2020.06.02
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【読者アンケート結果】7割が「アビガン」に期待(5月テーマ:新型コロナ治療薬への期待)

メディカルサポネット 編集部からのコメント

日本医事新報社が毎月行っている読者アンケートで、5月は「新型コロナウイルス治療薬への期待」をテーマに実施したところ、回答者の7割が「期待している薬剤」として、抗インフルエンザ薬「アビガン」を挙げたことが分かりました。アンケートには、PCRなどの検査体制に対する不満も寄せられているようです。

 
各国で開発が進められている新型コロナウイルス感染症の治療薬のうち、特に期待している薬剤は?

 

5月は、安倍首相がアビガンの月内承認を目指す考えを表明(4日)、レムデシビルの特例承認(7日)など新型コロナ感染症(COVID-19)治療薬をめぐる様々な動きがありました。アビガンの5月中の承認は結局見送られましたが、観察研究の枠組みで使用する医療機関は拡大し、既に3000例を超える症例が集積されています。

 

そんな状況の中、今月はCOVID-19治療薬として期待する薬剤についてご意見を募集。回答者77人中54人(70%)が「アビガン」を挙げるという結果となりました。レムデシビルを除き、上位の「アクテムラ」「オルベスコ」「フサン」はすべて国内での使用経験も多い薬剤であり、COVID-19への効果を期待する声が多いことがわかりました。その他、大村智氏が開発に貢献した抗寄生虫薬イベルメクチンも一定の票(8人)を集めました。

 

アビガンに期待する医師からは「5月中に承認なんて言わずに明日にでも緊急承認してほしい」(福岡・勤務医)、「国産の医薬品で国際的にも期待されている薬なのに、なぜ素早く承認しないのか」(長崎・勤務医)、「薬理作用から考えると早期使用で改善率が高くなるしウイルスの排出期間も短縮する。流行期に治験などしている暇はない!」(埼玉・勤務医)など、緊急度の高さから5月中の承認でも遅いという声が多く寄せられました。

 

今月は「新型コロナウイルス感染拡大を抑えるための国の戦略をどうみるか」についてもたくさんの率直なご意見をいただきました。特に多かったのは、PCRなどの検査体制に対する不満です。以下、いただいたご意見の一部を紹介します。


【検査体制・予防対策】

 

●PCR検査の体制充実が最も大切。PCR検査センターを多数設置し、希望者はすべて検査を受けられる体制を目標にすべき。できればドライブスルー形式かウォーキングスルー形式が望ましい。PCRの検査機器を増やすこと、検査できるスタッフの増員は緊急の課題だ。検査機器の不足の問題は、おそらく中国に使用しなくなった機器が多数あるはずなので借りるか購入すれば解決する。PCR検査の人的不足の問題は、多くの検査技師が講習・トレーニングを受ければ解決すると思う。(岡山・勤務医)

 

●死亡させない点では効果があがっているが、PCR検査は結果が出るまでに地域差が大きく不安が大きい。(三重・開業医)

 

●唾液のPCR検査を認可してほしい。一般医師へのアビガン投与を認可してほしい。血液検査を医療関係者に義務づけてほしい。(東京・勤務医)

 

●PCR検査陽性のみで隔離すべきでない。(東京・開業医)

 

●PCR検査をもっと簡単に実施できるようにしてほしい。(福岡・開業医)

 

●PCR検査を全員に実施し本来の感染状況を確認すべき。(静岡・開業医)

 

●わが国の初期対応は遅すぎた。緊急事態宣言も遅すぎた。各都道府県のPCR検査の検査数を速やかに増やす。検査体制の強化を図るべきは喫緊の急務と考える。(京都・勤務医)

 

●PCR検査の対象者の検討、検査機関の拡充、グレーの対象者への対応などがなお課題だ。(東京・勤務医)

 

●発熱や呼吸器症状を有する患者の診察に必要な個人防護具が潤沢に供給されるようにしてほしい。PCRの実施基準は①入院加療の必要がある全身状態の患者、②基礎疾患を有し重症化が懸念される患者─のままでいいと考える。(愛知・勤務医)

 

●PCR検査について検査日、検査市町村、患者症状のデータを各地域で集計し、国から発表してほしい。(東京・開業医)

