2022.02.15
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職員のモチベーション・満足度・生産性を高めるために、いま何をしなければいけないのか?

株式会社日本経営 組織人事コンサルティング部  外池薫子

 

  

編集部より

「職員が仕事に対するモチベーションが低い」「育成や定着に繋がらない」「人事評価の運用を紙やExcelで行っているため、生産性が上がらない」と、お悩みを抱えている事業者・人事担当者様は多いのではないでしょうか。今回は、チームパフォーマンスを向上させ、組織を活性化するためにどのような取り組みが必要か、生産性の高い評価制度を運用するためにはどうしたら良いのかに焦点をあて、株式会社日本経営 組織人事コンサルティング部 外池薫子さんにお話を伺いました。「人事評価や採用活動の見直しを検討している」というみなさまは、ぜひご覧ください。

 

取材・編集・構成/メディカルサポネット編集部

 

1.医療機関に勤務する職員は評価制度をどう感じている?

――マイナビが独自で行った医療機関で働く方を対象にした労働実態調査によると、人事評価に関しては以下のような声があがっています。

 

【職員による人事評価制度に関する要望】

 

■個人の仕事を評価して、等級を昇格させる制度にしてほしい

■仕事の出来、不出来に応じて、給与や待遇を変えてほしい

■業績評価を行い、年に何度か面接を行って評価してほしい

■有資格者や組織への貢献度を明確に評価してほしい

■年齢や資格のみで評価するのではなく、能力を考慮してほしい

■全てが数値結果で評価できるとも限らないが、年功序列ではなく、モチベーションが上がる仕組みにしてほしい

■働かない人と働く人が同じ時給だったり年収だったりすることの無いようにきちんと正当に評価できるように基準を作ってほしい
※マイナビ独自の医療従事者向け労働実態調査結果より抜粋
 

 

――「個人や能力を評価して欲しい」「働く上で、モチベーションが上がる仕組みにして欲しい」などの声が見られますが、医療機関における人事評価制度においてはどのような課題が多いのでしょうか。

 

医療機関では、能力がある若手や優秀な人材がより良い環境を求めて流出することで、残された部署や病院全体のモチベーションが低下、組織は硬直し、パフォーマンスが低下するといった悪循環が発生しているケースも少なくありません。マイナビ社の調査結果からもわかりますが、従来の人事評価ではなく、今後はより個人の能力や多様性を尊重するような制度が求められている風潮です。そこで、各医療機関が求める内容を評価項目に設定しながら、職員一人ひとりがより高いレベルで実践できるよう、育成を目的にした評価制度を取り入れることが望ましいと感じております。実際に弊社がご相談を受ける医療機関からもそのようなご要望を多くいただきます。

 

――株式会社日本経営では医療機関や介護施設を中心に、組織や人事制度に関するコンサルティングを提供されています。具体的にどんなサービスがあるのでしょうか。

 

弊社は、医療機関や介護施設を中心にコンサルティングを行っている企業です。医療機関によって課題が異なるため、全て同じようにコンサルティングを実施するということはできません。しかし「こういう課題を持つ医療機関にはこんなサービスが必要だ」という内容については、具体的にサービス化し提供しております。人事に関する内容で、日本経営が提供する具体的なサービスは3つあります。

 

1つ目は「ES NavigatorII」です。人事評価を見直す前や退職者が多く出てしまった際に現在就業している職員の活性化要因(パフォーマンスを上げるための要因)を把握する必要があります。一般的にこのような場合に活用される職員満足度調査は「満足度を図る」ことを目的にしていますが、ES NavigatorⅡは、本質的な課題にアプローチできるよう「組織の活性化要因を探索すること」を目的にしています。そのため弊社では、組織が活性化した状態を職員の「意欲度」と「満足度」の2軸で定義付けし分析できるよう、システムを開発したという経緯があります。ES NavigatorⅡは、7万人のデータをもとに組織の特徴を明らかにすることで改善すべきポイントを探り、3分類15カテゴリ60設問から組織の活性度を測定し、さらに活性度を高めるための効果的なポイントを明らかにします。他医療機関のデータと比較した上で要因を分析し、貴院・貴社の現状を客観的に把握できることで、より効果的な取り組みを検討していただけます。

 

