With/Afterコロナ時代に医療機関・介護福祉施設が成長し続けるためには、経営者・管理者が「成長する組織づくり」を実践することが求められています。人々の暮らし全体が「ニューノーマル(新常態)」への適応を迫られている中、医療機関・介護福祉施設もビジネスモデルや業務プロセス、働き方等に対して大きな変革を迫られます。「成長する組織づくり」のために必要な5つのSTEPのうち、今回はSTEP3の「制度構築」についてお伝えします。同一労働同一賃金がスタートし、人事制度や賃金制度の整備が求めらていますが、経営者・管理者は各スタッフの経験・能力の差をどのように「賃金」へと反映させていけばいいのでしょうか?また、医療機関・介護福祉施設におけるこれからの人事制度のあるべき姿についても解説いただいています。生産年齢人口減少が続く日本において、スタッフの満足度が高まる職場づくりが重要といえそうです。
執筆/皆川 雅彦(特定社会保険労務士)、榎本 幸子(社会保険労務士)
編集/メディカルサポネット編集部
同一労働同一賃金導入で問われるもの
2021年4月1日にスタートした「同一労働同一賃金」。働き方改革の中でも大きな注目を集めており、企業・組織においてその準備が進められています。しかし、一方で「同一労働同一賃金」についてこんなお悩みが弊所に寄せられてもいるのです。
・成果は変わらないが給与は上がり続けるなど、成果と給与のバランスが崩れている ・評価結果が適切にフィードバックされていないため、処遇に対するスタッフの納得感が低い ・そもそもきちんとした人事制度がないため、賃金にばらつきがあり全体のバランスが悪い ・「同一労働同一賃金」が中小企業にも適用が拡大されたが、どう対応したらよいか |
ここで、改めて同一労働同一賃金についておさらいしておきましょう。
働き方改革は、長時間労働の是正や雇用形態の違いによる格差をなくし、多様な働き方ができる社会を目指したものです。「同一労働同一賃金の義務化」は、働き方改革の3本柱の1つであり、正職員=無期雇用フルタイム労働者と、非正規職員=(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)が同じ仕事をしている場合、「正規」「非正規」という雇用形態に関係なく同じ賃金水準にするという考え方です。
厚生労働省:同一労働同一賃金ガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000190591.html
これまで定着してきた正職員制度(年功給与、家族手当、住宅手当といった属人的要素で決まっていた人基準の賃金)を根本的に見直し、職務や成果など仕事基準の賃金への移行が必要です。
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