2019.01.12
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外国人の患者さんを診療した経験は?【聞かせてください! 現場のホンネ】

メディカルサポネット 編集部からのコメント

日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2018年1~11月の訪日外客は中国・韓国・台湾・香港・アメリカ・タイの順多く、前年度に比べた伸率はベトナム・ロシア・イタリア・スペインの順に急増しています。文化の違い・制度の違いへの対応が求められますが、どこまで特別対応するか、受け入れ費用をどうするかと悩まれている医療機関も多いことと存じます。言語については、タブレットのビデオ通話を利用した「医療通訳」、チャット機能を利用した「機械通訳」などを導入している病院も増えています。これらは多言語に対して24時間365日対応可能で、医療スタッフだけでなく、患者の不安解消にも一役かっています。また、日本医療教育財団では「外国人患者受入れ医療機関認証制度」を設け、日本の医療サービスを外国人が安心・安全に享受できる体制の構築を目指しています。「ここまでできるんだ」という最新情報を把握しておくと急な外国人患者の対応も安心です。

 

昨年12月に成立した改正出入国管理法により、外国人労働者の受け入れの拡大が見込まれています。また今秋にはラグビーワールドカップ、2020年には東京オリンピック・パラリンピックが控えており、外国人診療への関心が高まっています。今回は57人の先生からご回答をいただきました。

外国人の診療経験が「ある」と回答した先生方は46人(81%)で、「ない」の11人(19%)を大きく上回りました。在住外国人や観光客が増加する中、外国人を診療する機会が訪れるのは、もはや当たり前のことなのかもしれません。

外国人の診療で不安なことを尋ねたところ(複数回答可)、圧倒的に多かったのは「言語などコミュニケーション」で46人でした。次いで、「対応にかかる時間・労力の増加」が19人。「宗教・文化の違い」(17人)、「未収金など金銭トラブル」(14人)と続き、「見慣れない疾病の診療」と回答したのは7人でした。

外国人の診療で印象に残るエピソード

言語などのコミュニケーション

◉東南アジアの女性で日本語、英語ともにできない方が来院した。通訳の方を探すのが大変だった。 (東京・勤務医)

◉スマートフォンを使いながらなんとか会話をした。(大阪・薬剤師)

◉発音が通じないことはよくある。(広島・開業医)

◉次回予約日を決める際、気を利かせて「8(ハチ)日」と言ったら「ヨオカですね」と言われた……。日本語堪能な人もいらっしゃるようだ。(三重・勤務医)

◉日本語が分からない方が通訳の方と来院したが、通訳もいまひとつで、お互いに意思の疎通が不十分で困ったことがあった。(宮城・勤務医)

◉通訳の方が、患者の希望と違って最低限の治療で良いと言う。 (東京・勤務医)

◉1970年の大阪万博で救急医療を担当した。言葉が通じない外国の方の切迫流産を救急車で転送した。この際の通訳センターの働きが素晴らしかった。 (千葉・勤務医)

◉日本語をまったく話せない中国人が来院したとき、一緒についてきた8歳の女の子が患者と当方の間に入って中国語と日本語を駆使して、医学用語も含めて見事な通訳を務めてくれた。子どもの言語的な適応能力に感心した。 (長野・開業医)

宗教・文化の違い

◉中国、韓国の人は処方を多く出してほしいと主張する人が多い傾向がある。(新潟・開業医)

◉イスラム教の方だったらしく、薬に豚のエキスが入っていない証明をするよう求められた。 (東京・勤務医)

◉病院から直接保険会社に請求があると思って支払いをせずに帰ってしまうケース。悪気があるわけではなく、海外と日本のシステムの違いからそうなってしまった。 (勤務医)

◉研修医時代、腰椎椎間板ヘルニアでオペになったが、オペ台上で患者を腹臥位にして背部が露出したとたん臀部にかわいい目玉のタトゥーがウインクしていた。 (石川・開業医)

その他

◉潜在性結核感染症(LTBI)を治療した。改正出入国管理法で外国人労働者の受け入れが拡大する。結核蔓延国からの労働者、留学生は要注意。(岡山・勤務医)

◉結核感染の有無を調べるクオンティフェロン(QTF)の値は0.1未満を陰性、0.35以上を陽性と判定するが、東南アジアなどの高蔓延国の患者さんの中に20以上の方がおられ、桁が違うことに驚いた。 (滋賀・勤務医)

◉近くの公立病院で「外国人だから」と差別されていた方が当院に変わって来られた。(大阪・開業医)

◉インドネシアの高齢者で、日本の占領時代を知っていて、日本の軍歌を歌ってくれた。 (愛知・勤務医)

 

 出典:Web医事新報

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