2つ目は「人事評価ナビゲーター」です。「人事評価の運用を、紙やExcelで行っている」という医療機関が非常に多いと思うのですが、こちらのシステムを導入いただくことにより、最も手間がかかる、配布・回収・集計・保管のタスクを大幅に軽減できます。「紙やExcelを使い、管理・運用することに慣れている」「PC操作が得意じゃない」という人事担当者や職員様のお声を伺ったのですが、日本経営が提供する人事評価ナビゲーターは、とてもシンプルな設計になっているため、PCやシステムが苦手な方でも混乱することなくご利用いただいています。また、業務効率化というメリットだけでなく、過去の評価結果を把握・確認できたり、昇給や賞与の根拠となるデータの蓄積としてもご活用いただけます。

 

3つ目は「NaviLight」です。組織の在り方として多いのが「チームをコントロールするのは管理職の役割りで、何かあった際は管理職の責任」というものです。しかし、管理職のマネジメント力や人間力だけでは解決できない問題もあります。そこで、メンバーそれぞれがチームの課題を自分事として捉えることで、チームパフォーマンスを向上していくことが必要になります。NaviLightは、チームの状態を診断するWEBアンケートシステムです。メンバーが結果をポジティブに受け止めやすいよう、チーム状態の診断結果を数値ではなく、キャラクターでビジュアル化し提示しています。また、その後の活用を前提にチームの状態に合わせた効果的な改善ポイントを知ることができます。自分たちのチーム状態を客観的・視覚的に把握し、「何をすればより良いチームになるか」ということをメンバー同士で話し合うことで、コミュニケーションが活発になり、チームの動き方が変わります。そうすることにより、組織全体や風土の改革へと繋がります。


弊社は、医療機関が抱えるお悩みを解決するために課題に応じたコンサルティングのほか、

・組織活性化のための要因を抽出をしたい

・より効率的で生産性が高い評価制度の運用を行いたい

・チームパフォーマンスを向上させ、組織全体や風土改革へ繋がる動きをつくりたい

など、ゴール設定が明確なものに対する適切なサービスをご案内しています。

 

 

2.職員の仕事に対する生産性・モチベーション・満足度を高める秘訣とは

―― 「人事評価の見直しを検討している」といっても、現在の職場の状態や作業効率など、確認しなければいけない内容がたくさんありますね。これまで多くの医療機関の課題解決に対応する中で、職員の仕事に対する生産性やモチベーション、満足度を高める秘訣はどこにあると考えますか?

 

秘訣とまでは言えないかもしれませんが、「目的を明確にして取り組むこと」「従来のやり方に依存しないこと」が大切だと感じています。例えば、人事評価制度を紙やExcelで運用している医療機関では「これまでの運用で問題が生じていない」「紙やExcelに慣れている」というお声を多くいただきますが、実際は、評価表の配布や集計に膨大な時間を使っていますシステムを導入すると、大幅な業務効率化に繋がり、生産性が高くなります。また、副次的効果ですが職員の働く時間や他業務への投下時間に影響を与え、満足度やモチベーション向上につながる可能性もあると考えます。次のトピックスでは「ES NavigatorⅡ」・「人事評価ナビゲーター」・「NaviLight」を実際に導入した医療機関の事例をご紹介します。

 

 

3.医療機関における導入事例について

ESNavigatorⅡ

A様(病院)
導入目的 ・経営課題を達成する組織を実現するため

導入の決め手

・医療機関の実績が多い従業員満足度調査(ES調査)だったこと
得られた効果 ・毎年課題を達成するために効果的で具体的なアクションプランを応用・展開することができた
・自分たちで行っていたデータ集計が不要となり、結果をタイムリーにフィードバックできる

 

B様(病院)
導入目的 ・当院の組織改善の決定打となることを知りたかったため

導入の決め手

・ESNavigatorⅡでは、現状値だけでなく何に注力すると効果的かを特定できたこと
得られた効果 ・注力すべきポイントがわかった
・毎年実施することで通知表をもらっているような実感があり、素晴らしい経営の物差しであると感じている

 

 

人事評価ナビゲーター

S様(社会福祉法人)
導入目的 ・1,700名以上の職員の人事評価を本部で一元管理するため

導入の決め手

・クラウド上で評価シートの管理ができること(紙の作業がなくせること)
・Excelへの打ち込みや確認作業を無くすことができること

得られた効果

・データ入力後の確認や管理による手間が減った
・各事業所や部署を間に挟まず、本部で管理することができ、人事評価がスピーディーに実施できるようになった

 

