2023.03.17
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ケアプランデータ連携システムとは?基本や仕組み、導入方法を解説

事務負担が減って、業務が効率化!

ケアプランデータ連携システムとは?基本や仕組み、導入方法を解説

 

編集部より

2023年4月から、「ケアプランデータ連携システム」が本格稼働します。これまで、FAXや郵送でやりとりしていたケアプラン情報がデータで送受信できるようになることで、作業時間の短縮やコスト削減が可能に。居宅介護支援事業所や介護サービス事業所への導入が進められています。

ここでは、ケアプランデータ連携システムの内容と仕組みのほか、導入方法について詳しく見ていきましょう。

ケアプランデータ連携システムは、事業者間のデータのやりとりを効率化するシステムのこと

ケアプランデータ連携システムとは、居宅介護支援事業所と介護サービス事業所のあいだで毎月やりとりされるケアプランの一部情報(予定・実績)を、システム上でデータによって送受信できるようにしたものです。厚生労働省と公益社団法人国民健康保険中央会が中心となって構築しました。 2020年に調整が開始され、2023年2月からのパイロット版の運用を経て、2023年4月から本稼働の予定。介護事業所の文書作成に要する負担の、大幅な軽減につながることが期待されています。

 

利用者が望む暮らしのために必要な援助内容をまとめたケアプラン

ケアプランデータ連携システムでやりとりされるケアプランは、利用者が介護サービスを利用するための計画書です。作成者はケアマネージャーで、利用者が望む暮らしを実現するためにどのような課題があるのかを整理した上で、援助内容や利用するサービスの種類、ケア内容と期間、サービスを提供する事業所のほか、家族や地域の方にお願いする役割などが記載され、利用者の介護や自立支援に関わるケアチームそれぞれの役割がまとめられています。

ケアプランは、利用する介護サービスによって、下記のように何種類かに分けられます。

 

居宅サービス計画書

居宅サービス計画書とは、在宅生活を送る要介護1~5に認定された利用者に対して作成されるものです。サービス内容は、訪問看護・リハビリテーションや通所介護・リハビリテーション、福祉用具貸与などとなっています。

 

施設サービス計画書

施設サービス計画書とは、介護保険施設に入所している要介護1~5に認定された利用者に対して作成されるものです。特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護療養型医療施設などの入居者が対象となります。

 

小規模多機能型居宅介護計画書

小規模多機能型居宅介護計画書とは、通所サービス、訪問サービス、宿泊サービスを提供する施設によって作成されるものです。利用者が最後まで自宅で暮らすための支援を行います。

 

介護予防ケアマネジメント(介護予防ケアプラン)

介護予防ケアマネジメントとは、要支援者1~2に認定された人や基本チェックリストにより総合事業対象者となった人に対して作成される介護予防ケアプランです。介護状態の軽減や悪化防止を目的としています。

 

ケアプランデータ連携システムの仕組み

ケアプランデータ連携システムは基本的に、居宅介護支援事業所と介護サービス事業所のあいだでケアプラン(予定・実績)をデータでやりとりするものです。

従来は、手書きまたは手入力で書面を作成し、FAXや郵送で送らなければいけませんでしたが、直接データで送受信できるようになります。

 

ケアプランデータ連携システムとは?基本や仕組み、導入方法を解説

出典:厚生労働省「ケアプランデータ連携システムの概要等の周知について

 

ケアプランデータ連携システムを利用するには、専用ウェブサイトから利用申請を行った後、国民健康保険中央会のウェブサイトからクライアントソフトをダウンロードし、パソコンへのインストール・初期設定と電子証明書の確認を行うだけです。

ただし、データをやりとりする相手先がケアプランデータ連携システムを導入していない場合は使えません。

 

ケアプランデータ連携システムを利用するメリット

 

ケアプランデータ連携システムを利用するメリットとしては、次の3つが挙げられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

業務の効率化・コスト削減

従来の介護現場では、ケアプランのやりとりはFAXや郵送、メールなどでの受け渡しが主体でした。システム導入により、データを直接やりとりできることで、大幅な業務効率化や人件費、印刷費などのコストの削減が期待できます。

国民健康保険中央会が2022年10月に発行したパンフレット「ケアプランデータ連携システムについて」では、過去の調査研究アンケートから、システム導入時の費用削減効果は年間約81万6,000円と試算(人件費削減を考慮した場合)。削減費用を確約するものではありませんが、システムを導入することにより、各事業所でもコスト削減が期待できそうです。

 

セキュリティの確保

基本的に、標準仕様に則ったデータがやりとりされるので、事業者ごとに仕様が異なり見づらい問題が解消されます。また、強固なセキュリティ対策が講じられていることで、安心してデータのやりとりが可能です。

 

ヒューマンエラーの削減

データを直接やりとりするため、人の手による転記ミスがなくなります。転記にかけていた時間を使ってほかの仕事ができるほか、ミスが減少。返戻リスクが軽減することも期待できます。

 

ケアプランデータ連携システムのデメリット

介護の事務業務が効率化できるケアプランデータ連携システムですが、デメリットも考えられます。システム導入を前に知っておきたい点は、下記のとおりです。

 

システムの利用料金が必要

ケアプランデータ連携システムの利用料金は、1事業所あたり年間2万1,000円(税込)です。支払方法は、電子請求の証明書発行手数料と同様、国民健康保険団体連合会に請求する介護給付費からの差し引きが可能とされています。

自社にコストが発生するのはもちろんのこと、行政が主導しているのに料金がかかるということで導入を見送る事業者が多かった場合、多くの事業所とのやりとりは、結局FAXや郵送のままとなる可能性があります。

 

ICT化定着に時間がかかる

介護に関する書類作成は多岐にわたり、業務効率化のためにもICT化が進められています。システムに慣れれば、職員の負担軽減や介護の質向上にもつながるため、積極的に導入したいところです。

しかし、職員が新しいシステムに慣れるには一定の時間がかかり、教育の手間がかかる点も知っておきましょう。

 

ケアプランデータ連携システムの導入をサポート

2023年4月から本格稼働するケアプランデータ連携システムの利用は、ケアプランの情報が直接データでやりとりできるようになることで、大幅な業務効率化や人件費、印刷費などのコストの削減効果が期待されます。職員がシステムに慣れるまで時間がかかったり、教育が必要だったりはしますが、長い目で見ればメリットが大きいといえるでしょう。

 

メディカルサポネットでは、医療機関や調剤薬局、介護事業者様向けの人材紹介サービスのほか、人材育成のための研修やコンサルティングサービスも行っています。ケアプランデータ連携システムの導入のための施設内教育や業務効率化をお考えなら、ぜひメディカルサポネットにご相談ください。

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