2020.11.12
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「第4回みんなで選ぶ薬局アワードONLINE」開催レポート

薬局経営の好事例が盛りだくさん!

全国の薬局から創意工夫あふれる実践が発表され、そこから最優秀賞を選出する「第4回みんなで選ぶ薬局アワードONLINE」(主催:一般社団法人薬局支援協会)が、2020年10月25日(日)に開催されました。当日の様子とともに、予選会を通過した薬局代表者の発表内容、そして気になる表彰結果をご紹介します。
 
取材・文/中澤 仁美(ナレッジリング)
編集/メディカルサポネット編集部

 

300人以上の一般参加者が投票

「薬局はどこも同じで薬を受け渡しするだけの場所」というイメージを払拭し、日頃の素晴らしい取り組みを世の中に広めたい――。薬局支援協会代表理事・竹中孝行さんのこうした思いから2017年に誕生したのが「みんなで選ぶ薬局アワード」です。今回は、新型コロナウイルスの影響を受けて完全オンライン形式での開催となりました。これにより全国各地から参加しやすくなっただけでなく、オンラインならではの特性を生かした「みんなDE薬局トークタイム!!」が設けられたことで、コメントスクリーンでの双方向のやり取りが盛り上がりました。

 

今回も全国から多数の薬局がエントリーし、オンライン予選会を含めた3度の選考を経て、6薬局が本選に進出。イベント当日は、各薬局の代表者がプレゼンテーションを行い、取り組みの詳細と熱い思いを語りました。オンラインでの観覧者は、過去最多となる300人以上。これら一般参加者の投票(それぞれが2薬局を選んで投票)と、特別審査員による選考により、最優秀賞、特別審査員賞、オーディエンス賞が決定されました。

 

第4回みんなで選ぶ薬局アワード

  

司会を務めたのは現役薬学生の松村歩美さん。また、特別審査員を務めたのは以下の皆さんでした。

 

・畑中和義さん(NPO法人患者中心の医療を共に考え共に実践する協議会・理事長、日本経済大学大学院ファーマシーマネジメント研究所・特任教授)

・平栗潤一さん(一般社団法人日本介護協会・理事長)

・臼井啓子さん(合同会社オフィスK・代表、一般社団法人ぱ・まる・代表理事)

・比留間榮子さん(世界最高齢現役薬剤師ギネス認定、ヒルマ薬局小豆沢店) 

・鈴木信行さん(患医ねっと・代表)

・まい丼さん(現役薬学生 / YouTuber)

  

地域とつながる経営のアイデアが盛りだくさん

それでは、一次選考・二次選考を勝ち抜いた6薬局それぞれについて、薬局経営に関連するトピックスを中心としたプレゼンテーションの概要をお伝えします(掲載は発表順)。

サンコー調剤薬局 昼間店(徳島県):矢田智子さん

「健康につながる地域のみなさまとの交流が自然なかたちで生まれる薬局をめざしています」

薬局アワード サンコー調剤薬局

トップバッターは、サンコー調剤薬局 昼間店の矢田智子さん。
地域のママ層をターゲットにした活動を発表しました

 

小児科の処方箋受け付けが多いサンコー調剤薬局 昼間店は、2018年のリニューアルオープンを機に「ママ講座」をスタート。ある回では、管理栄養士が離乳食や粉ミルクをテーマに講演し、栄養相談の件数アップにつながった。また、従来は文字中心だった指導箋を、動物のイラストなどを活用した可愛らしいデザインに刷新。それらをまとめたオリジナルブックを無料配布したところ、保護者の間で話題となった。SNSを活用した情報発信、健康相談にも積極的に取り組んでいる。  

まんまる薬局(東京都):松岡光洋さん

「ベストカップルアワード」

薬局アワード まんまる薬局

特別審査員のまい丼さん(写真下)の質問に答えるまんまる薬局の松岡光洋さん(写真左)。写真右は司会を務めた松村歩美さん

 

個人在宅に特化した「おうち訪問薬剤サービス」に注力するまんまる薬局は、薬剤師とボランチ※の2人体制で居宅訪問を行っている。居宅への移動中、両者の何気ない会話から良質なアイデアが生まれていることに着目し、「ベストカップルアワード」を開催。アイデアの再現性や独創性などを基準として、投票フォームを利用してスタッフ同士で投票し合った。スタッフが自分らしさを言語化して薬局でどのように貢献できるか考えるワークショップ“Meet Me”、スタッフをキャラクター化したLINEスタンプでの社内交流、訪問時に活用できる栄養食マッピングの作成など数多くの取り組みがここから生まれた。

※ポルトガル語で「ハンドル」「舵取り」の意。ここでは、薬剤師をサポートする非薬剤師スタッフを指す。

 

はなのゆ薬局(鹿児島県):中山茜さん

「小さな薬局のニッチャー戦略~コンテンツマーケティングの紹介」

薬局アワード はなのゆ薬局

薬剤師の他にも多数取得したという資格を活かして、地域の活性化に取り組んでいるはなのゆ薬局の中山茜さん

 

温泉施設に併設されているはなのゆ薬局は、一人薬剤師の小さな薬局。当初は温泉客の利用を見込んでいたが赤字が続き、地域の面分業薬局として定着するためさまざまな層にアプローチしてきた。定期的なあいさつ回りの代わりに介護施設などへFAXを送信し、保育園だよりや地域の新聞などでも健康情報を発信した。また、温泉ソムリエの資格を生かしたツアーを企画したり、温泉施設内で健康教室を開催したりと、立地条件を生かしたコンテンツを展開。新たな試みとして、キッチンカー、フリーマーケット、健康チェックを組み合わせた「おんせんマルシェ」も実施。特定のエリアで独自の地位を築く、ニッチャー戦略を意識した。

