2020.10.09
3

昼カラでマスク着用なし、「有意に症例と関連」
国立感染症研究所、コロナ感染リスク因子調査掲載

メディカルサポネット 編集部からのコメント

国立感染症研究所は昼カラオケによる新型コロナウイルス感染症の感染リスク因子に関する調査の速報をホームページに掲載し、「滞在時間、歌う、店内でマスク着用なし」の3項目が該当すると「有意に症例と関連していた」としています。店舗でのパーティションの設置、換気、マイクの清掃、手指消毒薬の設置に関しては、「本調査では効果を確認できなかったが、これらにより感染が予防できる可能性があり、さらなる評価が必要である」との見解を示しています。

 

 国立感染症研究所は7日、新型コロナウイルス感染症の昼カラオケ関連事例における感染リスク因子に関する調査の「速報」をホームページに掲載した。札幌市・小樽市における昼カラオケ関連の症例について、利用者を対象に症例対照研究を実施したもので、感染が広がらなかった小規模店舗では利用者の多くがマスクを着用していたことなどを取り上げ、「歌唱者を含む利用者全員のマスク着用が、本人の感染予防と店舗での感染拡大防止に繋がる可能性がある」としている。【新井哉】

 

 調査では、2020年5月16日から7月3日までの間、発症前2週間以内に札幌市・小樽市の昼カラオケを利用した人で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)がRT-PCRで検出された人を「症例」、症例の感染可能期間に同一店舗を利用した人で新型コロナウイルスが検出されなかった人を「濃厚接触者」とそれぞれ定義。症例・濃厚接触者のうち、情報収集が包括的に行われた9店舗(札幌5店舗、小樽4店舗)の利用者とオーナーに、電話で基本情報と昼カラオケでの行動歴を聴取した。

 

 また、症例が感染可能期間に利用した昼カラオケ店舗の営業状況について、オーナーと利用者に聞き取りを行い、その店舗で感染した可能性が高い症例が5例以上の店舗(大規模流行)と、5例未満の店舗(小規模流行)で店舗運営状況を比べた。

 

 症例は38例、濃厚接触者(検査陰性)は52例が該当したことに触れ、「症例は女性23例(61%)が多く、年齢は平均75歳で、7月3日時点の有症状者は29例(76%)であった」と説明。「情報がとれた人のほぼ全員が飲食しており(97%)、歌唱時はマスク非着用であった(96%)」としている。

 

 また、症例(平均年齢75歳)と濃厚接触者(同68歳)を比較したことを取り上げ、▽高齢▽長時間滞在▽歌う▽店内でマスク着用なし-の割合が「高かった」と説明。これら4項目を相互調整した結果、滞在時間、歌う、店内でマスク着用なしの3項目が「有意に症例と関連していた」としている。

 

 店舗営業状況については、10店舗(大規模6店舗、小規模4店舗)で情報を聴取できたとしており、「大規模流行店舗では、オーナーの感染(大規模、小規模:6/6、0/4)、利用者の多くがマスク非着用(同3/3、1/3)、利用者制限なし(同4/6、1/4)の店舗が多かった」と説明。オーナーが発症しているにもかかわらず営業していた店舗もあったとしている。店舗でのパーティションの設置、換気、マイクの清掃、手指消毒薬の設置に関しては、「本調査では効果を確認できなかったが、これらにより感染が予防できる可能性があり、さらなる評価が必要である」との見解を示している。

 

 

出典:医療介護CBニュース

この記事を評価する

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

TOP