2019.04.16
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タイプ別対応でミスコミュニケーションが激減(稲場真由美)

最高のチームをつくる聞き方・伝え方のルール【後編】


 

株式会社ジェイバンの稲場真由美さんが開発した「性格統計学」に基づくコミュニケーションメソッドは、人を4つのタイプに分類し、タイプ別に伝え方や受け止め方を変えることがポイントになります。

自分の思いが伝わらないのは、自分が悪いわけでも相手が悪いわけでもありません。単に自分と異なるタイプへの対応を知らないだけなのです。 

対応が変われば人間関係は良好になり、組織におけるチームワークの向上につながります。

性格統計学をベースに、企業内のコミュニケーションにおける課題に取り組む稲場さんに、より実践的な活用法を聞きました。(構成/洗川俊一)

※【前編】はこちら

タイプ別対応で仕事上のミスコミュニケーションは激減する

チームワークが求められる職場では、ちょっとしたミスコミュニケーションがチーム力の低下に直結します。

そこから人間関係の悪化につながると、チームとしての活動そのものを阻害することにもなるでしょう。

 

もちろん組織としては見過ごせない問題ですし、頭を悩ませているマネジメント層の人はたくさんいるはずです。

でも実は、それらの要因はシンプルに考えることができます。

ミスコミュニケーションの多くは、自分と異なるタイプに対して間違った伝え方をしているだけなのです。

 

感謝の気持ちを伝える言葉1つでも、タイプによって受け取り方が異なります(タイプ別の特徴は【前編】参照)。

 

Peace(ピース)」は人の役に立ちたいという思いが強いので、心からの「ありがとう」という言葉があれば、それだけで感謝の気持ちが伝わります。

しかし、「Vision(ビジョン)」と「Logical(ロジカル)」は、それでは心に響きません。

ビジョン」は、言葉に加えて感情表現やリアクションを求めています。

ロジカル」は、具体的な感謝を求めます。なぜなら、「ロジカル」は、何に対しての「ありがとう」なのかがわからないと納得できないのです。

ロジカルタイプには、「ドアを閉めてくれてありがとう」とか、「早く来てくれてありがとう」というように、「ありがとう」の前に一言つける必要があります。

   

 

仕事の依頼や教え方も、タイプによって受け取り方が異なります。

伝え方のポイントになるのは、2つの軸の1つが臨機応変なタイプなのか、それとも計画性重視のタイプのなのかどうか。

臨機応変なタイプである「ビジョン」と「ピースフレキシブル」は、仕事を依頼するときに「○○しておいてほしいのだけど」という言い方をしがちです。

これでは、計画性重視の「ロジカル」や「ピースプランニング」の人には依頼したことになりません。

 

ロジカル」や「ピースプランニング」には、「あなたにこれをお願いします」と最後まで伝えて、はじめて仕事を依頼したことになります。

仮に「わかりました」と答えたとしても、その仕事の必要性を理解しただけで、自分のやる仕事とは受け取っていないのです。

 

教え方にしても、「ビジョン」と「ピースフレキシブル」は、ポイントを押さえてざっくりと説明しがちですが、「ロジカル」や「ピースプランニング」は1~10まで聞かせてほしいと思っています。

全体像を聞いた上で頭のなかでシミュレーションし、仕事を進めたいからです。

 

逆に「ロジカル」や「ピースプランニング」が、「ビジョン」や「ピースフレキシブル」にこと細かく説明したとしても、残念ながら耳に入っていません。

ビジョン」や「ピースフレキシブル」には、ある程度進めたところで、わからないところがあれば教えるというスタンスのほうが効果的なのです。

 

また、仕事しているときに声をかけられるのを嫌がるのが、「ロジカル」や「ピースプランニング」。

話しかけるときは、「忙しいところすみません」とか、「5分ほどいいですか」と前置きをつけるだけでうまくいきます。

逆に、仕事中に話しかけても気にならないのが、「ビジョン」や「ピースフレキシブル」です 

 

このように相手のタイプに合わせたコミュニケーションを意識するだけで、ミスコミュニケーションはかなり減らすことができます。

相手のタイプを理解していれば、自分から伝えることも楽になりますし、自分にとって違和感のある伝えられ方であっても寛容になれるでしょう。

  

 

異なるタイプの存在を認めるとチーム力はアップする

ところで、米グーグル社が実施したアリストテレスプロジェクトをご存知ですか?

グーグル社の労働改革プロジェクトの通称で、チームのパフォーマンスを極限まで高める方法の研究です。

どういう人材でチームを構成するとベストなのか研究が続けられましたが、単純に優秀な人材を集めれば必ずしもパフォーマンスが上がるわけではないことがわかりました。

 

結論は、そのチームが安心して働ける環境かどうかがチームのパフォーマンスに大きく影響するということでした。

安心して働けるとは、本来の自分を出せる環境ということです。

つまり、違いを認め合えるチームということですよね。

 

違いを認め合えるコミュニケーションが、まさに性格統計学です。

チーム内にいる人の全員が、自分と同じタイプの人とは限りませんし、ほとんどのケースがそうではないでしょう。

ビジョン」がいれば、「ロジカル」もいるし、「ピースフレキシブル」も「ピースプランニング」もいるわけです。

それぞれのコミュニケーションを円滑にするには、お互いにタイプを理解し、タイプ別の対応をすることに尽きます。

自分と違うタイプがいることが理解できると、自分と違う考え方や受け取り方などを無理なく受け入れられるようになります。

 

人をタイプで分類するようになると、意見が食いちがう人や意思の疎通がうまくいかない人などに対する愚痴や悪口もなくなります。

「あの人はロジカルだから」とか「あの人はビジョンがだから」というふうにタイプで受け止めるようになるからです。

相手を許容できると、相談ができるようになります。

みんなで一緒になって考えるわけですから、生産性が上がらないわけがありませんよね。

 

自分と異なる3つのタイプに対する伝え方、受け取り方を身につけるだけで、人間関係は驚くほど円滑になります。

性格統計学を上手に活用して、組織力のアップにつなげてほしいと思います。

    

プロフィール

稲場真由美(いなば まゆみ)


人間関係研究家。1965年富山県生まれ。一般社団法人日本ライフコミュニケーション協会代表理事、株式会社ジェイ・バン代表取締役。16年間のべ12万人の統計データによるコミュニケーションメソッド「性格統計学」を考案開発。10年間、セミナー・講演、カウンセリングやコンサルティングを通して普及を行い、2018年1月、念願だったマルチデバイス型ウェブアプリ『伝え方ラボ』を開発(ビジネスモデル特許取得)。「すべての人のよりよい人間関係と幸せのために」を理念に、『伝え方ラボ』を活用した研修やコンサルティングを個人・法人問わず幅広く行っている。

 

メディカルサポネット編集部

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