かんまき薬局グループ ABC薬局(大阪府):山田菜摘さん、芦田泰弦さん

「お困りごとカードを活用して笑顔いっぱい!」

薬局アワード かんまき薬局 ABC薬局

特別審査員の鈴木信行さん(写真下)の質問に答える

かんまき薬局グループ ABC薬局・代表の芦田泰弦さんと、管理栄養士の山田菜摘さん(写真左)

 

地域包括支援センターや大学などと共同で認知症の早期発見体制を構築するプロジェクトに参加したものの、何から手を着けていいか迷った。そこで「お困りごとカード」を導入し、地域の健康イベントや認知症カフェなどで配布したほか、薬局での待ち時間を使って声かけをした。集まった相談事例の70%以上は薬剤以外のこと(健康サポートや介護関連など)で、薬剤師以外でも対応できることが判明。当初の目的であった認知症の早期発見につながる事例もあり、患者さんの小さな不安に気付ける環境づくりの重要性を実感した。

ウラタ薬局 仲町店(岐阜県):浦田悠宇さん

「いつでも相談、いつでも健康。」

薬局アワード ウラタ薬局 仲町店

ウラタ薬局 仲町店の浦田悠宇さんが目指すのは、地元に根ざした「日本一、笑顔があふれる薬局」

 

有休取得率100%、残業ゼロなどが評価され、「関市女性が働きやすい職場」に認定されているウラタ薬局。調剤だけでなく、OTC医薬品や化粧品、漢方薬の販売など、複数のサービス展開で安定した経営を実現。また、体組成計や骨密度測定器などを数多く備え、来店時に測定してもらうことで受診勧奨につなげている。さらに、生薬も含めた漢方薬の提案に力を入れ、自動漢方煎じ機を導入して煎じ代行も行っている。

みどりや薬局(静岡県):清水雅之さん

「うっかりドーピングをしたくない、させたくない!」

薬局アワード みどりや薬局

みどりや薬局の清水雅之さんは、カードゲームを通じて「うっかりドーピング」を防ぐ知識を広めています

 

地域密着型かつ家族経営の健康サポート薬局として、独自の存在感を放つみどりや薬局。アンチドーピング事業にも力を入れており、「うっかりドーピング」について学べるカードゲーム「ドーピングガーディアン」を開発した(ECサイトなどで購入可能)。アスリートはもちろん、地域住民にとっても重要なテーマとして、主体的に学べる内容を意識した。スポーツファーマシスト同士がつながるきっかけになったほか、インドネシアの小学生に遊んでもらうなど国外からも注目されている。

  

最優秀賞はニッチャー戦略を実践した「はなのゆ薬局」

全てのプレゼンテーションの終了後、一般参加者の投票、特別審査員による審査を経て、各薬局の代表者が緊張の面持ちで見守る中、受賞者が発表されました。

最優秀賞:はなのゆ薬局(鹿児島県)

薬局アワード 最優秀賞 はなのゆ薬局 鹿児島県 薬局アワード 最優秀賞 はなのゆ薬局 鹿児島県 

 

第4回みんなで選ぶ薬局アワードの最優秀賞を受賞したのは、一人薬剤師でありながら数多くのニッチャー戦略に挑戦してきたはなのゆ薬局。中山さんは、「地域の活性化を願い、小さなことをコツコツ積み重ねてきました。当店を利用するすべての方、そして連携している施設の皆さんに、この喜びを伝えたいです」と感動の涙とともに受賞の弁を語りました。

特別審査員賞:サンコー調剤薬局 昼間店(徳島県)

薬局アワード 特別審査員賞 サンコー調剤薬局 徳島県 薬局アワード 特別審査員賞 サンコー調剤薬局 徳島県

 

6人の特別審査員から高い評価を得たのは、地域のママ層をターゲットに魅力的なコンテンツを提供したサンコー調剤薬局 昼間店。矢田さんからは「ママ講座もオリジナルブックも、コミュニケーションのツールとして生み出したもの。いただいた賞をこれからの薬局づくりに生かし、明日からまた頑張ります!」と力強いメッセージがありました。

オーディエンス賞:まんまる薬局(東京都)

薬局アワード オーディエンス賞 まんまる薬局 東京都 薬局アワード オーディエンス賞 まんまる薬局 東京都 

 

一般参加者から最も支持された薬局は、「ベストカップルアワード」を実施したまんまる薬局。松岡さんは、「薬剤師以外のスタッフの力も活用することで、いろいろなことができる。私たちが楽しんで働いている様子が伝わったのであればうれしいです」と笑顔で語りました。

 

次回の本イベントは2021年10月ごろの開催を予定しており、リアルとオンラインを組み合わせたハイブリッド型に進化する見込み。薬局経営のヒントを得られる絶好の機会として一般参加してもいいですし、自身の職場が独自の取り組みをしているのであればエントリーを考えてみてはいかがでしょうか。

第4回薬局アワード

質疑応答タイム。特別審査員の比留間榮子さんの質問に答えるはなのゆ薬局・中山さん

第4回薬局アワード

かんまき薬局グループ ABC薬局の芦田さんは手品で視聴者を盛り上げてくれました

第4回薬局アワード

結果発表の瞬間、緊張の面持ちで各賞の発表を待つ6薬局の皆さん

第4回薬局アワード

薬局アワード終了後にはオープン記者会見が行われました

第4回薬局アワード

第5回「みんなで選ぶ薬局アワード」の開催も発表されました

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