2018.11.16
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財政審、高額な医療機器の配置適正化を主張
19年度予算編成への建議で

メディカルサポネット 編集部からのコメント

需要と設備投資のバランスが崩れると、医療機関の収益を圧迫してしまいます。11月20日に開催された財政制度等審議会では、高額医療機器の配置を適正化することで効率的な活用になるよう、実効的なコントロールの在り方、要件の厳格化などについて意見が交わされました。

 

 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は20日、CTなど高額医療機器の配置の適正化などを求める、2019年度予算編成への提言(秋の建議)を取りまとめ、麻生太郎財務相宛てに提出した。社会保障費の自然増の圧縮については、どこまで踏み込むかの具体的な額は示さず、「決して財政健全化の手綱を緩めることなく、これまでと同様、改革を実現していく必要がある」という書きぶりにとどめた。【松村秀士】

 

建議を鈴木馨祐財務副大臣=右=に手渡す財政審の榊原定征会長

 

 CTやMRIの設置台数については、都道府県によってばらつきがある。財務省が実施した18年度予算執行調査によると、都道府県別の人口当たりのCTとMRIの配置台数は、最も多い県が全国平均の約2倍で、最も少ない県との差は3倍以上ある。また、CTの人口当たりの台数は全ての都道府県で、OECD(経済協力開発機構)諸国を上回っているほか、MRIについても米国を除くOECD諸国を上回っているのが現状だ。

 

 建議では、人口当たりの高額医療機器の台数が多い地域では、需要に比べて過大な設備投資が行われている可能性や、医療機関の収益を圧迫している可能性があると指摘。その上で、地域の医療ニーズや医療費、医療機関の経営への影響などを踏まえ、「高額医療機器の配置を適正化するための取り組みを行うべき」とした。取り組み事例として財政審は、機器の新たな設置や更新の際に、都道府県や医療関係者の協議を経るといった「規制」の導入を挙げている。

 

 高額な医療機器については、医療提供体制を効率化するため、骨太方針2018で「共同利用の一層の推進など効率的な配置を促進する方策を講じる。また、これに伴う稼働率の向上を促進する方策を検討する」とされている。

 

 厚生労働省は12日に開かれた経済・財政一体改革推進委員会のワーキング・グループの会合で、19年度中に医療機器などの効率的な活用促進に関する事項を各都道府県が医療計画に盛り込み、20年度以降にそれに基づいた効率的な活用の促進に取り組む方針を示していた。さらに、20年度以降、各都道府県で外来医療提供体制の確保に関する「協議の場」を設け、医療機器などの効率的な活用に関する検討の結果を公表するとしていた。

 

■急性期病床の適正化へ、必要に応じた要件の厳格化も主張

 

 建議では、診療所や医師の配置、高額医療機器への設備投資をコントロールする仕組みがないことを問題視。限られた医療資源で効率的な医療提供体制をつくる観点から、それらの配置に関する実効的なコントロールの在り方について「早期に議論を進めるべき」としている。

 

 また、18年度の診療報酬改定によって、地域医療構想に沿った病床の再編・急性期入院医療費の削減にどの程度つながっていくのかを、適切なKPIを使って評価する必要性を強調。急性期病床の適正化に向けて、必要に応じてさらなる要件の厳格化などを「次期改定において実施すべき」との見解も示している。

 

 

 出典:医療介護CBニュース

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