■NEWS　第31回日本医学会総会が東京で開催―「ビッグデータが拓く未来の医学と医療」メインテーマに

第31回日本医学会総会（会頭＝春日雅人朝日生命成人病研究所所長）が4月21日〜23日、東京・有楽町の東京国際フォーラムなどを会場に開催された。メインテーマは「ビッグデータが拓く未来の医学と医療」。現地開催とweb開催により約3万7000人（有料登録者、学生、医療関係職種等）が参加した。

21日の開会式で春日会頭は、まず新型コロナ感染症により一時は開催が危ぶまれたことを振り返りながら、「本日を迎えることができたことは非常にありがたく思っている」と関係者に謝意を表明した。その上で、現在はデジタル技術の進展で医療、医学が大きな転換点に差しかかっていることを指摘、「革新的技術の医療への実装に当たっては、新たに生じる倫理的、法的、社会的問題について社会との合意が求められている。以上の視点を踏まえて学術集会、展示を企画した」と総会の趣旨を説明した。より多くの市民が参加できる総会としてプログラムを構成したことなども紹介しながら、総会を契機に、市民が自己の健康を自ら管理する意識の醸成につながることにも期待を示した。

■天皇陛下が「開かれた議論の場として開催は意義深い」とおことば

開会式には天皇皇后両陛下が臨席し、来賓として岸田文雄首相、松本吉郎日本医師会長らが列席した。

天皇陛下はおことばの中で、「医学、医療の進歩は21世紀に入ってからも目覚ましいものがあり、わが国では多くの国民が長寿を享受できるようになりました」と述べつつ、進歩に伴う課題とも誠実に向き合う必要性を指摘。そのためにも「総会が開かれた議論の場として開催されることは大変意義深いものと考えます」と述べ、実りある議論の場となることに期待を示した。この3年間、社会が新型コロナウイルス感染症に見舞われたことにも触れ、「この感染症の治療法、研究を鋭意進めてこられた医学関係者の皆さん、患者さんの命を救うために多大な尽力を続けてこられた医療従事者の皆さんに改めて心からの敬意を表します」と述べた。

続く岸田首相は祝辞の中で、総会のメインテーマに関連して医療DXに言及。「政府も医療DXを重要な課題と位置づけており、昨年10月には推進本部を立ち上げた。医療DXを通じたサービスの効率化や質の向上は、わが国の医療の将来を大きく切り拓いていくものであり、政府もその実現に全力を挙げていく」と述べた。

開会式終了後は、春日会頭、松本日医会長、門田守人日本医学会長の講演や、大隅良典東京工業大学栄誉教授による開会講演が行われ、さらに会頭特別企画のシンポジウム「ビッグデータがどのように医療・医学を変えるか」が開催された。

3日間にわたる学術集会ではこのほか、会長特別企画として「COVID-19に世界はどう対応したのか？　どう対応するのか？」や「医師の働き方改革」、「地域医療構想」などをテーマにシンポジウムが開催。このほかU40委員会やダイバーシティ推進委員会による企画など多彩なプログラムが展開された。

■次回の日本医学会総会は大阪で開催―会頭は澤芳樹阪大名誉教授 

原23日夕方の閉会式では、門脇孝準備委員長（虎の門病院長）が経過報告を行い、有料登録者数2万5000人、学生や医療関係職種の参加者を含めると3万7000人以上の参加があったことを報告した。また、次回の第32回総会についても報告が行われ、4年後の2027年に大阪で開催されることが発表。次期会頭として澤芳樹大阪大学名誉教授（大阪警察病院長）、副会頭として熊ノ郷淳大阪大学医学系研究科・医学部長、準備委員長として坂田泰史大阪大学教授が紹介された。

澤氏は挨拶の中で、「大阪は2025年に万博があり、テーマは「命」。私たちはその2年後に開催させていただくので、万博の流れを引き継ぎながら、歴史に残るくらいの、感銘を受けていただく大阪らしい総会を開催したい」と抱負を述べた。

　出典：Web医事新報