2023.06.05
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温泉は「よく眠れる」ことを証明、認知症予防にも
秋田大が研究グループの成果発表

メディカルサポネット 編集部からのコメント

不眠は認知症のリスクを高め、様々な病気の元となります。現代人にとって睡眠改善は大きな課題と言えるでしょう。そんな中、秋田大学のグループが、温泉(調査では塩化物泉と人工炭酸泉)に入った群と入らなかった群で睡眠を比較する実験を行いました。

対象者は8人の実験ですが、この実験では温泉に入った人たちから有意に深い睡眠が記録されました。

                             

 秋田大はこのほど、同大大学院医学系研究科保健学専攻理学療法学講座の上村佐知子准教授と筑波大国際統合睡眠医科学研究機構の神林崇教授らの研究グループが、温泉は「よく眠れる」ことを証明したと発表した。近年、睡眠不足や不眠が認知症のリスク因子であると報告されていることから、温泉を活用した睡眠の改善は、不眠症や認知症の予防にも役立つ可能性があるとしている。【新井哉】

  

 就寝前に入浴すると「よく眠れる」と言われているが、温泉と睡眠の関係は、これまでよく分かっていなかった。そこで研究グループは、「温泉に入ると本当に良く眠れるのか」などについて、簡易脳波計と深部体温計を使って実験した。

  

 具体的には、健常な男性8人を対象に、▽塩化物泉▽人工炭酸泉▽普通浴▽入浴なし-の条件で、睡眠を評価した。対象者は4回にわたり、いずれかの条件をランダムに割り当てられ、就寝前に入浴。40度の湯に午後10時から15分間浸かり、午前零時から午前7時まで就寝した。就寝中は簡易脳波計と体温計を装着。入浴前後と起床時に眠気や疲労感などのアンケートにも回答してもらった。

  

 入浴で深部体温は有意に上昇し、その後就寝時まで顕著に低下した。塩化物泉に入浴した際は、平均深部体温が最も高くなった。最初の睡眠周期におけるデルタパワー(脳細胞活動で生じる電気信号)の1分当たりの量は、入浴群で有意に増加。人工炭酸泉群が最も高く、以下は塩化物泉、普通浴、入浴なしの順だった。

  

 これらの睡眠の変化は、上昇した深部体温の大幅な低下(放熱)と関連していた。人工炭酸泉と塩化物泉のグループでは、熱放散の増加と深部体温の低下が観察された。また、アンケートでは、塩化物泉の入浴後に疲労感が強く出ていた。

  

 塩化物泉と人工炭酸泉では、普通浴や入浴なしの条件での観察と比較し、最初の睡眠周期中のデルタパワーが増加しており、深い睡眠が記録された。また、塩化物泉の入浴後に疲労感が認められたことから、「虚弱な高齢者には人工炭酸泉が最適である」と考察している。この研究の成果は、科学雑誌「Journal of Physical Therapy Science」に掲載された。

                             

 出典医療介護CBニュース

             

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