 

●感染診断であるPCR法の拡充が必要。鼻咽頭スワブに加え唾液の有用性を確認すべき(検出率を下げるかもしれないとの危惧はあるが、検査者の飛沫感染の危険を減らす)。無症状者の抗原検査、抗体検査を定期的・経時的に行い、集団免疫率の指標とする。治療薬、ワクチン開発の基礎研究を支援し有望なものを迅速に実臨床に結びつける。経営難に陥っている企業への支援は1兆円と言わず、5~10倍に増やすべき。そもそも外国人労働者・観光客を増やす政策、生活必需品生産の中国へのアウトバウンド化など全く間違っているので大きく修正すべき。都市集中化を是正し美しい大和の国で自給自足できる力を底上げし、グローバルとのバランスを再度考える。(山口・勤務医)

 

●PCR検査をしたがらないのはなぜか説明してほしい。けちると結局は高くつく。数字に一喜一憂しないことだ。(大阪・開業医)

 

●PCR検査を保健所経由にしたことが間違い。(愛知・開業医)

 

●PCR検査数を拡大してほしい。検査を受けられず重症化してしまうケースが後を絶たない。無念。(神奈川・看護職員)

 

●医療機関にかかる際のスクリーニング検査をもっと充実すべき。インフルエンザの検査のように患者全員に抗原検査を施行するのがよい。(神奈川・勤務医)

 

●クラスターの潜在的発生場所である介護施設・介護病床に対する予防対策を強化すべき。(北海道・勤務医)

 

【医療体制】

 

●コロナ専門医院をやはりつくるべき。今のままだと一般病院がどこも院内感染してしまう。今の北海道のように東京、大阪にも第2波が来ると思われる。それに対する対策が手薄。(大阪・勤務医)

 

●コロナに特化した病院、新宿モデルのような体制を国や都道府県として早期につくるべきだった。PCR検査も早期から検査数を増やし(保健所のみではなく、民間企業へ依頼)、隔離などを行ったほうがよかったのではないかと思う。(埼玉・薬剤師)

 

●軽症者の処遇の仕方を見直すほうがいい。緊急事態宣言の解除は慎重にすべき。特に大都市は慎重に。(長崎・勤務医)

 

●町医者でも対応可能な診断のノウハウを積み上げ、1年後は一般クリニックで診断・治療できるようにしたい。利権絡みのPCR拡大派に額ずくことのないよう、ぶれずに政策を進めてほしい。(北海道・勤務医)

 

【治療薬・ワクチン開発】

 

●アビガンは国産の医薬品で、国際的にも期待されている薬なのに、なぜ素早く承認しないのか、理解に苦しむ。(長崎・勤務医)

 

●COVID-19の陽性患者へのアビガン投与で軽症~中等症患者さんは9割以上救われると思う。政府は5月中に承認なんて言わずに明日にでも緊急承認してほしい。本当はレムデシビルと同時に承認してほしかった。日本国内の死亡者が増加し、陰性だった患者さんも再陽性になる例が出てきている。やはり一度アビガンでウイルスを強くたたかないと、COVID-19肺炎や付随する血管障害等の合併症は完治しないと思う。(福岡・勤務医)

 

●人々の行動を大幅に制限する戦略を継続し、効果的な薬剤に関して薬事承認の審査を速やかに行い市場導入すべき。(大阪・勤務医)

 

●アビガンは薬理作用から考えると早期使用で改善率が高くなるしウイルスの排出期間も短縮する。流行期に治験などしている暇はない! リスクの高い人、肺炎が発見された人には検査で陽性ならすぐに投与。中には急速悪化型もあるので、その場合はオルベスコやIL-6阻害薬を併用。多くの死亡者を出し医療崩壊を招いたのは、薬剤の副作用のことばかり心配してアビガンの使用を認めない首相や厚労相の責任である。人命軽視の政策はやめてほしい。(埼玉・勤務医)

 

●感染初期に抗ウイルス剤の投与、肺炎発症時にはオルベスコやアクテムラなどの投与を。(埼玉・勤務医)

 

