



企業が「特定技能」外国人を採用するメリット

「特定技能」は、外国人労働者が単純労働を含む幅広い業務に従事できることが最大のメリットです。いままで、単純労働に従事できる資格は永住者などの身分に基づいた在留資格のみだったため、人材の母数が多くはありませんでした。

 

また、「特定技能」は学歴や関連業務の従事経験を求められないため、外国人材側のハードルが低く、人材の出現率も高くなることが予想されます。

 

  

特定技能で就労可能な業種

「特定技能」の対象業種・は以下の14種です。これらは国内で充分な人材を確保できないとされ、特定産業分野に指定されています。「農業」と「漁業」分野においてのみ、派遣での雇用が可能です。

  1. 介護
  2. ビルクリーニング
  3. 素刑材産業
  4. 産業機械製造業
  5. 電気・電子情報関連産業
  6. 建設
  7. 造船・舶用工業
  8. 自動車整備
  9. 航空
  10. 宿泊
  11. 農業
  12. 漁業
  13. 飲食料品製造業
  14. 外食業

※「特定技能」2号で受入れができるのは、2分野(建設、造船・舶用工業)のみ。

それぞれの職種の詳細は、以下の関連記事でも詳しく解説しています。

【2022年】特定技能14業種を徹底解説!職種一覧・受け入れ状況まとめ

【2022年】特定技能14業種を徹底解説!職種一覧・受け入れ状況まとめ
介護など、一部の職種では特定技能の受け入れが進んでいます。特定技能の職種や、どのような業務に従事できるのかなど、特徴をご紹介します。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、取り扱いが変更されていることなどもありますので、現時点での最新情報です。



「技能実習」と「特定技能」の違い

名前が似ているからか「特定技能」と間違われやすい制度に「技能実習」が挙げられます。認められる活動内容や、転職の有無など違いは様々ありますが、大きな違いは「技能実習」は人手不足を補うことが目的ではないということでしょう。

 

「技能実習」制度の目的は「技能移転による国際貢献」であり、技術を日本に学びに来ています。そのため技術を必要としない単純労働をすることは認められていません。母国へ帰ることが前提なので、家族帯同などもありません。

 

一方、「特定技能」は外国人を労働力として受け入れることが前提の在留資格ですので、単純労働が可能で、幅広く働くことができます。二つの違いを以下の表にまとめました。

【技能実習と特定技能の違い】

技能実習 特定技能
目的 技能移転による国際貢献 労働力の確保
人数制限 あり 建設・介護を除いて無し
永住権
とるための
ルート
技能実習のままの場合は、
日本人の配偶者がない限り、不可能。

特定技能へ移行した場合は、
特定技能から永住権を取得可能。
特定技能1号→2号→永住者というルートで、
永住権の取得を目指すことが可能。
外食分野への従事 不可 可 詳しくはこちら
転職 場合によって「転籍」が可能。
転職という概念はない。
同一職種であれば転職が可能。
詳しくはこちら
家族の帯同 不可 2号のみ可
関与する
主体
外国人本人(技能実習生)送り出し機関、
受け入れ先機関(企業)、
監理団体技能実習機構。
外国人本人企業
※登録支援機関への委託は必須ではない。
支援を行う
団体
監理団体 登録支援機関



1号特定技能外国人には企業の支援を行う義務がある

特定技能制度においては、外国人受入れを行う企業である「受入れ機関(特定技能所属機関)」は、特定技能外国人に対して業務や日常生活を円滑に行えるように、「支援計画」を作成し 、支援を行うことが義務付けられています。

▶参考:法務省|在留資格「特定技能」に関する参考様式(新様式)1号特定技能外国人支援計画書

ちなみに、2号特定技能外国人への支援は義務ではありません

 

2号特定技能外国人は日本生活もある程度長くなり、日本語能力なども高くなっていることから支援はなくとも生活できる状態になっています。

 

この支援の実施については、登録支援機関に委託をする、または委託が必須となることがあります。

登録支援機関について

登録支援機関とは、「特定技能1号」の外国人を受け入れた企業(特定技能所属機関)から委託を受けて外国人の支援を行う、出入国管理局から認定を受けた機関のことです。受け入れ企業に代わって支援計画を作成するなど、頼りになる機関です。

 

「特定技能2号」は登録支援機関の支援対象外です。

 

「特定技能」の外国人を雇用する企業は、外国人を職場上、日常生活上、社会上において支援する必要がありますが、登録支援機関に委託することも可能です。すべて自社でまかなうことも可能ですが、通常業務と並行しての外国人支援は非常に大変です。


登録支援機関に支援を委託しなければならない場合


受け入れ企業内に2年間外国人の在籍がない場合は、自社で支援はできず、登録支援機関に委託しなければなりません。

また、登録支援機関の業務を一部だけ受け入れ企業側で実施することはできません。委託する場合は全委託となります。一部でも省こうとすると法令違反になるので注意しましょう。

マイナビグローバルでは登録支援までをサポートしながら特定技能外国人材のご紹介も可能です。お困りの際は、お問い合わせください。

また、登録支援機関に委託が必要かどうかについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。ぜひご覧ください。


登録支援機関とは?委託は必須?役割・選び方・特定技能外国人の支援内容を解説

登録支援機関とは?委託は必須?役割・選び方・特定技能外国人の支援内容を解説
特定技能外国人を雇用する際、企業に代わって外国人の支援を行うのが登録支援機関です。特定技能制度において登録支援機関とはいったいどんな機関なのか。担うべき役割や、支援内容について解説するとともに、登録支援機関のサポートが必須なのかどうかという疑問にも、行政書士がお答えします。



 

  

外国人採用サポネット

↑ back numberはこちら ↑

 

この記事を評価する

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

TOP