A会様(医療法人)
導入目的 ・ペーパーレス化を実現し、人事担当者の業務負担を改善するため

導入の決め手

・ペーパーレス化が実現できること
得られた効果 ・紙による運用をしなくなった(紙を一切使わなくなった)
・考課者自身が評価未実施の部下を把握できるため、自ら声掛けを行う積極的な行動が見られるようになった
・人事異動が多くても、考課者の変更が設定一つでできるため、紙で管理していた頃よりも格段に楽になった

 

H様(社会福祉法人)
導入目的 ・十数人分にわたる紙での評価を効率化するため
・忙殺される評価担当者の業務を改善するため

導入の決め手

・システムの中で評価結果が集計できること
・評価結果を一覧で見られること
得られた効果 ・システム上で評価結果が集計され、一覧で見ることができるため、大幅に効率化できた
・本人にも評価結果の閲覧権限を与える設定にしており、「透明性」を大切にすることもできている

 

 

NaviLight

U社(就労支援会社)
導入目的 ・チーム力を高め、業績向上につなげるため

導入の決め手

・チームの雰囲気やチームワークが各拠点の業績に影響を与えると考えたこと
そしてそれが働き甲斐になり、離職率を下げていくことにも繋がるのではないかと期待したため
得られた効果 ・事業所の状況が可視化されることで、社員が自分たちの事業所の状況を把握でき、さらに良くしていくためにメンバー同士で主体的に話し合ってくれている
・退職とアンケートスコアの相関関係を探ることができ、課題となる心理要因を改善する打ち手を検討することで、離職率を下げることに繋がるのではないかという期待が持てている

 

A社(大手製薬会社)
導入目的 ・リーダーのマネジメントツールとして活用するため

導入の決め手

・無料体験をしてみると、結果がキャラクターで出るので面白く、メンバーも楽しみながら経過を見たり、それをきっかけにチームのことについて話をするようになったことが管理者側から見てとてもよいものであったため
得られた効果 ・チームパフォーマンスについて各チームがディスカッションする時間が増え、チームパフォーマンス向上に取り組むことの重要性を理解しようとする各メンバーの姿勢がみられる
・アンケートを定期的に実施することで、メンバーのチームパフォーマンスに対する意識が継続されやすい環境をつくれている
・チームマネジメント研修とあわせて実施することで、研修で学んだチームパフォーマンスに関わる知識を前提に議論ができ、より効果的なディスカッションが行われている

 

 

――最後に、「職員が仕事に対するモチベーションが低い」「育成や定着に繋がらない」「人事評価の運用を紙やExcelで行っているため、生産性が上がらない」と、お悩みを抱えている経営者・人事担当者様へメッセージをお願いします。

 

『モチベーション』『定着』『生産性』という言葉は近年多く使われており、経営者・人事担当者様も重要性を感じられていることだと思います。一方で、「具体的な取り組みや手法がわからない」と頭を悩ませているのではないでしょうか。今回のインタビュー記事がお悩みを解決するためのきっかけになりましたら幸いです。

 

 

 

株式会社日本経営
組織人事コンサルティング部
外池 薫子(そといけ ゆきこ)

新卒入社で大阪本社の組織人事コンサルティング部に配属され、医療機関・介護施設のクライアントを対象とした人事制度構築や職員の教育研修等、人・組織を軸とした組織改善支援に一貫して従事。2021年10月からは東京支社へ異動し、クライアントのニーズにあわせた最適なサービスのご案内やコンサルティング業務に従事している。

 

  

 

  

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  • 人事評価ナビゲーター
    人事考課が人材育成の機会として効果的に機能するために、コンサルのノウハウを詰め込んだ人事評価システムです。オンラインで人事評価を実現できます。
  • ESnavigator
    7万人のデータを基に分析・組織の特徴を明らかにし、改善ポイントを探る職員満足度調査です。他病院や施設などのデータと比較し、改善目標を立てることができます。
  • navilight
    Webアンケートでチームパフォーマンスを診断し、モチベーションアップを図るためのWebアンケートツールです。コミュニケーションの活性化や組織・風土の改革へと繋がります。

    

 

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