●効果もないのに製薬会社の売上げに加担したくない。コロナ騒ぎに乗じて、効果のない薬の薬価を認めるのはどうかと思う。(京都・勤務医)

 

●まずはワクチン開発と誰でも接種できる体制が必要。その次に特効薬となるような治療薬の普及を期待する。そして、マスクや防護服、アルコールの安定供給に期待したい。(茨城・臨床検査技師)

 

●今後は経済活動を再開させながら、いかに人の接触を減らすかにかかっていると思う。一刻も早い「有効性と安全性」の担保されたワクチンの流通を期待している。(兵庫・勤務医)

 

●治療戦略としてアビガンを早く最前線に提供できるよう尽力すべき。他国のワクチン・治療薬の開発に比べてあまりに弱々しい推進力。(東京・勤務医)

 

【国の戦略全般】

 

●すべてにおいて後手であり、しかも誠意が感じられないのが嘆かわしい限りである。(大阪・勤務医)

 

●政治も問題だが、現在の専門家会議のメンバーには呆れる。3月までのPCR検査発言をはじめ腑に落ちないことが多々ある。日々の発言の中に「専門家?」と疑いたくなるような言葉がある。本来専門家は「想定できることを発信し、事前に打てるべき対策をきちんと打つ」もの。ある程度知識がある第三者委員(黒川清氏など)をメンバーに加えるべきだ。周辺のアジア諸国ではSARSやMARSの経験もあり、いち早く対応して落ち着きを取り戻している。専門家会議のメンバーは、WHOに勤務した経験があるにもかかわらず、周辺諸国の危機を疎かにし、我が国の検査体制、設備、医師教育などの事前対策を取ってこなかった。その問題から医療崩壊はじめ多くの人災が発生している。個人的には東日本大震災時の津波予報と同様、いやそれ以上に危機管理が甘い国の悲劇を感じる。日々やりきれない思いだ。(東京・勤務医)

 

●臨床に携わる者に納得できる説明がない。医療崩壊リスクに対して対策が十分とは言い難い。(神奈川・勤務医)

 

●厚生労働省は半年前に全国400以上の病院について統廃合を求めたが、その中には新型コロナ患者で入院している病院が多数ある。しかもさらに病床不足が叫ばれている。当局はどう申し開きをするのか。(東京・開業医)

 

●政策の一貫性がない。どこに軸があるのか全く見えない。(愛知・勤務医)

 

●感染拡大を抑えるのは難しいと思う。長期戦は確実なので、無理をせず共存でよいのではないか。(東京・勤務医)

 

●有事の今も、公共の安全より個人の権利を守ろうとする国家のあり方がすべての危機管理を不可能にしていると思う。(熊本・開業医)

 

●行き当たりばったりすぎる。(愛知・薬剤師)

 

●緊急事態宣言はやや遅かったが、発令してよかった。医療対応も首長を中心になんとか動いている。(青森・勤務医)

 

●緊急事態宣言の解除は時期尚早の気がする。流行再燃が懸念される。(石川・勤務医)

 

●遅すぎる。もっとスピード感を持って取り組んでほしい。(広島・勤務医)

 

●国の戦略に対して国内では賛否ある中で否の論調が多い印象だったが、ゴールデンウィーク開けの状況を見ると、結果として非常によく封じ込めができていたと思う。連休中の高速道路、列車などの利用状況を見ると、国民一人ひとりがいかに自粛を頑張っていたかがわかる。医療従事者としては、マスク、アイガード、ガウン、手指衛生用品などがもう少したくさんあればよかったと思う。(福岡・勤務医)

 

●諸外国と比較して、日本はすべてにおいて考えが甘い。外出自粛なのに遊戯施設などを完全に閉鎖せず、ゴルフなどはよしとする考え、意味不明だ。3密が駄目だと言いながら、一部許可するからオープンテラスで対面、密接に会話する人が多くなるのだと思う。子どもは重症化しにくいといった生半可な情報を流すから、親がマスクしているのに、子どもにマスクさせない理解力の乏しい親が出てくる。医療機関の感染対策ももっと示していただきたい。医者はシールドを配られ、看護師は守られないなんてあり得ない。身も心も疲弊している。(大分・看護職員)

 

 

出典:Web医事新報 

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